リュウ対ジマ
次の日学園へ行くと、百合花が待っていた。
「さあ、朝練しようじゃないか!」
「おはよう。今日は随分早いじゃないか?」
「おはよう。昨日は一成君が早退しちゃったからね。その分取り返すつもりで」
朝練は走ることから始まった。軽く10キロメートルを走りきると、二人とも多少息が上がっていた。
続いてスパーリング。百合花とのガチの勝負だ。キックボクシングを専攻している百合花からすればこそ、なんとしてでも、勝ちたい相手なのである。だがしかし、一成は手加減無しで、百合花に圧勝してみせた。
「今日は一切手加減無し?」
「そうだな。手加減しなかったぞ」
「こんなにも実力差があるなんて思わなかった」
「一応これでも、キックボクシングの日本チャンピョンだからな」
百合花は頬を膨らませながら、聞いていた。実力の差が気に入らなかったのだろう。百合花だって決して弱いわけではない。それどころか日本中で比べても、強いほうに入るのだ。
「休憩終わったら、シーピーしようね」
「ああ、そうしよう」
クールダウンさせた体に水を与える。ゴクゴクと飲んで体全体に染み渡らせる。
シーピーにログインすると、ユリはもう既にシャドウボクシングをしているところだった。
「ようユリ、早いな」
「当然、ジマに負けたくないからね」
「ふふふ、それは当面無理な話だ」
「ぐぬぬ、いつかは勝つもん!」
「それよりヤマ、ヘイゲン、ミズウミのどれに行こうと思ってる?」
「私はミズウミにしようかな、魚釣りなんか楽しそうだし」
「俺はヤマに行くつもりだ。なにかあったらフレンドチャットを使おう」
ユリと別れて数分後、リュウからメッセージが来ていた。勿論リュウとは龍太郎のことだ。
「闘技場で戦わないか」
ヤマにいくか多少悩んだが、リュウとの戦いの方が魅力的に思えた。
「おう、良いぞ。すぐに向かう」
リュウとのフレンドチャットを終わらせると、ゲートをくぐり、始まりの街へと帰って来たのだった。闘技場に到着すると、リュウが待っていた。リュウの見た目は青い髪のツーブロックで、目の色も青だった。
「リアルとは随分な差だな。勿論見た目の話だぞ」
「へへっ、そうだろ。結構こだわったんだぜ」
「それで、練習試合か?」
「いんや、公式試合をしてもらう。手を抜かれたんじゃたまったもんじゃないからな」
「了解した。じゃあお互いに指名しあおう」
リュウとジマの試合が始まる。ジマはこの前の試合で勝利しているから、知っている人がいれば、オッズはジマ有利となっているだろう。
「シッ、シュ、シッ!」
ボクサーの本気のワンツーは避けれない。一発くらってしまう。
「バシッ」
ジマも負けじとローキックを返す。このままローキックで足を折るくらいいじめてやっても良いが、ムエタイには肘打ちがある。ボクサーの距離感でもやってやれる自信があった。
とりあえずローキックで攻めて、リュウの動きが鈍るのを待つ。距離感さえ保てば、反撃も避けられてちょうど良い。
足がまだ動くうちにと、リュウが攻勢に出た。それをジマは避けて避けて、もう避けきれないといったところで、肘打ち一閃。リュウのこめかみをとらえ、試合終了となった。
「負けちまったか、次も頼むぜ」
「おう、その時はよろしく」
こうしてリュウとジマの戦いは終わったのだった。




