使節団様
帝国の兵士が小鬼の集団により壊滅的ダメージを受けてから一週間。
連日帝国の使者様がゴブリン討伐に熱弁をふるったらしい。
一度だけ使者様に声をかけられ、その時に「幻のゴブリンに出会えた感動を伝えたらいいですね」と話したら激昂されてしまい、兵長からはゲンコツを落とされた。
理由はわからないが、やはりスラム育ちが使者様と口を聞くことが失礼だったのだろう。
そして今日、城前の大通りを帝国の使節団が堂々と行進してきた。
住民は邪魔にならないよう戸口を閉め、家の中からその姿を見ているはずだ。
一方、城の中では会談(・「・)のために中庭に騎士団や兵士が集められ、会場の支度をしているらしい。
兵長からは、「何もせずに門を開けておけ。そのまま中庭に迎え入れ、お前は森の中に奴らに捕まらないよう急いで避難しろ」と伝えられたのだ。
『総員突撃ー!』
《おおおぉぉっ!》
帝国軍人が城門に殺到する中、オレは一人門の前で今日の役割を果たすべく帝国軍人を迎えた(・)。
今日は門衛の日、広大で軍事訓練が行われる中庭とはいえ、城に入る者の武装は全てココ(・・)で取り上げる(・・・)のが通例であり規則だ。
彼らには、武器をここで預けて行くようにお願いしなくてはならない。
『門を開けて逃げなさいルッシェ!』
門の裏側で、教官らがお怒りのようだが規則は規則。
いや、門衛は初めてだからわかんないけど。
「帝国の皆様!こちらに武器をお預かりいたしてよろしいでしょうか?」
『構うな!進めー!』
◇
「シュルガの兵士は化け物かっ!?」
「これが仕事ですので」
帝国使節団様から、全ての武器を預かった(・・・)ところ、何度も苦情をいわれてしまった。
だが、城から出てきた騎士様方が「後は此方で対応する」と帝国使節団様一人に対し、二人ないし三人で丁重に場内にお連れにならると、彼らはやや無理のある笑顔と笑いを上げながら、城内に迎えられた。
『こんな事が皇帝に知られたら家族が…』
『破滅だぁははひはひは…』
『くひひ、これは夢だ夢なんだ』
『あははは、死にたくない死にたくない死にたくない…』
『ふはははは、化け物ばかりじゃないか…』
しかし、やはり俺の対応がマズかったのか、それ以後門衛の役目に俺が就くことは一度としてかった。




