幕間
「回収された炎竜の死骸の状況は?」
「保存状況は良好としかいいようがありません。すべて凍りついた状態で発見されました。」
巧妙に草の下に隠された死骸を発見した冒険者には結構な金を渡す代わりに素材は全てこちらで引き取る形となった。
肉の半分ほどは失われ、内蔵も全てとはいかないが竜玉を作り出す器官が失われついたのがおしい。しかし皮と骨はほとんど手付かずできれいに肉だけをはがされていた。
問題はその面構え、まだ未熟な炎竜はツノも牙も小さくツルツルのトカゲと変わらない。
「翼がないな。」
「元々ないみたいです、恐らく空はとばない地竜系に育ったでしょう。」
「地竜、鎧竜かよくしとめられたな。」
地竜は地を住処とする竜種だ、とりわけ発見が難しく成長すると岩石をその身にまとうので鎧竜と称される。
天然石の多重構造を着込んだ鎧竜は鋼剣や並みの武器では太刀打ちできず、際限なく巨大化し山に紛れてなお成長を続け山を飲み込むとなどの逸話まである。有名なガイア山脈は巨大化した鎧竜のなれの果てと云われている。
そして、それが事実であると近年の冒険者が少なくとも口と目らしき器官が存在したとの報告をしたという。
「彼だと思うか?」
「そうでしょうな、私も知らずとはいえ尻尾肉やらなにやら頂きました。」
「召喚勇者に刺激されて、我々の勇者が目を覚ましてくれないものか。」
「あれは無理でしょう、目立つことや昇進や恩赦を心底嫌っています。」
「なら、やはり平兵士のまま飼い殺しにするか?」
「…案外喜ぶかもしれません。」
溶けかけの炎竜の死骸の前で二人は話し込む。
片や総兵士長、もう一方は騎士団長。
二人は次元の違う訓練に巻き込まれる事を恐れ理由を作っては回避している。
召喚勇者達を軽くあしらうスラム育ちの兵士の双肩にさりげなく全てのを任せながら。
「ところでハラショー、今日はどのあたりが狙い目だろうな。」
「やはり、騎士隊がいるあたりより、侍女の更衣室だな。
騎士隊は訓練でなんとかならんか?」
「これ以上質は落とせん女性騎士はそろそろ練度が危険な域になりつつあるんだ。」
「行こうか我々の戦場へ。」
「ああ、たとえ天にその身が許されぬとしても我々が活きるために。」




