【第二章】・盗賊
以前の章はSSにして章そのものを作り直しました。
今日は朝から城の中がバケツの水をひっくり返したような大騒ぎ。
なんでも、第二王女様シャマナ・ヒヨク・シュルガ様が朝から行方不明だと騒いでいるらしいのだ。
ちなみに、スラム育ちのほとんどがその顔を知らない。
式典にはよく出席しているとの話しであるのだが、そもそも兵士は外の警備と仕事中になる。そもそも兵士になる前は知りようがなかったからな。
普通の市民ならスラムじゃあまり知らないんじゃないか?
一応捜索隊みたいのも指揮されたらしいが騎士隊だからな、兵士も普段より街の見回りを増やした。数が増えれば顔を知る者も中にはいるから発見の可能性は増える。
けど、それらは連絡不足による誤解というもの。
さきほど、姫様不在の連絡を受けた護衛騎士が慌てて馬を走らせた。
最近は、勇者と王城の内側にある森で《くすぐり鬼》というしょうもない訓練をしていた。
ちなみに俺が鬼で他はただ逃げるだけだ、この遊びは一人がひたすら鬼役で逃げ惑う者を捉えたら全開で《コチョコチョ》するわけだ。ちなみに逃げる側は本気で抵抗していいし、捕まっても鬼が去った後は回復したらまた逃げられる。なんどもくすぐられる内に本気で逃げるようになる。
ちなみにリタイアしても追いかける。
かわりに、鬼は連続して同じ獲物を捕まえてはならないし魔法や武器は使えないなどの制約がある。
そしていま、姫様は草むらで息も絶え絶えで倒れていた。
年は14歳で将来は美人になること間違いないが今は涙と鼻水できれいなお顔は台無しである。
しかし捕まえた獲物に遠慮は無用。
なにしろ、くすぐり鬼はよくある鬼ゴッコではない。
くすぐり鬼なのだ。
鬼の目的はくすぐる事だけ、血も涙もない鬼は捕まえた獲物をひたすらくすぐり倒すのみ。
廉価版のゴッコと同じ気持ちでいてもらっては困る、これは遊びではないのだ。
しかし、仮にもわが国の姫君手心を加えて差し上げるのは当然なのだが。
「降参なさいますか?」
姫君が息も絶え絶えになりながらもイヤイヤと首を横にふる。
こんな感じで朝から勇者と共に参加されている。
最初は親衛隊に囲まれたまま逃げる彼女に流石に手を出すのをためらいタッチ程度で解放していたのだが、他の獲物との扱いの違いにだんだん表情を暗くしていった。
そうしてる内に動かなくなってしまい、それを見かねた姫君の親衛隊や護衛騎士と相談した上で彼らも個別に参加し全員参加での《くすぐり鬼》となった。
とりあえず、動かなくなった姫君は鬼の餌食となった。
それから、今に到るのだが姫君はなかなかに根性があるというか意固地というか、一応体力がないと思われるから本人の意志で離脱出来るようにしたねだが、何回捕まっても一向に降参したい。
ちなみに、親衛隊や護衛騎士は意識朦朧とした所でそこらに打ち捨ててある。
いまだに回復しない所をみると気絶しているかもしれない。
俺は俺で、お貴族様になんて罰当たりな行動をしたかと筆舌にしがたい後悔に苛まれている。
しかし、勇者達も河原や草むらで昏倒している。
途中で手を組み襲ってきたが、返り討ちにしその場で纏めてくすぐり倒した。
最後に残ったのは姫君だけで、鬼は次の獲物を捉えないと姫君には手を出せない。
しかし、生き残りは姫君だけ。
「仕方ありません、この勝負姫様の一人勝ちです。」
「ホントっ!!?」
「えぇ、本当です。」
そう答えると姫様は嬉そうに力尽きた、いろいろ酷い状態のお顔を拭いて差し上げる。
ちなみに、ルールでは勝者が次の鬼を継承するのだが、姫様には勇者や騎士を捕まえてくすぐるのは無理だろうと判断し黙っている。
ちなみに、スラム育ちの永久鬼は姐の一人が継承したままだから恐ろしい。
次の世代からは日替わりになったはずだ。
弱肉強食を絵に描いたような遊びなのだが、これがまたいい訓練になっている。
しかし、ウチの姫様は本当に根性があると、参加者を一カ所に集めながら一人感心していた。
ちなみに、倒された鬼は参加者全員に手料理を振る舞うというルールに変えた。
くすぐり《鬼》が今回どうからむのでしょうね?




