焦燥②
エンドレシアの奥深くまで来たが、何やら焦げ臭い臭いが漂っている。
「これは生き物の焼けた臭いだな。何か家畜を焼いた臭いとは違うきがするんだが?」
鼻を抑えて眉間に皺をよせるハルジオ。
『これは人間だな。』
「何?では、シルグランドの噂は本当だったってことか。」
『どうする?調べるか?』
「……一応何かの情報は欲しい。周囲を警戒しながら調査しよう。」
『了解した。』
臭いを辿っていくと、焼け野原になった森があった。その中心地には元は人間だったと思われる炭や遺骨、甲冑、剣などがあった。
「これは酷いな……。甲冑から見てシルグランド王国の騎士だろう。」
『……それに、ドラゴンのブレスによる炎だろうな。』
「やはりドラゴンなのか?」
『間違いない。匂いもドラゴンだ。この辺一帯はドラゴンの縄張りのようだ。』
「となると、縄張りを侵したコイツらを排除した……か。」
『だが、おかしい。俺が侵入したのにも関わらず、襲ってくる気配がない。』
「確かにな。」
『もしかしたら、このドラゴンはまだ若いのかもしれん。』
「若いとどうなんだ?」
『感情をコントロールできなくて、暴走しているかもしない。そうなれば見境なく何でも襲うようになる。』
ハルジオは焦った。もし、そのドラゴンが隣国や同盟国を襲ったりでもした場合、そのツケが我が国に回ってくるかもしれない。ドラゴンを唯一所有しているイシュツア王国の陰謀だと我が国に謂れのない負の連鎖が襲いかかってくる。それは絶対に阻止しなければならない。
「ディオ、緊急事態だ。急ぎドラゴンの捕獲、または暴走を阻止しなければならない。もはや我が国にとって無関係ですなどと言えるような状態ではない。」
『すまない。』
「いや、俺はお前の同胞にこれ以上罪を重ねてほしくない。世界でだった二頭だ。何の柵もなく生きて欲しいと、そう思う。」
王である前にディオラクスの相棒なのだから。友の幸せを願っている。だからまだ間に合うなら何としても止めなければ。




