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未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その7)
ミツオはサブの店で痛飲していた。おごりの酒ほどうまいものはない。しかもいつもの安酒ではないときている。貧乏性のミツオがご機嫌にならない訳はない。財布の中身が空であることなどどうでもよくはないが、どうでもよいかのような錯覚に陥りながら酔っていた。サブもクーマの成功に酔いしれていた。ただし、自身のうしろめたい人生ではその輝きのすべてを享受することはできないでいた。「やくざ者のオイラには、身の過ぎることでした」
思い詰めたサブが突然ミツオに真剣な表情でぽつりとつぶやいた。ミツオはすべてをすぐに理解した。
「クーマは誰が作ったのか。いつか世の人が気付いてくれる時がやってくるよ」
ミツオは根拠の無い慰めを言うのが精一杯だった。
「もし、やるとしたら…」
ミツオはひらめいたことをサブに言おうとした。
「やるとしたら…」
サブが身を乗り出す。
「やくざ世界から足を洗うしかない。しかも、元やくざの世界にいたことを公表した後で、なおかつクーマ以外のもので世間に認めてもらった後で、クーマは僕が考えたというかなあ…」
ミツオの言葉のあと、二人は黙り込んでしまった。




