未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その58)
そのころミツオは落ちていた。基本的には上から下に落ちていたが、途中、滑り台やエアーで進路を変更されながら運ばれていた。
通路内はかすかに振動が発生していて、通路内につまらないようになっていた。その場にとどまろうとしても、無理な注文のようだった。
坂道の先に扉がうっすらとミツオには見えた。その扉が開く。ミツオの体を支えていた通路の感触はなくなり、宙に放り出されていた。
着地した感触は金属の塊。
宇宙に排出されるゴミが納めてある部屋だとミツオは確信した。
体育館ほどの巨大な空間の二階部分には室内を見下ろす位置に作業スペースがあり、ミツオのいる位置からはアクセス出来ないが、人が操作する操作盤がミツオから見えた。
「さて、大変なことになったな」
ミツオの口元には笑みが張り付いている。言葉とは裏腹に、どうやらこの状況を楽しんでいるようだ。
周囲を確認していると壁のゲートが開き、人間が無言で落ちてきた。
ミツオは目の前で落下する人物を観察する。
男
上下黒の宇宙服。
ヘルメットのバイザーを通して鋭い眼光がミツオを捕らえていた。
落下中の男とミツオの視線が空中で交差する。
男の瞳に敵意を感じたミツオは、素早く金属スクラップの陰に身を隠す。
直後、ミツオの目の前のスクラップが消えた。
着地した男の気配をミツオは消し飛んだ金属の先に感じる。
左手をまっすぐにかまえた男が仁王立ちでそこにいた。
男のスーツは特別仕様のようだった。攻撃を終えた左手を再びスーツが覆う。攻撃の瞬間だけ生身が出る仕様だった。
「さっきの船に乗っていたな」
ふいに男がミツオに話しかけてきた。
地球から単身、後をつけていた男。
その男は山本親分。
エリーとは違う場所にドッキングして、ステーションに乗り込んできた。押し込み強盗か、海賊の手口だった。
ミツオにはあいにくと誰だか分からなかった。だが、船で移動している間、つけてられている気配は感じていた。
「だったらどうする」
「あの船の金髪の動駆に恨みがある。関係者ならば同罪だ」
ミツオは山本親分の言葉が終わらない間に身を隠していた。
しかし山本親分はすでにミツオを捕らえていた。




