未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その49)
エリーはグリーンが侵入したハッチとは違う場所に船を付けた。ハッチの形状は国際規格で統一されているため架橋をつなぐこと自体は容易だった。
「このステーションのシステムに侵入します」
エリーは船の操作を一度やめる。ハッキングは船のシステムを利用せずにエリー単体で行うようだ。エリーは静かに目を閉じた。エリーのじゃまをしないようにミツオはサブに小声で話しかける。
「あのバッド・チューン博士はどうして一緒にやってくることになった」
「クーマが大変なことになったと騒いでいました。おそらくクーマと繋がってやりとりがあるのかもしれません。でもクーマが心配ということではなく、興味があるという理由を強く主張して同行を申し出ていました。メカが専門なんで、この場にいてくれた方が心強いところはあります」
バッド・チューン博士はよくみる服装にそぐわない大きなバックパックを背負っていた。工具を持ち歩いているのかもしれないとミツオは思った。バッドチューン博士の興味は処理ステーションの底部に移り変わっていた。
「ミスター・グリーンはこの施設の何を利用しようとしてここにやって来たのかしら。もしかして……」
「何か分かったことがありますか」 ミツオは少女に敬語で話しかける。ミツオの物腰はバッドチューン博士には悪くないようだった。気をよくしたようで、声のトーンが一段がった。
「レーザー照射システムかもしれない。ほらあの機械が4個、発射カタパルトそれぞれの先端にある」
バッドチューン博士が指さした先には確かに巨大な砲があった。
「あれにはおもしろい特性があってレーザー光をまげることができる。最大出力を照射すれば地球を覆う光の膜を作ることもできるでしょう」
ミツオが聞く。
「それで何ができるのですか博士」 バッドチューンは少し、はにかみながら口を開く。
「私の想像ですが、このレーザー光のもう一つの特性、エネルギーを閉じこめる性質。これを使うかもしれません」
ミツオが何かがひらめいたように返答した。
「地球を何かで満たそうとしている」
バッドチューン博士とミツオの視線が交差する。
二人には同じくらいの濃さで自分たちの予想が確信に近いと感じていた。
「ステーションとのドッキングに成功しました」
エリーの報告にミツオは早足でハッチに向かった。




