未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その41)
ミツオは持ってきたタイラップとロープでパープルを物置の奥に押し込んで、なおかつ固定した。
クーマが目を白黒させてミツオに話しかける。
「その胸の矢は大丈夫なの」
ミツオの胸に相変わらず突き刺さったままの矢をクーマが指し示す。
矢の存在を忘れていたミツオが思い出したように矢を掴んでひっこ抜いた。ミツオが首もとから手を差し込んで、何かを投げ捨てる。それは皮を何重にも重ねた分厚い断片だった。
ついでにちゃっかりとタバコに火を灯し、深く煙を吸う。
「夢を見た」
煙とともに、吐き出した言葉はクーマには理解できなかった。
「夢?」
「そうだ。信じないだろうが、俺の夢は、ただの夢じゃあない。矢を放った相手の顔はっきりしない。でも矢が七発飛んでくる夢だった。そして七発目の矢は見事に俺の左胸を貫く。そんな夢だった」
「ミツオさん。未来が見えるのですか」
クーマは率直に驚いた。しかし結果的に矢を避けたのは事実だったので、ミツオの話を信じることにした。
「ごく、ごくまれに見る。でも自分ではコントロールできない。今回はそれに助けられたというわけだ」
ミツオは手で腰の辺りを払いながらクーマに説明した。
「さあ、行こうか」
ミツオはクーマに向き直る。
しかし、今の今まで普通だったクーマの様子がおかしい。
ミツオの話し声がまったく聞こえていないような放心状態を維持している。ミツオがあきらかにクーマの異常を感じたのは、クーマの瞳の色が燃えるような紅だったことだった。
うつむき加減だった顔がゆっくりと動く。
ミツオと目があった瞬間、見たことのないスピードでクーマがドアをめがけて飛ぶ。
ドアとクーマの間にいたミツオはクーマの直撃をくらいそうになり、あわてて道をあける。
遮るものがなくなったクーマはそのままドアの向こうに消えていった。
「なんだ」
ミツオもクーマの後を追うしかなかった。




