未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その38)
パープルは外部からの侵入を疑っていた。スピーカーから聞こえたノイズは近くで無線をさわっている人間がいる証明でもあると思った。手にしたクロスボウには弓が七本セットされている。当然、換えの弓はベルトに垂れ下がっているケースに収められていた。
外部につながる扉は限られている。盗賊が使う常套の進入路は建物の裏と相場が決まっている。
パープルはゆっくりと、しかし確信を持って歩みを進める。
道筋にある部屋の前では逐一、立ち止まり室内の音を確認する。
裏口へと続くある部屋の前で立ち止まったパープルは室内から誰かの聞き慣れない声を確認した。
クロスボウを前方にかまえながら扉をゆっくりと開ける。
侵入者の姿はまだ確認できない。
少し歩を進めたパープルは侵入者の姿を確認して驚愕した。
クーマが自立行動している。
「動くな。動くと撃つ」
パープルはそう宣言した。
クーマはその声に驚き、あわてて振り返る。
その動きを見たパープルは躊躇なく、クロスボウの引き金をクーマの眉間めがけて引き絞る。
クーマは目を閉じるしかなかった。
おそるおそる目を開けたクーマは全身の痛みにおそわれていた。吹っ飛ばされたクーマは何が起こったのか分からなかった。
視界の端にミツオが立っていた。腰がきれいに回転し終わったかたちだった。
「もしかして、おいらのことを蹴ったのか」
クーマはあちこちぶつけて痛いところをさすりつつ立ち上がる。
「蹴り飛ばさないと間にあわなかったから。悪い」
ミツオがパープルを見据えながらクーマに謝る。
ミツオが侵入においてクーマに頼んだことは、侵入センサーをごまかすことだった。
解錠自体はミツオが粛々ととりくんでいたのだった。
「とにかく、間に合って良かった」
ミツオは独り言を言った。




