未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その35)
偽の宅配便としての役目を果たしたミツオは、ジャン親分の邸宅を守る壁を見る。およそ三メートル程度とミツオは思った。
怪しまれないために一度、その後にする。少し離れた場所に止めた、愛車ブルまで戻り、車内で宅配便の衣装を脱ぐ。ブルから飛び出したミツオは監視カメラの薄い場所に流れるような動きで近づく。懐から侵入道具を取り出す。それは一見、針金のように見えるが、しなやかなロープだった。ロープの先に鉤爪が備わっている。先端の鉤爪は15cmほどで傘の骨のようだが、驚くべき頑丈さを備えている。
ミツオは鉤爪を壁の向こうに投げる。鉤爪で固定されたロープをミツオは登る。あっという間に邸内の侵入に成功した。動物を思わせる動きで庭の芝生にミツオは降り立った。建物にぴたりと背をつけたミツオは上着のポケットから、端末を取り出し通話ボタンを押しながら話す。
「クーマさん、クーマさん。こちらミツオ。侵入に成功した。どうぞ」
そのころクーマはグリーンの軟禁場所を探っていた。子分の話声が廊下の角から聞こえてくる度に、いたる所に飾られているクーマぬいぐるみに紛れる。
エリーから、電子会議所経由でバッド・チューン博士の奪還の報告をうけた。
ひとまず安心したクーマだった。その瞬間、ミツオから渡されていたトランシーバーからミツオの連絡が入った。
「打ち合わせどおり、西の裏口の鍵を今、開けました。裏口に僕もいます」
「了解」
クーマがいる部屋の扉が音もなく開いた。
しかしその扉は、クーマがミツオを招き入れる為に開けた扉では無かった。クーマの死角にある位置の扉がゆっくりと開く。




