未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その34)
海水は一気に空間という空間を満たす。博士から飛び出た男の子とエリーも濁流に飲み込まれる。男の子はずぶぬれになりながらもエリーに言う。
「おもしろいことになったね」
山本親分は濁流に飲み込まれて姿が見えなくなる。それを見たエリーが恐怖を感じる。
「これからどうするの。それにあなた誰」
エリーは自分のできることを考えるしかない。男の子は自分の置かれている状況を明らかに楽しんでいるようにエリーには見えた。
「僕はバッド・チューン博士と呼ばれているよ。博士の外観は作り物。僕の作った動駆なんだ。自分で言うのもなんだけれど、すごくよくできている。だから安心して。こんな時でもすごく大丈夫」
子供博士は指を鳴らした。膜状になって水面を漂っている動駆が立ち上がり、二人を包み込む。エリーは動揺を隠せない。子供博士は姿の見えないエリーの手をつかんでからこれからの作戦の説明を始めた。
「さっきの原子波があったでしょう。どうやって閉じこめたかわかる」
「分からない」
「簡単に言うと破壊するスピードよりも速く原子を作ったということ。内側は原子を作り出す機構を搭載しているんだ。だから酸素も作れるよ」
子供博士が言い終わると、動駆は酸素を供給し、ボール状になった。
「ちなみに膜の外側は指向性の波を作ることができる。だから行きたい方向に行けるんだ」
子供博士は水圧でドアが開かなくなる前にドアを開けて地上を目指した。
手下たちはどんどん濁流にのまれていき、自分のことで手一杯だ。
その姿を見ながらエリーと子供博士は山本親分のアジトを悠々と脱出した。
突然現れた子供が、まさかバッド・チューン博士だとは誰も思わなかった。




