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未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その36)
ジャン親分のアジトの一室。クローゼットの扉にしつらえてある姿見の前で一人の男が自分の姿を映していた。鏡に対して体は少し斜めに開いている。両腕をゆっくりとした速さで持ち上げ、弓を引くかまえに変化させる。
男の呼び名はパープル。
ジャン親分と同じ趣味を持つ男だった。
室内にはレコードから流れる静かなピアノの旋律が流れている。
弓のフォームは再現性が命。そう考えるパープルは肉体と対話していた。
自身の生き方もアーチェリーと同じく集中と再現性だと思っていた。ジャン親分への集中と、裏切りの再現性。パープルは乗っ取りを家業としていた。いつか、ジャン親分のうまみを全部、自分のものにすると密かにたくらんでいた。
先ほどから、パープルはスピーカーからかすかに混入するノイズが気になっていた。
定期的に複数回のノイズが繰り返されたいた。パープルは鏡の前からオーディオセットに移動する。
レコードの信号を拾う針は非常に繊細なものだ。
近くに電波が飛んでいると針はアンテナのように電波を拾ってしまうことがある。
パープルは小型弓を手に取り、部屋から出て行く。




