未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その29)
エリーは扉の前の男の端末にアクセスを試みる。山本邸内のローカルネットワークに現在位置が合致した端末を見つける。
メッセージを送る。
「至急、1階に戻れ」
パイプ椅子に座る男は手元を見た。
「なんだよ」
男は、小さくつぶやいた後、立ち上がり、エリーの直ぐ横の扉に消えた。
エリーは安堵のため息を漏らして、バッド・チューン博士が捕らわれているであろう扉に張り付いた。
慎重に扉を触るエリーの手には施錠の感覚があった。
鍵はどこ。
ふすま風の扉にトランプカードぐらいの大きさの平らな平面があった。おそらくカード式の鍵が必要だとエリーは思った。
エリーは直感を信じて目を閉じる。
データの海を探る。
エリーは門番の男とすれ違う時に、男が発している電波を取り込んでいた。そのデータを、くまなく、瞬間的に検索する。
エリーはしばらくの逡巡の後、目を開ける。
鍵のコードを見つけた。
エリーは扉に手をかざす。
扉は音も無く左右に開いた。
室内には巨大な水槽が何個もあり、水が落ちる音が幾重にもこだましている。
それぞれの水槽には動こうとしない肺魚が底面に貼り付いている。
調度品は水槽の部屋の中央にある椅子だけが存在している。
その椅子には縛り付けられた状態の男が座っている。
目を見開き、声にならない声を出して目の前の異変に何かを訴えている。
口にはテープが貼られている。
バッド・チューン博士がそこにいた。




