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9 DreamRiser

 夏の大会一回戦の前日。


 レイアは空調の効いた評議会室で自席に座り考え事をしていた。


 天候が崩れたので機体の点検は一時中断。窓の外からは雨音だけが聞こえてくる。


 一二月に行われる大学選抜戦。


 このまま瑞穂空戦部だけで挑めば、多勢に無勢で勝負にすらならない事は子供でもわかる。


 あまりに問題が大き過ぎるが故に、最初に取り掛かるべき課題は明確。


 機体と搭乗員を提供してくれるスポンサーを見つけなければならない。


 公式戦ではないのでスポンサーは高校でも大学でも法人でも良いが、一つのスポンサーが戦闘機なり爆撃機なりを搭乗員付きで十機提供してくれると仮定した場合でも、大学選抜と機体数を揃えるために必要なスポンサーの数はおよそ十となる。


 まず仮定自体が非現実的なので、普通に考えれば荒唐無稽な話だ。


 しかし、この空理空論を現実化できそうな人物を、レイアは一人知っていた。


 ヴィクトリア空戦部の部長。Fiona Grey=Wenzar。


 イギリス王室に名を連ねるスコットランド最大の貴族であるため、留学してきた時から有名であったが、日本に来てからの自由奔放な振る舞いで増々有名になった。


 趣味でジャッドバラ・アックスを投げる放埓ぶりから、付いた二つ名が『スコットランドの斧投げ妖精(Axrow Banshee)』。


 イギリスの貴族であるという誰にも制しようがない権力と凄まじい経済力、そして本人の傑出した空戦技量によって自由気ままに振舞っており、その言動はしばしばニュースになる。


 ただし何もかも思い通りにできるわけではないらしく、高校卒業後はスコットランドに帰る事が決まっているらしい。


 そのためか、日本での競技空戦をもっと楽しみたいという趣旨の発言をしばしばしている。


 その中でも特に注目すべきは、必要な費用は自分が払うから、複数の高校で連合チームを作ってエキシビションマッチやってはどうかという提案だ。


 実現すれば日本の高校空戦の宣伝になるので高空連としても無視しているわけではないようだが、実現へのハードルは高く、現状では構想の域を出ていないと思われる。


 実施するなら冬の大会終了後になるだろうが、その頃になると各校とも一、二年生の育成に舵を切っているためエキシビションマッチも単なる練習試合と捉えられ、真剣勝負にはならない。


 それはグレイ=ウェンザーの望む形ではあるまい。


 そこにきて先日、瑞穂空戦部と大学選抜が試合をするという特別イベントの話が持ち上がった。


 グレイ=ウェンザーと直接会って話をした事が無いので期待交じりの憶測ではあるが、興味は持っているのではないだろうか。


 大学選抜の練習試合という扱いであるが、瑞穂空戦部側が全力で勝ちに行く事は明らか。


 また、この練習試合は大学選抜のキャプテンが私達の高卒プロ入りを阻止するために仕組んだものであると説明すれば、大学選抜側も手は抜かないと理解されるだろう。


 故に真剣勝負。


 競技空戦を楽しむという点を重視するなら、エキシビションマッチなどより遥かに魅力的なはずだ。


 グレイ=ウェンザーが相当数の戦力を提供してくれたとしても大学選抜との戦力差は依然として大きいが、状況は大きく前進する。


 その後のスポンサー集めのハードルが下がるからだ。


 二つの勢力がぶつかり合う時、どう考えても勝ち目の無い側に投資しようとする人間はいない。


 しかし、現時点では劣勢であったとしても、その勢力が急激に拡大しており、今後も成長が見込まれるなら、投資先として選ばれ得るのだ。


 瑞穂空戦部側の戦力が短期間で急拡大したという事実を世間に宣伝する事ができれば、その後のスポンサー候補との交渉は遥かにやりやすくなる。


 高校空戦全体のレベルアップだとか、チームの知名度アップだとか、滅多にない経験だとか、お題目はいくらでも思い付く。


 そして既に席は埋まり始めていると匂わせる事で、聞き手に熟慮させる余裕を与えないよう急かす事もできる。


 シュタージ職員として働いていたせいでこんな事になっているのだが、発生してしまった問題を解決するうえでは、シュタージ時代に培った手練手管が役に立つだろう。


 情報公開による印象操作。群衆心理の利用。


 法を犯さない範囲で、できる限りの事をやるのだ。


 とはいえ、それらはグレイ=ウェンザーの協力を取り付けられたという前提に基づく話。


 先立つものが無くては始まらない。


 正念場となる明日の試合に勝利したら、すぐにグレイ=ウェンザーと面会するアポを取ろう。


 レイアがそう考えた時、ドアをノックする音が聞こえた。


 席を立ってドアに近付いたレイアは問う。


「誰?」


 学校評議会の部課長の誰かか。


 しかしレイアの予想は自己紹介によって裏切られた。


「フィオナ・グレイ=ウェンザーと申します。レイアさんはいらっしゃいますか?」


 一瞬タチの悪い冗談かと思ったが、ドア越しでも声でわかる。本人だ。


 レイアは驚きつつ鍵を開けてドアを開けた。


「こんにちは。魔女さん。これから私達とお茶を飲みませんこと?」


 間違い無い。金髪のギブソンタック。ヴィクトリア高校空戦部部長。フィオナ・グレイ=ウェンザーだ。


 その隣にいる銀髪の少女はウェールズの銀輪遊道(アリアンロード)ことキャサリン・シルバーロード。


 さすがに驚きを隠せないレイアは湧き上がった疑問を口にする。


「どうしてここに?」

「お茶会に誘いに来ましたの」

「熱烈に」

「どうして私がここにいるとわかったの?」

「滑走路に行く前に寄っただけですわ」

「適当に」


 丁度二人と接触を持ちたいと考え、時期と場所について勘案していたところ。


 本来なら願っても無い機会だが、時期が悪い。


 明日は今年度の公式戦の中で最大の鬼門たる錨桜との試合。


 負ければ大学選抜との試合など意味が無くなるのだ。


 今は明日の試合に集中したい。


 気を悪くしないよう、丁寧にお引き取り願おう。


「実は私の方こそ、頼み事をしたいと考えていたところなのよ」

「そうじゃないかと思って、やって参りましたわ」

「都合も訊かず」

「ただ、流石に今日は無理。依頼する立場で申し訳ないけど、日を改めて。私は滑走路に戻らないといけない」

「せっかく来ましたのに」

「無聊をかこちて」

「確かに明日はヴィクトリアの試合は無いけれど」


 言いつつレイアは評議会室を施錠する。


「頼み事とは、瑞穂と大学選抜の試合のことでしょう?」

「最近話題の」

「その通りよ」

「是非協力したいと考えておりますわ」

「心躍らせて」

「それは私にとって極めてありがたい申し出なんだけど、今日だけは駄目。明日負けたらその時点でプロ入りは御破算」

「勝てますわよ。貴方達なら」

「激闘の末に」

「まさにそうなのよ。シルバーロードさんの言う通り。明日の試合は気を抜けない」

「親しげに」

「そうね。私達の事はファーストネームで呼んでくださいませ」

「あらそう。私もレイアでいいわ。じゃあ今日はお互い自己紹介したという事で」

「このままじゃ帰れませんわ」

「手土産が必要?」

「既に貴方とお茶会をする用意を整えていますのよ」

「独断で」

「こちらが頼み事をする立場とは言え、来る前に連絡をくれないと。さすがに今日は無理」


 階段を降りながらレイアは言う。


「恐縮して」

「不躾を承知でお願いしますわ! 私楽しみにして来ましたのよ? きっと後悔させませんわ」

「気になったんだけど、キャサリンの発言が凄く短いのは、なんで?」

「私といる時のカディは、一応表向き私のお目付け役兼補佐役兼修飾語役なんですの」

「だから副詞が多いと」

「やむを得ず」

「でもフィオナはもう日本語堪能よね。不要じゃない?」

「カディが日本に留学する条件が私の補佐だったんですの。建前でも、初回はやっておきませんと」

「そういうものかしら」

「致し方無し」

「とりあえず私の携帯番号を教えるから、明後日以降電話して。私から連絡するかもしれないけど」

「歓迎ですわ」


 立ち止まったレイアは携帯を開け、赤外線通信で電話番号を交換する。


 その後校舎の玄関扉を開けて外に出ると、雨は止んでいた。


「せっかく来てくれたところ悪いけど、今日は帰ってもらうしかないわ。今度はこっちから行くわよ」

「まぁいいじゃありませんの。少しくらい飲んでいったって」

「いや。試合前に私だけのんびりしていては士気にかかわる。作戦の最終調整もあるし」


 フィオナの誘いを断り、レイアは滑走路に向かって歩く。


「大袈裟に」

「貴方を待つのは心を癒す珠玉の一杯。口に含めば脳裏に浮かぶ春の花園。魂すら安らぐ、まさに飲む大英帝国!」

「ていうか貴方達滑走路まで着いてくるつもりなの?」

「まだお茶会が始まっていませんもの」

「だから、今日は無理なのよ!」


 レイアは断ったが、聞こえもしなかったかのようにキャサリンはお題を出す。


「親友の様に」

「お! 良いところで会ったな。どうだ、これから一杯」

「まだ会って数分でしょ」

「ナンパに」

「よう可愛いお嬢ちゃん。私とお茶しない?」

「今時いないわよそんな人」

「初々しく」

「あ、あの、実は、私、前から……貴方の事が好きだったんですの! お茶に付き合ってください!」

「そんなキャラじゃない事くらい噂に聞いてるわ」

「新聞屋の様に」

「お願いします! まずはお茶会だけでも! 今なら牛乳が一年分付きます!」

「絶対腐る!」

「北米版」

「ヘイガール、ミーと一緒にhave some teaしませんこと?」

「ネイティブだろあんたら! あ、もしかしてあいつらが喋ってるのは英語じゃないっていうジョー」

「さりげなく」

「それがお茶の淹れ方」

「ギンギラギンなお茶ってある!?」

「クイーンの様に」

「At anytime an invitation. You can’t decline」

「だが断る!」

「逆さまに」

「わたしまいましてれ溢が茶おらたしにまさ逆をプッカ」

「いなゃじれ濡ょしびが床 ょしで前りた当」

「詩うように」

「夏雲や 君と和むる 茶のしらべ」


 詩歌には疎いレイアではあったが、雨が上がったばかりで白い雲が浮かんでいる今の情景をよく反映した詩だとは思ったので、返句を詠むことにした。


「夏雲に 明日をゆずりて 茶恋し」

「虹立ちて 君と分かつる 茶の香よ」

「残念。虹は春の季語よ。目の前の風景を取り入れたい気持ちはわかるけど」

「何ですって!?」

「新たなる知見」

「間違えてしまった以上、今日は帰ってもらうしかないわね」

「ガールズ&感」

「I just feel my wind」

「I just feel my shine」

「空にー」

「じれったい夢だけれども! 滑走路に着いてしまったわね。見学ならしてもいいけど、滑走路には立ち入らないで」

「スカイネットの如く」

「I’ll be right back」


 そう言い残してフィオナとキャサリンは走り去っていった。


「さっさと失せろ、ベイビー」


 レイアの返答は誰にも届くことなく風に乗ってかき消える。


 僅か数分ではあったが、やはりとても面白い二人組の様だ。


 大学選抜との試合を抜きにしても是非お茶会に興じたいところ。


 今日は日が悪かったが、一回戦に勝利した暁にはすぐ連絡するとしよう。


 格納庫に戻ったレイアはハンナに話しかける。


「何と、ヴィクトリアのグレイ=ウェンザーとシルバーロードが私に会いに来たわ」

「今日? どこで?」

「いきなり評議会室に来たわ。監視でもされてるのかしら」

「普通先にこっち来るよね。来てくれた理由は、大学選抜戦かな」

「ええ。その話をするために、お茶会に誘われたわ。流石に断ったけど」

「事前に確認してこないあたり、噂通りの人っぽい?」

「まさに自由奔放といった感じ。でも向こうから大学選抜戦に協力したいと言ってきたのは僥倖ね。正直明日の相手が錨桜でなければ、そっちの打ち合わせを優先したいくらいだけど」

「次に会う約束はしたの?」

「連絡先を入手したから。明日の試合に勝ったらすぐ都合の良い日を聞くつもり」

「私も会いたい」

「当然参加よ。当事者なんだし」

「イギリス貴族のお茶会かぁ。凄い楽しみ」

「そうね。まぁ明日の試合に勝てないと実現しないんだけど」

「勝てるよ。人生賭けた戦いに、私達は勝ち続けてきた」

「ふふ。確かにそうね。チームの状態も良いし」

「六原!」


 レイアとハンナが喋っていると、血相を変えた正吾が格納庫に駆け込んできた。


「でかいグライダーが飛んで来よる! 上にはハリファックス。ヴィクトリアの校籍標識じゃ! 何か知っとるか?」

「いや、知らな……嘘でしょ!?」

「いや大マジじゃ!」


 事情を察したレイアは慌てて滑走路へ出る。


 レシプロ音が轟く頭上を見るとハリファックスが飛行しており、北西を見ると高度を落としながら姿を大きくする機影が見えた。


 加速度をあげて、雲を突き抜けて。


 あれは……ハミルカー!


 既に曳航を切り離されている以上、ここに着陸するつもりなのは間違い無い。


 タイミングからしてフィオナの仕業だろう。


 一体どこまで放埒なのか!?


 呆気に取られながらもレイアは急いで指示を出す。


「稲葉君! インディゴ隊に離陸指示。早く!」

「三、四番機は給油待ちじゃ!」

「タンクは空なの!?」

「多少は入っとる」

「じゃあ離陸! 急いで!」


 頷いた正吾は滑走路のF-8に駆け寄って叫ぶ。


「全機離陸じゃ! 滑走路空けろ!」


 それを聞いた他の部員達は一斉にF-8から離れていき、一機目のF-8が滑走を始める。


 続く二、三機目までは良かったが、四機目が滑走を始める頃にはハミルカーが強行着陸態勢に入っており、その胴体とF-8の翼端が接触。


 態勢を崩したF-8は高校敷地外の斜面に墜落した。


「ふざけやがって」


 毒づいたレイアの視界に黒塗りのリムジンカーが見えた。


 こちらに近付いてくる。その後ろには銀色に輝くロードバイク。


「稲葉君! 直掩隊は武装して集合」

「武装!?」

「単管や角材。護衛対象は私」

「了解じゃ! ヴァイス隊、ゼピア隊は武装して集合!」

「もしかしなくてもあのリムジンってフィオナさん?」

「でしょうね。自転車に乗ってるのキャサリンだし」


 ハンナの質問にレイアは答える。


 リムジンとロードバイクは滑走路の外で停止。


 滑走路の制圧を待つつもりだろう。


 だがそうはいかない。


 武装した男子が八人もいるのだ。容赦無く返り討ちにしてやる。


「戦車だ!」


 思いもよらぬ叫び声に思わずレイアが振り向くと、ハミルカーの降着輪が沈んでおり、下がった機首から戦車が姿を現していた。


 Mk・VII軽戦車『テトラーク』。


「鉄パイプじゃどうにもなんねぇぞ!」

「バールがある!」

「それでこじ開けられるか!?」

「ぎゃぁぁぁぁ」

「土橋が轢かれたぁ!」


 さすがに戦車はまずい!


 レイアは無線機に駆け寄り、空中のF-8に呼びかける。


「平山君。銃弾は?」

「ありません!」

「じゃあ一トン爆弾をあの戦車にぶつけなさい」

「え……大丈夫なんすか?」

「ぶつけなさい」

「了解!」


 指示を受けたF-8は翼を翻すとテトラークに向かって緩降下。


 一トン爆弾を投下し直撃させた。


 信管を抜いてあるので爆発こそしないが、一トンの鉄塊をぶつけられたテトラークは飴細工のようにひしゃげて横転した。


 大きく凹んだアスファルトの修理代はヴィクトリア空戦部に請求しよう。


「よくやった平山ぁ!」

「上手くなったな!」

「ヤーボは戦車より強し!」

「ヴァイス隊はこっちに来て!」


 新たに姿を現した装輪装甲車が滑走路へと侵入してきたのを見てレイアが叫ぶ。


「なんじゃあの装甲車は!?」

「多分狙いは私よ」

「何でじゃ!?」

「ともかく守って。リムジンにも注意! 乗せられたら明日までに返してもらえるかわからない」

「よくわからんが、わかった! マウザー持ってこい! タイヤを狙う!」


 しかしそうは問屋が卸さなかった。


 装甲車は増速すると、ヴァイス隊へ向けて突っ込んで来た。


「退避!」

「ぎゃぁぁぁぁ」

「土橋が轢かれたぁ!」


 ヴァイス隊の防衛は崩壊した。


 テトラークの乗員を制圧しているゼピア隊は呼び戻すのに時間がかかる。


 今ここで新手が現れたら。


「大丈夫。まだ私がいるよ」


 レイアの不安を察したように、ハンナが凛とした声で言う。


 そうだ。過去に物理的な窮地に陥った事もあったが、ハンナの戦闘能力の高さで乗り切った。


 よほど屈強な男でも出てこない限り、私とハンナなら負けはしない。


「ええ、そうね」


 レイアが頷いた時、前方に太陽光を浴びて輝く銀色のロードバイクが現れた。


 跨るのはウェールズの銀輪遊道(アリアンロード)、キャサリン・シルバーロード。


 ニヤリと笑ったキャサリンは、猛烈な勢いでペダルを漕ぎ出し突進してきた。


「……私は逃げない!」

「ハンナ、躱して!」

「これはいなせる!」


 ロードバイクを寸前で躱したハンナは跳ね戻るように横へ動き、キャサリンの鳩尾に肘鉄を喰らわせた。


「はぐぅ!」


 呻き声を上げたキャサリンだが、落ちない!


 自転車ごと傾けて旋回し、自立を保っている。


「マウザー持って来たぞ!」

「装甲車が突っ込んでくる!」

「早く撃て!」

「弾が無い! 弾が無い! ぎゃぁぁぁぁ!」

「土橋が轢かれたぁ!」

「弾持って来たぞ!」

「これで装甲車なんざイチコロだぜ!」


 台車に載せられたMG81の猛烈な射撃を近距離で食らったダイムラー装甲車は多数の弾が車体を貫通。停止して炎上した。


 これで残るはリムジンとロードバイク。


 キャサリンは再度ハンナに狙いを定めており、速度を上げて疾走。


 そしてリムジンも動き出し、滑走路に侵入して突進してくる。


「リムジンを撃て!」

「マウザーが重い!」

「一旦退避!」

「土橋が轢かれたぁ!」


 何とか逃げようとしたレイアだったが、それに合わせてリムジンも進路を変える。


 そしてリムジンはレイアの左半身を捉えた。


「ぐえっ」


 激突されたレイアはくぐもった声を上げて吹き飛び、滑走路に叩きつけられた。


「はっ、躱してやったぜ!」

「そこは轢かれろよ!」

「嫌だよ!」

「代わりに六原が轢かれたんだぞ!」

「俺を轢いてくれぇぇぇぇ!」


 空戦防具を着けているおかげでもの凄く痛いで済むが、衝撃で意識が飛びかけた。


 何とか立ちあがろうとしたレイアの背中の上を銀色のロードバイクが通過。


 再び地面に突っ伏したレイアの手足を、リムジンから出て来たフィオナとロードバイクを乗り捨てたキャサリンが掴み、リムジンに放り込む。


 そしてフィオナとキャサリンも乗り込むと、リムジンはすぐさま発進し、走り去っていった。

次回、レイア、足元を見られ警察の女子硬式野球部に強制参加

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