358:弟子と恋人
アークナイツの危機契約始まりましたね(今更感) 僕は等級15で限界だったよ。
帝都から北に進むこと一時間。目的地である山、『フィルト山』へと到着した。この山で有名なのは自生している山菜らしい。そしてその美味い山菜を食って育つモンスターもそこそこ有名だ。
一番美味いモンスターは『ディグシャクト』という陸生鮫らしい。陸なのに鮫って・・・どこのサメ映画だよと突っ込みたい。しかし名前に反してかなり臆病らしく中々仕留められないらしい。
『それで? 羽蜥蜴どもはどこにいる?』
「これから探す」
警戒心をもたれると面倒なので、ギルファーはいつもの小型化し、俺の肩に乗りかかる。頭にはディア&バンデ。
「「クォォン」」
足元には一応ギンの従者となっているはずの弥生と卯月がトテトテと歩いている。最近構っていなかったからかギンの言うことも無視して俺にくっついてきたのだ。その時のギンがぽろりと『妾だって構ってもらえておらんのじゃ・・・』と目をウルウルさせていたので頭撫ぜ回してやった。
それで一応満足してくれたようで、意気揚々とお使いに出かけてくれた。大概だよなアイツ。変なセールスとかに騙されやすそう。
そんな弥生と卯月だが本来の姿に戻り、全長80cmほどの身体で美しい毛並み、にも関わらず愛らしい姿でとても可愛らしいんだが、その口には先ほどのオーガの腕(生)を加えておりボリボリと食らっている。ちょっとグロ怖い。
「そう言えばリーク姉ちゃんサーチみたいな魔法とかないの?」
「あるけど、この山って魔力が分散してるっていう設定あって範囲魔法系統基本潰されてるの。他にも詠唱破棄不可能とかの制約まであるし。でもどんな形であれ私なら使えないわけじゃないからそこは安心して」
「へぇーあの塔だけが特別なダンジョンじゃなかったんだね」
「レベル70オーバーのダンジョンとかフィールドだとこれくらいは優しい方よ? 毎分HP上限二割減してくる特殊フィールドもあるし、魔法系統完全無効とかまであるわ。あと魔法使えないのにやたら硬い敵が湧いてくるダンジョンとかね」
「うわぁ・・・えっぐ」
「そういうダンジョンは大体パーティーでの攻略と事前調査必須だからもし今後挑むことがあるなら気をつけなさい。まぁアールと挑むなら逆に予習しないほうが楽しいかもだけど」
そんなダンジョンもあるのか。今後時間が出来たら挑んでみるのも良さそうだな。生命特攻みたいな環境じゃなければ取り敢えずいいや。あのRTAみたいなことはもうしたくねぇ。
「おっとお二人さん。お客だぜ」
目の前に現れたのは巨大なクマのようなパンダのような白黒の獣。その視線は完全にこちらをロックオン。餌として食うつもりだなあの・・・クマ?
「・・・クマ? それともパンダ?」
「『ソニックベアード』。超凶暴な上にずる賢い。防御貫通でダメージ与えてくるから注意だよ。あとルーク。パンダも熊だからね?」
名前的にはクマでいいらしい。知能もそこそこあるのか。じゃぁお手なみ拝見と行こう。
「ルーク。リークと一緒に前出ろ。支援は俺がやる」
「うん・・・うん? リーク姉ちゃんも前?」
「問題ないわ。忘れてるかもだけど私もアールに稽古付けてもらってるのよ?」
身体をほぐす様にその場でジャンプを始めるリーク、装備も変更しており、短剣に籠手装備。完全に近接戦闘スタイルだ。
「それはわかってるけど・・・リーク姉ちゃん魔法ジョブでしょ? 攻撃力大丈夫?」
「私もエクストラだからステータス意味ないし。それよりも来るよ」
「うわっとと!!」
『グォォォォ!!!!!』
咆哮と共に走り出すクマ公。クマタイプのモンスターは相変わらず最高速度になるまで早い。木々をなぎ倒すようにその巨体がこちらに迫って来る。
ルークはすぐに横に飛び回避行動に移ったが、リークはその場で武器を持たない右手を前にして構える。
「え・・!!? まさかリーク姉ちゃん!!?」
「『星読み』開始」
「月光真流一ノ型『白月』」
星の光がリークに集い、直後に突進してきたクマとの距離がゼロになる。だが『パン』と掌を叩く音が聞こえただけで、突進の勢いは消滅し、動きが完全に停止した。
「返すよ。奥義『水無月写鏡』」
左手に持つ短剣を回し、そのままクマの鼻頭へと掌底のように刃と衝撃を叩き込んだ。
「もう一撃!!」
短剣を突き刺され雄叫びをあげながら後ろにたじろいだ瞬間、リークのハイキックが顎に突き刺さった。今のは効いただろう。
『グオォォォオオオォォ!!!?!』
「うっさい」
間髪入れずに一歩前へ、リークが手を伸ばした先にはクマの眼球。躊躇いことなくブジュリと音が聞こえてきそうな勢いで手刀が眼球に突き刺さり、そして抉り抜いた。
「代わりの眼をあげるよ『ブラッドホールスパークスフィア』」
おそらく心の中で詠唱を完了させたんだろう。放たれたリークの『ブラッドホール』系種の魔術。名前のごとくそれは電撃の走る小さな球体。出現したのは丁度今抜き取られた眼球があった場所。
『 』
声なき咆哮と共にクマの全身が光輝き、電気により硬直し、焼かれていく。光が収まると、その巨体はズシンと音を立てて倒れ、二度と起き上がることはなかった。
――――◇――――
・『ソニックベアード』を撃破しました。
・報酬『速熊の爪』を入手しました。
・賞金:3000Dを獲得しました。
――――◇――――
「えっと・・・え? あの・・・えぇ?」
「やっぱりいいね月光真流。カウンターでペース握れるから私との相性もいいし」
「さっきの蹴り上げ『ピスケス』の真似か?」
「流石アールだね。両手ふさがってる時も足なら使えるし、衝撃を蹴りで叩き込む練習をアールの『ピスケス』参考にしてたの。怯ませるくらいならなんとか形になったって感じかな?」
「良い蹴りだった」
「・・・もしかして、僕、魔法ジョブのリーク姉ちゃんよりも弱い?」
『もしかしなくてもこの女の方が小僧より強いだろう』
そりゃそうだ。俺がみっちりエクストラダンジョンの加速空間で時間を掛けて月光真流を叩き込んだんだ。マー坊クラスは無理でもレベル70くらいの近接ジョブとなら十分戦えると思ってる。
「多分今のルークなら開始10秒で消し炭にされるだろうよ」
「・・・もっと精進します」
「そうそう。アールの弟子やってるならそれくらいはしないとね」
そんな感じで、少し天狗気味だったルークの自信をへし折ったリークであった。
――――◇――――
「『神斬雲雀』っ! ハァァ!!!」
『キャキィィ!!!』
実力の差を叩き込まれたルークはというと、その後気合を入れ直したのか勇猛果敢に攻めていく。モンスターと遭遇したらまず吶喊。無謀ではなく、相手を誘い出すように、あるいは先手必勝というように相手の動きに合わせてしっかりと。
視てから次の行動を取り、時に反射的に動き、時に思考で動く。今も丁度空から奇襲してきた大きな鷲型モンスターの攻撃を回避しつつ、カウンター気味に身体を切り裂いている。
「その首もらうよ」
ルークの反撃を受け回避行動をとり、地面に落ちる様に着地した瞬間、その背後にリークが迫っていた。直ぐに気付き回避しようとしたが、一瞬遅かった。
リークの回し蹴りが首をへし折った。どうやら足装備に刃でも仕込んでいるのか、へし折りながら首を刈り取る。
「ダメ押しにもう一撃!!」
飛び上がり、首を狩られた胴体に向けて、刃を突き立てるルーク。刃は胴体を貫通し、地面へと向かう。それがトドメとなり、肉片は光となって消えていく。
――――◇――――
・『バイラルフィザー』を撃破しました。
・UtSレベルアップ!:『星の魔術回路LvMax』になりました。『EXジョブ:星術師』獲得への条件を達成しました。
・報酬:『猛禽種の肉』を入手しました。
・賞金:3500Dを獲得しました。
――――◇――――
「シャッァア!! ようやくレベルマ!!」
「え!!? 師匠レベル100行ったの!!?」
「多分違うよ。スキルの方。きっとEXジョブ関係」
山のワイバーンども借り終わったら取りに行かねぇとな! ようやく三つ目のEXジョブ『星術師』獲得のための条件をクリアした! 後は試練的なものを超えれば無事にゲットだぜ!
「という訳でだ。さっさとワイバーン狩り終わらしてニルスフィア行くぞ」
「え? 先に行かないの? 師匠すごく行きたそうにしてるけど」
すぐに行くものだと考えていたらしいルークがポーチから転移タグを取り出していた。正直今すぐ行きたい気持ちはある。でもしかし。
「こいつらの飯確保の目的もあってのワイバーン狩りだからな。先にこっち優先だ」
推測食べ盛りなバンデの為にも備蓄は多いほうがいい。ギルファーは放っておいても勝手に食うだろうけど、たまには俺が用意してやっても罰は当たらないだろう。それになんやかんや言いつつ結構助けられてるし。
イメージは某探偵作品ねーちゃんのハイキック。




