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354:時代人と転生者(転移者)Ⅲ

前回のあらすじ。

ジルヴァがアヴァロアの血統だと感じたアールが本人の聞いてみた。

アヴァロア。



剣聖物語で登場する天災児。良くも悪くも剣聖として最も目立っていた男。ある側面で話を言うが、よく言えば取捨選択に迷いがなかった男。悪く言えば使えないと判断すれば善悪関係なしに時に切り捨て、時に取り込んだ男。



それをこのジルヴァからなんとなーく感じたのだ。時代が違うんだから他人の空似だろうと言われたらそれまでなんだけど、俺の勘がそう言っているんだよな。



「・・・」



ジルヴァはというと黙ってしまった。どちらとも取れるけど、いきなりだったし困惑してしまっただろうか。



「五代目様。質問を質問で返させてもらいますが、五代目様にとってのアヴァロアと言う人物はどのような方だったんですか?」



「そうだな・・・自分勝手だし容赦なく誰でも斬るし、人使い荒いし言うことめちゃくちゃだし、貴重品だろうとなんだろうと気に入ったら持ってくし、気に入らなかったら壊すしでホントまさしく天災だった」



多分俺以外の誰もが思うことだろうと思う。『寧ろあれがイイ!』と言う人もいるが、大多数はどこぞの王様の少しマイルド版とか、敵対するとゲーム難易度クソほど上がるめんどくさい奴とかそんな感じだろう。



「けど、あの人の技術は尊敬すべきものだ。”一般人”としての考え方は最悪だったけど、”人”として、”剣士”としての考え方、そして行動力は尊敬出来たよ」



間違いなく剣の腕は世界有数のものだった。慢心してなかったら間違いなく初見殺しでは殺されていないはずだった。



善悪と倫理を無いものと考えれば、自分に有益か無益かを判断し、取捨選択をハッキリと、相手が誰であろうと自分の意思をはっきりと示し、実行に移す事は簡単に真似できる事ではなかった。



どんな相手だろうとそれを貫く意志の強さは尊敬すべきものだった。



「俺の、剣聖としての視点で言えば、アヴァロア”さん”は間違いなく剣聖に相応しかったよ。人としては最悪だったけどな?」



「意外。アールって結構アヴァロアの評価低いと思ってたよアタシ」



「僕もかな。確かに強いけど人災だったと僕も思ってたから」



「あくまでも剣聖としての実力と考え方っていう視点で言えばだぞ? 人としては最低だ」



あの大人ジ〇イアン。もしくは金ピカ王様。マジで殺意沸くし、人のこと馬車馬のように働かせて一切報酬なしとか酷すぎんだろ。まぁその後ズイカク貰ったからいいけど。



ってかそもそも『天籟刀:ズイカク』だってアヴァロアの武器じゃねぇけどな! これ初代剣聖ニオーグの墓に捧ぐ為に打たれた剣だったし。それが色々あって実践用に鍛え直されて俺の愛刀になったけど。



「・・・そうですか。良かった」



「今の発言・・・」



「えぇ、おっしゃる通りです。私には三代目剣聖アヴァロアの血が混じっています」



「えっ!!? ジルヴァさんアヴァロアって人の末裔なんですか!!?」



「混じっているといっても既にかなり薄いです。もう数百年も前に生きた男でしたから」



驚くイッセイ。と言うかイッセイもアヴァロアのこと知ってるんだろうか? マリアーデの話とかから推測するに、一般的には、王国には俺が知る剣聖のことは残ってなさそうなのに。



「それでも私の血は好ましくない血族。剣聖の汚点。恥さらし。呪われた血なんてことも言われてきました。アヴァロアの、三代目剣聖の名が世間から消えても、呪われたと言う歴史だけは消えてくれませんでした」



「そうか」



「でも、五代目様にそこまでの評価をしてもらえて、私は救われました。ありがとうございます」



そう言って、深々と頭を下げたジルヴァ。相当アヴァロアの血族ってだけで苦労してたんだろう。と言うかあの男やっぱり女作ってやがったのか。たまに出かけるからこれ片付けとけっていてどこかに行ってたし。



これ多分王国には複数いる可能性あるんじゃねぇのか? 明かしてないだけで割と数がいそうだ。いや、もしかして王国で『剣聖』が『七剣聖』って名前が変わった原因もアヴァロアが作ったガキの評判を守るためとかワンチャンある。



大穴『七剣聖』全員アヴァロアの血族とかだったりして・・・ガラ悪そう。



「ですからイッセイ。私、実はそんな訳で忌子だったんですよ。だから初めて貴方たちと出会って、あんなふうに頼られては守りたくもなるんです。悪く言えば保身、癒しを求めたんですよ」



「でもそのおかげで僕ら皆今も五体満足でいられてるんです! やっぱりジルヴァさんは僕らの恩人なんです!」



王国にも色々あるんだろうけど、こんな光景見ていると、希望がないわけじゃないんだって思えてくるな。あの時マリアーデの凶行を止められて良かった。



「じゃぁもしかしてだけど、イッセイ。アールとマリアーデさんの評価って転生者の皆から低い?」



「え・・・えっと・・・はい。皆あんまり良い印象は持ってないですね。会いたくないって断言してる人もいますし」



あちゃー、やっぱりそうなるか。恩人を殺そうとしたマリアーデと、その弟子の俺。評価低くない訳がなかったか。



「でもイッセイ君。君はアール君に対してそういう印象を持ってなかったんだね」



「確かにそうだね。恩人の敵となり得た人の弟子に会いたいと思うの変じゃない?」



「あっ・・・!!? えっとそれは・・・」



イッセイの奴、何か隠してるな。もしかしてよくある転生者特典的な能力を持ってるとか? 例えば相手のステータスをのぞき見れる『鑑定』みたいな能力とか、相手の敵を判別できる能力みたいなの。



「怒らないから教えなさい。確かにそうなるとアールを指名したのも不自然なことになるのは君もわかるでしょ? アタシはアールに害なす相手には容赦しない。君に少しでもその可能性があるならアタシは誰になんて言われても動くの。だから言え。出来れば君に毒を盛るなんてことはしたくないの。命が大事なら今すぐ全部言え。答えはYESかハイだけだ。NOなんて選択肢は君にない」



「レイレイ。落ち着け」



レイレイの目から光が消えて淡々と言葉を繋いでいた。イッセイはビビったし、ジルヴァもイッセイを守るように立ち上がっていた。



「止めないでアール」



「レイレイ」



「なんて言われてもやめない。PKだろうと殺人になろうともアールを傷つける相手は始末する」



「はぁ・・・ならせめて殺意は引っ込めろ。話すにしてもお前がそんなんじゃ話せないだろ」



「・・・わかった。けど話さないなら手段は選ばないからそのつもりで」



一応殺意は抑えてくれたけど、相手方は完全に警戒してしまった。これじゃ話しをする空気じゃなくなった。



「・・・これ、書いて」



そう言ってレイレイはポーチから一枚の紙を取り出した。覚えていない訳がない。レイレイが相手との交渉、あるいは約束をするときに使う絶対契約を誓わせる『契約の印書type0』。





――――◇――――

『契約の印書 type0』契約

契約内容

・契約者2が契約者1に知っていること全てを偽りなく告白、その後、契約者1は、契約者2が帝国にいる限り害することをしない。ただしこれは『時代人:アール』であり、『五代目剣聖アール』に害することがない場合に限る。

――――◇――――

契約完了後の誓約:契約者1

・帝国にいる間、できる限りのサポートを契約者2とその仲間たちに行う。

――――◇――――

契約完了後の誓約:契約者2

・『時代人:アール』に関係のある情報を入手した場合、嘘偽りなく伝える。

――――◇――――

誓約違反の代償

契約者1が違反:金輪際、契約者2への接触を禁じ、近づくと瀕死状態になる。

契約者2が違反:契約者1が契約者2を殺害する。

――――◇――――

契約者1:レイレイ

契約者2:

――――◇――――





これ、書いても書かなくても答えを言ってるようなもんだろ。つまり書かなければ殺す、あるいは尋問拷問の類の対象。書いても俺に関係があり、更に命に関わることならば殺すってことだろ。



「・・・」



渡されたイッセイは内容を見て全く動けていなかった。そりゃそうだ。いきなりこんなもの見せられても反応できるわけがない。



「イッセイに代わり私が答えます。すみません。イッセイは答えたくても答えられません」



「レイレイ待て」



「わかってる。いくらアタシでも最近似たようなことあったしそれくらいわかるよ。二人共聞きなさい。その『契約の印書type0』は他の契約を全て破棄した上でこの契約を結ばせる絶対遵守の契約書。私以外にこの契約書を作れる奴はいないし、今のところ確認できてる契約は全部破棄出来るのを確認してる」



「「っ!!?」」



「ちょ!!? レイレイさん!!? なにそれ僕も聞いたことないよ!!?」



「アタシ情報屋よ? この位出来ないとこっちじゃ良い様に約束なんて無かったことにされるのよ。なんなら剣災。貴女にも同じものを書いてもらっても構わない。それにアタシはスキルで契約による攻撃行為、あるいは呪いも断ち切ることが出来る『真化ジョブ:破殺者』を持ってる。契約してくれるなら安全は約束するよ」



おいレイレイ。お前とんでもない情報サラッと言うんじゃないよ。お前新しい真化ジョブとったんかい!?


レイレイの目からハイライトが消えました。アールに害なす可能性は容赦なく始末する彼女の本領発揮です。そして明かされるレイレイの真化ジョブ。


真化武器は持ってたけど真化ジョブは持ってなかったんですよね彼女。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「けど、あの人の技術は尊敬すべきものだ。考え方は最悪だったけど、あの考え方は悪いものじゃなかった」 「最悪」と「悪いものじゃない」と、「悪」の字が被ってしまっていてどっち?という印…
[一言] アールに関する事に対してだけはアヴァロアとさほど変わらないよね、この子。
[気になる点] 236 218『四腕巨人ゲルゲナート』激戦 Ⅳ より レイレイ Lv99 メインジョブ『暗殺者:恋華』(真化ジョブ) サブジョブ『アークコンダクター』(真化ジョブ) 真化ジョブ…
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