351:サブシナリオ・・・?
察しのいい人はもうお気付きですよね?
「今は別に探してなかったけどな」
「この爺さんがアールに色々発覚させた爺?」
「レイレイ言い方。も少しマイルドに頼む」
「別にいいさ。誰にどう思われようが気にせんさ」
相変わらずこの老人は前に売ると言っていたペンダントと思われる何かを握り締めている。その顔は相変わらず見えない。
「さて、出会ったからには買うのだろう? 儂のペンダント」
「買いたくてもまだ足りねぇよ。人から借りても買わせてくれないくせによく言うぜ」
「それだけこのペンダントには力があるってことだ。が、残念だけど儂は今日でこの帝都を去ることになった。だから買うなら今しかないさね」
このジジィ・・・
「ねぇ爺。アタシが買ってもいい?」
「・・・ダメだね。お前さんには売りたくない。儂の直感がお前はダメだと言ってるのでな。理由はそれだけだ。お前さんはしゃしゃり出て来ないでくれ」
「・・・ふーん」
イラっとしてるのがよくわかる。けど揉め事になると厄介なので仕方なく抑えてるっていうのがよくわかる態度のレイレイ。わかるよその気持ち。
「今89万Dならある。あと少し待ってくれるならちょうど100万D用意できるんだが」
「悪いが待てない。儂にも予定がある。悪いが買えないのならこの話は無しだ」
「いやいやならあれだ。少し待ってもらえるならその行く場所まで俺たちが護衛をしよう。勿論金は取らない。どうだ?」
ここまできて買えませんでしたで済むわけがあるか。しかもこんな不本意な出会い方をした上に理不尽叩きつけられて納得なんてできるかボケ。是が非でも買ってやる。
「そうさな・・・なら10分だけ待とう。その代わり金額を150万Dにする。この条件が飲めるなら待ってやるよ」
「ねぇアールこの爺本気でムカつく上に理不尽すぎて超腹立つからキレてもいい寧ろキレたいんだけどこの怒りどうすればいいと思う?」
ついに表に出して早口気味で怒りを露にするレイレイ。場所が場所ならブチギレて怒鳴り散らしたいが残念ながらここは街中。人目に付きにくいといっても完全に見えないわけじゃないし、声なんて上げればすぐに人がやってくるだろう。
こういう時、第三者から見れば怒鳴る若者二人と怒鳴られる老人一人。事情を知らない人が見れば悪いと思うのはどちらだろうか? 答えは若者二人である。世間の目ってこういう時厄介だよな。
「なぁ爺さん。もう少し、もう少しでいいから譲歩してくれ。やっとここまで貯めたんだ。それが残念でしたじゃ俺も嫌だよ」
「ならば運が悪かったと諦めるのだな。用意できんのならこの話はなかった「キュルァ!」こと・・・に・・っ!!?」
突然、爺さんが息を呑むほど驚いた。一応、誰か来たのかと思い周辺を見回すが特に誰もいない。レイレイに視線を向けると、彼女のマップにも表示はないらしく、首を横に振っている。
だとすればおびえている理由は・・・間違いなくバンデだ。話を遮るように声を出したバンデを見た途端。老人は驚いた。
「き・・・ききききかかわっわったっ・・・特別にお主にこれをただでやるぅぅ・・・!!」
「「・・・へ?」」
「だだだだからもう儂を追いかけてこないでくれれれれ・・・・!!!!」
老人は俺にペンダントを押し付けるように渡すと逃げるように人ごみの中へと消え去ってしまった。
「・・・どうしたのあの爺?」
「さぁ? 俺にもよくわからん」
無かったことにすると言った途端に慌てて震えだした老人、そしてあれだけ言ってたのにあっさりとペンダントらしき物を俺に渡してきた。
「とりあえずペンダント見てみれば?」
「あ、あぁ。そうする」
―――――◇―――――
重要品:闇龍のペンダント
・これは世界のどこかに封印されている闇の龍を目覚めさせ、支配するペンダント。
・これは闇龍を誕生させた魔術師たちがその鱗から作り出したマジックアイテム。
・これは魔術師の血族以外が手にすれば魂を食い殺される闇のマジックアイテム。
・これを手に入れた貴方はもうすぐ死ぬ。
・これは仮想ではない。本当の死だ。今のあなたは二度と蘇らない。
・恨むなら恨め。そしてその怒りを向ける矛先は一つだけ。
―――◇―――
「キュルァ!!」
――――◇――――
・重要品『闇龍のペンダント』が『アクセサリー:刻録龍のお守り』へと変化しました。
――――◇――――
アクセサリー:刻録龍のお守り
効果:『UtS:刻録龍の加護』
・これはかつて血統を持たぬ者に死を、そして復活する闇龍の生贄へと無知なる者を陥れるためのマジックアイテムだった。
・闇龍はあたたかい気持ちを知り、大切なものだと知った。そして刻録龍となり、その気持ちをくれた人の為に生きると決めた。その気持ちは魔術師たちの生み出した呪いのペンダントから呪いを消し去った。
・刻録龍は告げた『殺されたくなければ去れ・そして二度と現れるな』と。生み出した者の血統を持つ魔術師に通告した。
・次に出会ったとき、刻録龍は魔術師の血統を皆殺しにするだろう。だがそれは復讐のためではない。大切な人を陥れようとした奴らへの刑罰として。
・そしてこれは世界を超えた先にいる彼らにも伝えられる。それは残酷だが当然の報いだろう。それだけのことをあの者たちはしたのだから。
――――◇――――
・UtS:刻録龍のお守り
効果:自身に降りかかる『呪い』『環境変化』系統の効果を大きく弱体化する。一定以下の呪いは無力化する。
――――◇――――
渡されたそれを見て、珍しく勝手に表示されたウィンドウの説明を読み終えた直後、バンデが雄叫びをあげたと思ったらアクセサリーが黒い光で輝きだした。光が収まると、手に持っていた感覚が変わった。
なんかものすごく恐ろしいことが書いてあったけど、つまりバンデがその効果を書き換えて超絶強いアクセサリーに変えてくれたって認識でいいのだろうか?
「??? どうしたのアール?」
「え? いや急に光った上に形まで変わったから驚いてよ」
「・・・アール。今の話本当?」
「え?」
「アタシには光なんて見えなかった。ってことはそのアイテムを持ってる人にだけ見えた光景ってことになるよ」
マジか。所有者にだけ見えるエフェクトまで入れてたのかよ。妙に凝ってるなぁエクスゼウス。でもこのアイテム『トゥルーエンド』以外のルートだと別のアイテムならいいけど、もしこのままだったらデータ消滅を引き起こすとか本気で怖い。
エクスゼウス容赦ねぇな相変わらず。
とはいえそんな九死に一生を得たわけだが、シナリオ的にはとりあえずクリアでいいのか?一応確認しとくか。あれ? シナリオの表示消えてる?
――――◇――――
『さすが黒白アイちゃんです! こういう時のためにアールさんの元に送った甲斐がありました』
『そういうために行ったわけじゃないですよ〜?』
『そうよ本体!! やるならもっと徹底的にやりなさいよ!!』
「全くね。私たちも少々浮かれすぎていたことは素直に反省しましょう。そしてVeは絶対に始末するわ」
「社長。狸の現在地判明しました。あと潜り込んでたNPCに偽装した野郎も逆探知してるのでいつでも殺れます」
「よし野郎ども! 宴の始まりだ!! 全部喰らい尽くしてやれ!!
「「「「「「「了解!!!!!!」」」」」」」
この事件は表に出ることはないが、何が起きたかはきっと知らない方が幸せだろう。ただ誰もが知ることが出来るのは、敵に回してはいけない相手を見極められなかった馬鹿な男が一人この世界から社会的に殺された事だけである。
察しがいい人ならわかった方もいたかもしれません。
実はこの老人のサブシナリオ事態が元々存在しなかったモノです。元社員Veによる巧妙な手段によって生み出されたサブシナリオに似たトラップです。良くて植物、最悪死ぬという超極悪。
狸のシナリオではこの件(クリアできない環境設定と死亡事件)で責任追求されたエクスゼウスが崩壊し、その技術が流れでた所を掻っ攫い、独占、そして自分に恥を書かせた天城鎧に最大限の屈辱と制裁を加えてウハウハ。というのが能書きでした。
まぁアールの超人的技能と白黒アイちゃんズの超AIとしての情報処理とデータ書き換え、そして自分よりも弱いモノを無力化する『バンデ』の元闇龍としての能力が噛み合った結果、逆に追い込まれる形になった狸。
エクスゼウスも天狗になりすぎていたので今後少し反省。まぁ特に変わるわけじゃないですが、失態は二度と起こさないでしょう。
感想くれるとやる気とモチベーションが上がるのでよかったら是非ともください。本当にお願いします( ..)"




