248:闇龍 Ⅲ
闇龍の意思との出会いと別れ。それを経験したアールはどのような選択をするのでしょうか?
「・・・・・・ここは?」
「アールっ!! 無事っ!!?」
「リーク?」
「もうっ!! もうっ!!」
気が付くと意識が戻っていた。リークに抱きつかれているけど、リークもマー坊もレイレイも皆いる。
「愛弟子、無事なのだな?」
「マリアーデ。大丈夫だ。怪我はしてねぇよ」
「そうか・・・それならば良いが。無理はするなよ?」
「あぁ」
そっと抱きつくリーク達を引き剥がして周囲を確認する。そして気づいたが聞こえていたはずの怨念が消えていた。
「あれ? 怨念は?」
「それが急に消えたんだよ。師匠が倒れた瞬間に」
「倒れた瞬間・・・そうだ。どれくらい寝てた?」
俺の疑問に答えてくれたルークに尋ねると驚きの返事が返ってきた。
「えっとね。多分30秒くらい?」
「正確に言えば34秒です。アール君。本当に大丈夫なんですよね?」
心配で仕方ないという顔のコヨミを安心させるため、手を伸ばそうとした。すると俺は何かを握ていることに気がついた。
「・・・これ」
「え? なにそれ? さっきまでそんなものアール持ってた?」
リーク達が驚くそれは鱗。向こうで手に入れた一枚の鱗だった。気が付くと俺は立ち上がっていた。そのまま『天籟虚真刀:ズイカク』を抜き、能力を使っていた。そして視えたのは鱗から伸びる一筋の光。
「・・・あっちか」
「ちょっとアール!!? どうしたの!?」
「愛弟子?」
歩き出していた俺を追いかけて皆がついてきてくれた。歩きながら俺はあの真っ白な世界での話を皆にした。心が消えていったこと。マリアーデの涙を、リークの涙を思い出して立ち上がれたこと。
出会った子龍との日々とその最後の話も全部。
――――◇――――
「これって・・・卵?」
光が伸びる先にあったのは一つの卵。ドス黒い色をしたやばい雰囲気の卵だった。けど間違いなくこれは闇龍の卵だとわかった。
多分この卵が孵る前に破壊すれば闇龍を葬ることができるんだろう。おそらくこれが正規ルート。ここで闇龍が転生して生まれ変わる前に卵を破壊する。それによってこの塔に残り続けるクリムゾンGXたちの魂も解放され、塔は今後、今回のような事件は起こらなくなるだろう。
今更だけど、俺は情に脆い。あれだけ仲良くなっておいて二度目にあったらはいサヨウナラなんて真似はしたくない。
闇龍は確かに危険な存在だ。倒す、あるいは消滅、封印などをするのが最善だとはわかっているが、したくないという気持ちが強い。
「悪いけどこの卵壊すのは無しだ。と言うか俺が孵す。何かあっても俺が始末をつけるから皆悪いけど見逃してくれ」
「もう、絶対言うと思った。けどアールのそういうところ好き」
「師匠ってかなり甘いよね。まぁ僕もそのおかげでこうして一緒に遊んでるわけだけどさ」
「愛弟子がそうすると決めたのならば余も異論はないぞ」
「ま、アールの強敵育成計画の新しい形ならおもしれぇんじゃね?」
お前らのそういう懐のでかい所、俺も好きだぜ。
卵を手に取り、そっと抱き抱える。次の瞬間。持っていた『闇龍の天逆鱗』が黒い光で輝き始めた。その光は卵に吸い込まれるように消えていった。
するとどうだろう。急に卵が動き始めた。驚きのあまり地面に落としそうになったけど皆が支えてくれたからセーフ。マジで冷や汗かいた。
「・・・キュルァ・・・?」
「よっ」
卵から孵った小さな龍。それはあの空間で初めてであったあの姿だった。けどあの時よりもずっと元気だ。キョロキョロと周囲を見回すと、俺の顔を正面から見据えてきた。
「キュルァ」
「また一緒に行くぞ。お前に拒否権ないからな?」
「キュルァ」
それは初めて会った時の反応ではなく、元気よく頷くような、嬉しそうな返事であった。
――――◇――――
・サブシナリオ『占い姉妹からのお願い。プレシア編』:クリア
・『オクタアムスデキム』:討伐
・『闇龍の眷属達』:未討伐
・『闇龍』:救済
・トゥルーエンド『闇龍』達成:クリア報酬『従者:漆黒の子龍』『従者枠+1』
――――◇――――
従者:『漆黒の子龍』LvΩ
全ステータス:Ω
スキル:Ω
・この世界に誕生した新しい種族。全てを滅ぼすために生まれたはずの龍があたたかいモノを知ったことで悪しき龍は本当の意味で消滅し、かわりに新たなる龍が誕生した。その生体も特徴も力も、これからの時間の中で養われ、育っていくだろう。
――――◇――――
どうやらこれでプレシアからの依頼はクリアになった。しかもトゥルーエンド達成という最高の展開までゲット。最高かよ。
「なにこれすごい!」
「やべぇなこれ!!」
「またこんなすごいの貰っていいの!!?」
「これは・・・すごいわね」
「え? 何お前ら名に手に入れたの?」
「「「「武器の真化素材」」」」
「はぁ!!?」
何それ聞いてないんだけど!? 俺そんなの貰ってねぇぞ!? ウッソだろ!!?
《《別にいいじゃない! アタシ達がいるのよ!! 他なんて要らないじゃないのよ!!》》
いやそうだけどさぁ・・・!!! そんなアイテムあるなら欲しいと思うのが人の性じゃんよぉ!!!
「・・・キュルァ・・・?」
「・・・ま、いっか」
考えてみればコイツが俺の従者化しただけで十分だよな。うん。あれ? でもクリアしたなら・・・
「そういえばGXどうなったんだろう?」
「「「「「「「『『あ』』」」」」」」」
――――◇――――
「トォァアッ!!」
「スマンGX!! 助太刀に来た!!」
はい。絶賛戦闘中だった。それも俺たちが倒していない(元)闇龍の眷属と思われる五人組。対するはGXとその仲間と思われるモンスター達。なんかあの女体型スライム見たことある気がする。
「アール君!! それに君たちまで!! 感謝する!! ともに塔の平和を取り戻すんだ!!」
「なら俺あの鬼貰うぜ!! 鬼は強いって相場で決まってんだ!!」
マー坊が突っ込んでいったのは味方と思われるゴーレムが戦っている鬼。デザインが恐ろしくまさに鬼って感じ。
後残るのは龍人っぽい奴と多分魔人、あと見るからに悪魔と下半身蜘蛛の女形モンスター。どいつも強そうだ。
「アタシ蜘蛛女行くわ。ジェクス、付き合いなさい」
『了解ッス!!』
「妾も同行するのじゃ! 良いか師匠?」
「行ってこい。ただし勝利以外は許さねぇからな?」
「のじゃ!!」
レイレイと共に、ギンが蜘蛛女に突撃する。退治しているのは女型スライム。なんかあのスライム見ると横っ腹痛むんだけど気のせいだろうか?
「師匠!! あの悪魔ボクが行く!! アイツ今僕を見て小馬鹿にしやがった!!」
「あいよ、ギルファー援護任せる」
『なぜ我がそんなこt・・・気が変わった全力でやってやる。小僧乗れ。コウモリハントだ』
あちゃーあの悪魔ギルファーまで煽りやがった。南無三。ってなると残ってるのは龍人か。GXと一緒に戦う事になるのかなこれh「ふん。他愛もない」・・・え?
「なんて強さなんだ・・・!!!」
「マリアーデェぇえぇ?」
「えっと・・・あのねアール・・・一瞬でマリアーデさんの姿が消えたと思ったらあの龍っぽい奴が細切れになってサイコロステーキよろしく斬られて死んだの。何を言ってるかわからないと思うけど事実なの。夢とか幻とかそんなものじゃない。もっと恐ろしいモノを私は見たんだよ」
どっかの奇妙な物語っぽい言い方するリークだけど、本気でビビってるのはわかる。俺もビビる。正直鬼よりも絶対強そうな龍神が既にマリアーデの刀の錆にされていたからだ。
しかもGXもリークも捉えきれなかったってことは多分『極星十二宮奥義』使ってる。畜生見逃した!
「キュルァ・・・?」
因みにこの子龍。まだ名前は決めてない。けど闇龍が救済された新しい龍だしそうだな。まぁこの戦いが片付いたら決めようか。
《《闇が晴れて白くなった!! つまり白と黒! 光と闇!! つまりこの龍は『闇と光のr》》それ以上はいけない。そこだけは流石にやばいから。大手だから。
《《なら混沌覇r》》それもアカン!なぜそっちに寄せたがるの君たち!?
《《最近本体がアニメ視聴してるので私たちにもその知識と情報が流れてきてるですよ〜》》
犯人お前かアイちゃん!!
その後、特に見せ場なく、闇龍の眷属たちは無事撃破されたのであった。と言うかマリアーデが全員片付けた。
「たまには師匠らしく強さを見せつけねばならんと思ったまでだ」
いやまじで強いっす師匠。使えるのは知ってるけど『天瓶エリシオン』連続使用出来るんっすか? 俺見てただけで発動と解除最低でも10回以上やってたよね? 今度稽古つけてください。
因みあの世界で闇龍を切っていると、戻ってきてから戦闘になります。タコの数十倍くらい強いです。
詳しくは番外編で書いてますので興味あればどうぞ。
そして超絶強い師匠が強敵を瞬殺。
感想お待ちしています。




