346:闇龍
ついに闇龍との対峙
「ウヒャァー何この素材説明文だけでやばいよね? どうしようこれアタシの装備強化できるんじゃないかな?」
「毒はアンタ相性いいからね。私は特に無し。まぁ報酬の数は結構もらえたけど」
「『恐れを知らぬ者』なんて称号とったんだけどやばくね? ジョブとの相性良すぎ」
「うわーうわー・・・!! 本当にこれ僕がもらってよかったんだよね? うわぁぁ・・・!!」
「あんまり嬉しくないです。このブレスレット趣味じゃないです」
MVPを獲得した面々はそれぞれいい感じに報酬上乗せだったみたいだ。俺としてもいい金額をまとめて入手できたので悪くはない。
素材に関しては後でアルベルト皇帝にでも持っていけばいい感じに買い取ってくれるだろう。なんでギルドとかで売らないのかって? 物が物だし国に買取頼んだほうがまとまった金額貰いやすいだろ? あとこの素材使って装備強化してくれっていう俺なりの激励。
「アール君このブレスレットいります?」
「いや、気持ちは嬉しいけどそうするとちょっと・・・」
「あ、ごめんなさい。そうですよね。これ以上負担増やしたくないですよね・・・」
うぐっ!!? そう言う言い方に俺弱いんよぉ! 悪いわけじゃないはずなのに悪いことしてるような感じがして断りづらい!
「師匠。サイテー」
「アール。アタシも今の言い方はどうかと思う」
「アールごめん。擁護できないかも。私同じこと言われたら泣く自信あるし」
「・・・」
「俺はノーコメント」
「わぁー!! ごめんコヨミ!! 言い方悪くて本当にすまん!! それで何かこんな雰囲気だけどやっぱり貰ってもいいか? ってか興味はあるから欲しい!」
「・・・むりしなくていいですよ?」
半分泣いてるってか愚図ってるじゃん!! やらかしたァ!! みんなの視線が冷たい!! 一部は自分に置き換えた時の気持ち考えてるみたいで泣きそうになってる!?
「じゃ・・・じゃぁあれだ!! 交換!! 何かと交換しよう!! うん!! どうだ!?」
「・・・なんでもいいですか?」
「おういいぞ・・・って言ってやれればいいんだけど、武器は勘弁してくれ」
「わかりました・・・じゃぁアール君からキスしてください。すごいの希望です」
「「「・・・」」」
途端にヤンデレ発動させるのやめてくれないかなお前ら。目が怖い。ホント怖いっ!
「ダメ・・・ですか?」
「「「(スキニィスゥレェバァ〜?)」」」
目で語るな! しかも怖いってばマジで! 進んでも地獄、引いても地獄とはこのことか!! あとルーク!! 地味に顔隠してるつもりだろうけど見る気マンマンじゃねぇか! 最近お前も図太くなってきたなオイ!
「・・・一回だけだからな? マジで一回だけだぞ?」
「はい」
これは浮気じゃないこれは浮気じゃない。リークごめんなさい後でなんでもするから今は許して!
「コヨミ」
「はい? えぇっ!?」
そっと抱き寄せて首筋に顔を近づけ甘噛み。そのまま舌を這わせるように上へと上がり耳にも甘噛み。
「ひゃぁっ!!? ちょっ!? アール君!!?」
可愛い声を出すコヨミ。けどそれを無視して甘噛みを続ける。また下がり首筋に、抱き寄せた手では髪を梳かすように優しく撫ぜる。
「コヨミ。ありがとう。本当は嬉しかったんだ。けど素直にそれを言えなくて本当にごめん」
「あぁ・・・ひゃぁぁ・・・あーりゅきゅん・・・?」
「大事にするよ。コヨミ」
コヨミが持つ持っていたブレスレットを静かに受け取り、頬にそっとキスをした。抱き寄せていたコヨミから離れると、しぼむようにヘナヘナと座り込んだコヨミ。
激しいのとは言われたけど、キスが激しいのとは言われていない。だからいつも噛まれて血を吸われているからちょっと大胆に甘噛み連発だ。やっておいてあれだけどクソ恥ずかしい。
「・・・」
そんな背後に無言で近づき、ローブをくいくいと引っ張ってきたリーク。やっぱギルティ? ですよねー知ってた。
「・・・えっとね? おこってないからその・・・私にも今のやってくれる?」
「え?」
「その・・・うん。おねがいします」
この後三人追加でやることになったのは言うまでもない。ついでにここで三十分程度休憩することになったのは言うまでもないだろう。
やってから後悔した。クソ恥ずかしい。
――――◇――――
「よし!! アールニウム補充したし闇龍もぶっ殺そう!!」
「「「オォー!!!」」」
「良かったなアール。女子がやる気になってるぜ?」
「師匠かなり大胆だね」
「カッカッカッ! いやぁ良いものだったぞ愛弟子!! やるではないか!」
「いっそ殺せよ・・・ヤベェまだ顔熱い」
マリアーデに再び道標を頼み、闇龍がいるはずの場所へと向かう俺たち。けど俺の羞恥心は臨界点を超えたまままだ落ち着いてない。
その臨海を超える要因となったリークたちは艶々してる。それはもうやる気と元気に満ち溢れている。俺からごっそり元気を持っていったみたいに。
いや別に体力は回復してるし、スタミナも十分あるけど、羞恥心がそれをゴリゴリ削っている。ゴリラが肘でツンツンしてるのも地味にさっきの事を思い出して余計に赤くなる。
『ふん。人はやはりわからん』
『同意するッスよ犬。難しいっすよね。魅力的な雌がいるなら皆ヤればいいのに変わってるッス』
黙ってなさい獣組。理性あるからそういうことしちゃいけないの。日本ではハーレムは認められてないんです!
「こうなったのは全部闇龍のせいだ・・・絶対に許さねぇ」
「責任転嫁ヒデェwww」
絶対にぶっ殺してやる。ついでに借金も全部返済したらあの老人の正体も探ってやる。覚悟しやがれ覚えてろよ。
「お前たち、そろそろ気を引き締めよ。近いぞ」
ほのぼの(?)ムードから一転。マリアーデの声とともに全員の気が引き締まる。武器に手をかけて周囲への警戒を最大に。
気配は感じないが、何かがいることはわかる。
『ォォォォォ・・・』
『おォォォォォォおぉ・・・・・』
『ニ・・・・・・イ・・・・・・ク・・・・・・・イ・・・』
ホラー映画のように蠢く何か。少しずつそれは聞き取れる声に変わっていく。
『ニ・・・・ク・・・・・イ・イ・・・・・』
『コ・・・・・・ロセ・・・・』
『ホ・・・・ロボ・・・・・・セ・・・』
突如現れた黒い炎。それも俺たちの周囲を囲むように出現したそれはまるで意思を持つ生き物のようにゆらゆらと揺れる。
『コワ・・・セ・・・コロ・・・セ・・・』
『スベテヲ・・・・・・ホロボセェェェ!!!!!!』
「「「っっっ!?!?!?!??!?」」」
突然大きくハッキリと聞こえたその雄叫び。驚きで体が硬直したルークギンコヨミが俺のローブをガッチリと掴んでいた。
炎はそんなこと気にも止めず、先程から何度も何度も呪怨のように言葉を発している。これはホラー。
「どう思う?」
「20点。やるなら呪い殺すくらいしてくるのが本物のホラーだと思ってる」
「ふーん」
対してリークとレイレイはこっちの方向は平気なようでホラー度を採点している始末。ゴリラとマリアーデも平気なので『ふーん。で?』的な顔をしている。
「とりあえず先に進むか」
「だな。たかが呪いの声で足止めとか拍子抜けだし」
震えているルークの手を引いて俺たちはさらに進んでいく。因みにギンとコヨミはリークレイレイ組が手をつないでいます。美女同士の手をつなぐ行為ってよくない?
――――◇――――
「全然つかねぇな」
「だなぁ」
「いい加減にこの声もうるさくなってきたんだけどアタシ」
「魔術で吹っ飛ばせるかな?」
「やめておけ嫁よ。力の無駄だ」
「なんか・・・僕も慣れてきた」
「同じくです」
「案外適応してしまうものじゃな」
歩くこと10分ほど。最初は怖かった物でも聞き慣れてしまえばそうでもないもので、怯えていたルーク達も既に平然としていた。
それもあるけど、以前から『対クヴァレイドルクイーン』を想定してイドル達に協力してもらって、魅了耐久訓練。
さらに言えば『ズイカク』を許可なしで持たせたりしてたから呪い系の言葉を聞くだけならすぐに慣れてしまうのだ。
それもあるけど、それ以上に、さっきから進んでいる気がしないのだ。光の導は確かに先を示しているが、声と再び自分たち以外真っ黒な空間になったせいで進んでいる感じがしないのだ。
「マリアーデ。『ズイカク』を使うよ。その方がこのウザったいのもなんとかしやすいだろうし」
こうなるとマリアーデに頼るよりも、俺も能力を発動させてしまったほうが早いだろう。
「そうだな。その方が気持ちも晴れそうだ。任せるぞ愛弟子」
「みんなもいいか?」
聞くと全員意義はないようなので遠慮なく。
「天眼開け『天籟虚真刀:ズイカク』」
――――◇――――
・『天籟虚真刀:ズイカク』特殊能力『虚真』発動。
――――◇――――
そして見えたのは、目の前に出現した巨大な龍の姿だった。
『コロセェェェ!!!』
世界を憎むような雄叫びとともに、龍は叫び続けている。だけど、その叫びは自分に言い聞かせるのではなく、まるで殺してくれと言っているように聞こえた。
「愛弟子? 何が見えたのだ?」
「・・・龍がそこn『コロセェェェ!!!!』・・・・」
「「「「「アールッ!!!?」」」」」
俺の意識は一度ここで途切れた。
おや? アールの様子が・・・




