342:闇龍の眷属 Ⅱ
アールマリアーデギルファージェクス
普通に考えるとラスボス涙目の最強メンバーでは?
『久しぶりの大物だ。我から行かせてもらうぞ!!』
『一番槍は俺ッチのモンッスよォォ!!!』
巨大な姿に戻った二体が空と陸をかけていく。ギルファーは分身と鋼剣を、ジェクスは鋼鉄の体を刃のように振るいながらその距離を一気にゼロに変える。
「「月光真流奥義『十六夜天雷』」」
体中に衝撃が走り、血流が早くなるのを感じる。オクタアムスデキム・・・噛みそうだから以降タコ! タコの足が二匹の攻撃により切り落とされている。
どこまでの物か分からないが、あれだけの硬度と切れ味があれば斬れる。それさえ分かれば十分だ。
「遅れるなよ愛弟子」
「そっちこそ」
「「『天雷風瓶エリシオン』!!」」
同時に駆け出しタコの懐に飛び込んだ。タコは素早く動くギルファージェクスコンビの対処でこちらに気づいて・・・いやしっかりと頭の眼がこちらを捉えていた。
接近を確認したタコは足の数本をこちらに向け動かした。なぎ払い、叩きつけ、ムチを打つように激しく振るわれる足が俺の前に迫ってきた。
「『鏡雀』接続『神斬雲雀』!!」
一本目の足の一部を削ぎ落とし、次に迫る足へ『天籟虚真刀:ズイカク』を深く突き刺しそのまま切り裂く。粘着性の液体が刃に付着するが、それすら潤滑油と考えさらに前へ。
『ヨヨヨ!!!』
――――◇――――
・『UtS:天刻』により、『オクタアムスデキム』の溶解液を無力化。
・従者『ディア』が『アール』の血を使い、『オクタアムスデキム』の溶解液を相殺する気体を生成、散布。それによりアールのHP30%減少
――――◇――――
何かあるとは思ったけど溶解性の粘着液体かよ。厄介すぎるが、ディアと『UtS:天刻』のコンボで即無力化成功。さすが頼りになるぜ!
代わりに一瞬足がぐらついたけど、死ななきゃ安い出費(出血)だ。そんでもって足邪魔くせぇ!!
《《なめんじゃないわよ!! この程度で壊れるズイカク様じゃないのよ!!》》
《《元々ズイカクは不滅の太刀ですからね〜この程度で折れては名折れですから〜》》
《『使エ主。貴方ノ全テヲ私達ガ癒ス』》
《『LAa〜』》
当然だ。この戦い出し惜しみはしない。全力全開でこのタコをまずは倒す。迫り来る足を斬り払い、もう一つの刃を抜く。
「艶やかに響け想愛の唄!!『艶姫鳳戦刀:コンゴウ』!!」
『『LAAAAAAAAAA!!!』』
――――◇――――
・『艶姫鳳戦刀:コンゴウ』の特殊能力『帰回愛』『艶姫唄』発動。
――――◇――――
「侵食しろ!! 『イドル』『クレイ』!!」
『『LAAAAAAAaaaaaaa!!!』』
タコの攻撃の密度が一気に増した。だがそれを捌いていくほど、足を削ぎ落とし、撒き散る体液は俺の血肉に変わり、イドルとクレイの『毒』がタコを侵食していく。
『どこ見てるッスか軟体動物風情が!!』
『醜く血を晒せ!!!』
『KYOOOOOOO!!!!!!』
悲鳴と同時に体液の雨が降る。目をやれば、俺に攻撃が集中したことで手空きとなったギルファーとジェクスが、八つある頭のうち、二つを吹き飛ばしていた。
『ヨヨヨーヨ!!!』
降り注ぐ雨のような体液を浴びて、ディアが形状を変化、雨を喰らうかのように巨大な口を俺の背中に生み出し、体液を吸収していく。
『ヨ!』
ディアが右肩から手を伸ばし見せてきたのは体液を吸収し、分解、再構築下と思われる特効薬、あるいは効力を破壊するであろうドス黒い水。
『ヨヨヨッ!!』
「マリアーデ!!」
「良かろう!!」
水の表面はディアによってコーティングされており、受け取ると水ようかんのようにプルプルと形を保ち続けていた。
すぐにマリアーデを呼ぶと、察してくれたみたいで、すぐに合流し、俺の手を引きちぎるかの勢いで、掌に乗る水の球体を飲み込んだ。溶解液を浴びた影響か肌が露出し、一部皮膚がただれていたがそれがなんだと言わんばかりの動き、女性なんだから少しは肌を守るようにしてくれないですかねぇ!!
「うぬっ!! これは効くなぁ愛弟子!! 良いぞ!!」
そんな思いが通じたのか、いいや、ディアがそう思っていた俺の思考を予測していたのか、黒い水を飲んだマリアーデの肌がそのツヤを取り戻す。
『KYOOOOO!!!!!』
「マリアーデ!!!」
「わかっておる!! 合わせるぞ愛弟子!!」
迫り来る無数の足、それが一つの巨大な柱のように群がり、俺たち二人に振り下ろされた。だけどそれは視えてたよタコ助!! 寧ろ一本にまとめてくれてやりやすくなったぜ!
「「剣聖流派十二宮重抜刀術」」
「「『風瓶百四十四閃:天津激翔』ッ!!」」
すとん。一瞬俺たちは姿を消して、すぐに姿を現す。迫り来る巨大な柱の様な足を超え、上空を飛んでいたジェクスの背にマリアーデが、飛び上がったギルファーの背中に俺が着地する。
剣聖流派十二宮抜刀術『風瓶十二閃:天津激翔』の重奥義だから累乗して144倍の斬撃だ。そんな量の斬撃をうけたらどうなるか。今に分かる。
自分でも何が起きたか理解しないタコがぴたりと動きを止め、数秒固まるが、気を取り戻し動き出す。
『KYOOOOOOOO!!!!!』
それがトリガーに変わった。重ね合わせた巨大な足が一瞬でバラバラに切り裂かれる。足だけじゃない。その先にある体も、頭も含めて斬撃が登るかのようにタコの体を切り続ける。
『あいっかわらずとんでも無いッスね! 兄貴に兄貴のお師匠!!』
『まだ弱い時に貴様と戦う事になって命拾いしたぞ』
「ハッ! よく言うぜギルファー!!」
「しかし愛弟子。奴メ存外にしぶといぞ」
タコを見下ろせばどうだろう。凄まじい再生・・・いやあれは回復速度か。まるで細胞分裂でもするかのように切り裂いた部位を作り出していく。気色悪い。
「天眼、我が眼に宿れ『天籟虚真刀:ズイカク』」
――――◇――――
・『天籟虚真刀:ズイカク』の特殊能力『虚真』発動
――――◇――――
回復の起点となっているのは八つある頭の一つか。しかも頭以外にも心臓と思われる臓器も視える。体液の流れが集まってるから間違いないだろう。ってことはあの回復の起点となってる頭を潰して、その後心臓を切れば倒せそうだな。
「一番回復が早い頭を潰してから、タコの首? そこにある合計16の心臓を潰せば倒せそうだ」
「なるほど、厄介な身体ではないか。それに見よ。奴め小賢しくも余達に対抗するように再生する形状を変えおったぞ」
マリアーデの言うとおり、タコは粘着性がありそうだった体液を捨て、足の形も、どちらかといえばレイピアのように鋭く鋭利なものに変え、頭も甲冑でもかぶっているかのような形へと
変わる。
いかにも『固くて鋭いぞ』と見せつけるかのような姿だ。先ほどのまま再生してしまえば俺たちには対処できないと踏んだらしい。
『うわ〜、タコの原型ほとんどないじゃないッスか。あれじゃぁタコみたいな鎧武者ってやつっすよ』
『ふん。その程度で我の鋼を打ち破れると思っているのか?』
静かに地面へと着地したギルファーがあざ笑うようにタコを見る。俺もギルファーの背中から降りてその変化する様子を観察する。
「なぁ愛弟子よ。あれを見てタコだと思えるか?」
同じくジェクスの背中から降りたマリアーデが並び立ちながらうすら笑みを浮かべていた。
「どう見ても”タコ”には見えないな」
「あのタコめは戦う頭脳はあれど、他のことは考えられない阿呆だったようだな」
まったくだ。あの姿だったからこそ得られていた絶対的なアドバンテージがあったにも関わらず、タコは自らそのアドバンテージを捨ててしまった。
そうだ。タコでヌメヌメしていたからこそ封じることができた奴らを開放してしまったんだ。
「生命の進化はここで終わる。汝の命はここで死す!!『星術:天地星『アル・レーヴァテイン』』!!!」
『KYOOOOOOOOO!?!?!?!?』
その声と共に、何もなかった空間は星の輝く夜空へと変貌した。それはEXジョブ発動の証拠。そしてアイツが復活したということだ。
突如、タコの足元から光の柱が出現し、タコの体を貫いた。そして貫かれたタコの再生と形状変化が止まった。完全に形状変化が済んでいる箇所もあるが、一部は中途半端に終わっている。
再生しきれていない身体はボロボロのまま繋がり、生物と鉱物が中途半端になった姿。先ほどの気色悪さとはまた違う意味で気味が悪い。だが、その気味の悪さはホラーではなく、傷つき負傷したモンスターとしての気色悪さだった。
「あ~本当に嫌だ。嫌いなものは嫌いだけど、それで動けなくなる自分が嫌い」
「言うんじゃないわよレイレイ。その分ここから巻き返すわよ」
「匂いはまだ少し臭ぇけどこれなら平気だわ」
「このタコモドキ絶対泣かせてやる!!!」
「無ざまな姿を見せた恥は貴様で晴らすぞタコモドキ・・・!!」
「・・・うふふ」
タコ助。残念だったな。お前が”四人だけに対処しようとした”から残り六人を動かす結果になった。ここからどうなるか。もう決まったようなもんだぜ。
主任X『あーあ、リークちゃん達封じてた利点捨てちゃったわよタコ』
社員A『勝ったな。狸始末してきます』
社員ZD『オバロの敵オバロ実装の夢の敵狸死すべし慈悲はないコロス』
助役DD『いつもなら皆テンション上げてるんですけどね』
助役CC『お仕事優先だから仕方ないですよ』
社長『おいおいどうした狸親父! その程度か?』
エクスゼウスお仕事中につき、テンション低め。しかし録画している模様。後で楽しみます




