340:黒の巨塔 Ⅴ 合流
寝ているアール。眠い理由は現在メンテとバイタルチェックと、脳の休息中。
寝ている間にエクスゼウスによるアールの全身検査&回復の真っ最中だったりします。
因みにメンテ中もプレイできるという変態企業連中の本気度よ・・・
「ねぇ・・・本当に大丈夫なの?」
「命に別条はない。無理のしすぎ・・・いいや、させ過ぎてしまった余たちの責任だ・・・」
「リーク姉ちゃん達・・・ごめんなさい」
「謝んなくていいって。けどもよ、こんなに寝込むアールってのも中々ないから心配になるだけだ」
「使えるだけの回復魔術は全部施した。レベルダウンに関しては予想外だったけどジョブスキルは残ってて良かったよ」
「師匠・・・」
「ギン。大丈夫です。だってアール君なんですから」
『兄貴・・・オレッチ自分が情けねぇッス』
『・・・ふん』
何だろう。峠を迎えた病人を囲むような雰囲気だ。寝て起きたらこれとかある意味イジメじゃね?
「あ・・・あ、あー」
うん。まだ上手く話せねぇな。しかも体もうまく動かん。頬を撫ぜる風を感じたから場所は変わってないみたいだけど。
あと、リークたちの声が聞こえたし合流できたんだな。いやそう言えばGXだっけ? そいつが倒れてるの見つけたとか言ってた気もする。
「っ! 愛弟子? 起きたのか?」
「あーおきた。けどまだうごけん」
「・・・そうか。もう少し休むが良い」
「ちょっと唯。運営に連絡入れたほうが良くない? こんな状態見たことも聞いたこともないんだけど」
「家の人に連絡入れて確認させたよ。バイタルは安定してるし、異状も特になし。だからゲームの状態異常か酷使しすぎたデメリットって考えで大丈夫。けど一応運営に人は向かわせたから平気。何かあれば励久の好きな企業だからって容赦しない」
「ならいいけど」
なんか大袈裟過ぎひんか? そこまでしなくても良くない? 無理のし過ぎでこうなったのもあるだろうし、運営もここまでのことを見逃す訳なくない?
まぁそこまででかいことを考えても俺個人じゃどうしようもない訳だし、考えるだけ無駄か。
《《ちょっとした連絡よ主。今本体から連絡があったわ。ちょっと無理しすぎだったのと、やっぱりバグらしいわ。今修正してるからもう少し寝ていなさい》》
《《当然お詫びの品物を用意するそうですよ〜『アクセサリースロット+1』『スキルスロット+5』『再誕の剣LvX 10本』『100万D』『AS・UtSの全レベル+1』だそうです〜》》
内容的にマジのバグだったんかい!? と言うかバグ化で走り抜けたけど他のシステムとかプログラムに悪影響与えたりしなかった? あぁ、悪影響でたから俺が今こうなってるのか。
《《それと近々直接連絡するってXが言ってたわ!》》
かなり大事になったのは理解した。というわけで思考停止でまた寝ます。おやすみー。
――――◇――――
「・・・・・・・・・」
「ねぇリーク。本当に平気なんでしょうね? 今のアール死んだみたいに寝てるけど」
「アールが使ってるVR機器は私が用意した最高品質よ。バイタルチェックもそうだし緊急時の強制遮断機能もあるわ。運営には私からも連絡入れたしなんならお父さんも直接会いにいくってさっきメール来てたから平気でしょう」
「おじさんまで動くとか、その時点で十分怒ってるじゃないの」
「なんかバグでアールに負担がかかったらしいわ。すぐに気づいたみたいなんだけど、処置すると死者が出てたからアールへの負担軽減と補佐を優先に動いたって連絡あった。多分ここでの死者っていうのは」
「言わなくてもわかるわよ。こんな所で彼女が死んだらアール一生エクスゼウスを恨むものね」
「ゲーム辞める可能性だってあったわよ」
今回の修正とバグを機に、気が緩んでた運営に気合を入れ直してもらわないと。綾地さんも人間なんだし多少は仕方ない。でも励久の大好きを作ってるならもっと万全にはして欲しい。
ゲームだからってこんな姿見せられたら心配するのは当たり前なんだから。
「・・・」
落ち込んでるルークとマリアーデの表情は凄まじく暗い。話では二階層をアールは二人を抱えて駆け抜けたみたい。全能力と全神経、そして全部のダメージを請け負ってここまで来たらしい。
それだけじゃなくて、『クリムゾンGX』の仲間たちを闇龍の呪縛から解放するという偉業まで成し遂げて。おかげで持ち直せたGXは闇龍の怨念を無力化して、一時的の平穏を取り戻した。だからこの階層にきたアールはこうしてフィールドの真ん中でスヤスヤ寝ることができている。
レベルダウンしていたらしいけど、それも運営曰くバグだったみたいで、それは既に修正されている。その修正のため、しばらくこの空間でゆっくりしていて欲しいとも言われた。
アールが寝てるし当然動くつもりはない。
「クリムゾンGX。詳しい話を聞かせてくれる? 何があったの?」
「ちょっとリーク。アール起きてからでもいいじゃない?」
「うるさいメス猫。アールには私から説明する。だからいいの。GX、聞かせて」
正直怒ってる。けど運営をどうにかしてしまえばアールが悲しむから我慢する。じゃぁこの怒りはどこへ向ければいいか。このダンジョンがこうなった元凶に全てぶつける。
倒すボスに八つ当たりしてこの怒りを収めるしかない。というか八つ当たりする。ハメ殺しもやるし苦しませてここに存在することを後悔させる。
――――◇――――
「んん・・・・・・んぁ?」
目が覚めた。おぉ、今度はすぐに目も開けられたし視界も良好だ。修正終わったっぽい? 試しに体に力を入れてみると、しっかり力む事が出来た。修正完了したみたいだ。
「師匠?」
心配そうに覗き込むルークの顔もばっちり見えた。腕を上げてそんなルークをくしゃくしゃと胸元に引き寄せ撫ぜてやった。
「心配すんなって言ったろ? 疲れてただけだよ。もう平気だ」
「うん・・・うん!!」
「・・・・・・むぅ・・・まなでし?」
「なんだよマリアーデ。珍しいな船漕いで寝てるなんて」
ルークごと起き上がるように力を込めて上半身を起き上がらせる。違和感はなし。寝て起きたから疲労感も全くない。
ルークの反対からギュッと腕を取ったマリアーデの暖かさも感じた。ちょっと幸せ気分も味あわせてもらってますはい。ぷにってしたぷにって。
「・・・そういう時もあるのだ。愛弟子よ。身体に何か異常はないか?」
俺の手を取り、全体をほぐす様にマリアーデがにぎにぎと手を触ってきた。心配しすぎだろルーク共々。こういう時は『もう少しペースを考えんか馬鹿者』位言ってくれないと。
「愛弟子?」
「あぁ、なんともないよ。寝て起きたから元気百倍師匠の愛弟子アールさんだ」
「バカ師匠・・・それじゃぁアンパンのヒーローだよ」
「??? アンパンがヒーロー? 小弟子それはどのようなパンなのだ?」
「気にすんなよ師匠。言葉のアヤってやつだ」
しっかし草の上とはいえ熟睡したのに体が全然痛くない。寧ろ高級マットレスの上で朝を迎えたかのような気分だ。寝起きなのでバランスを崩さないように慎重に立ち上がる。そんな俺を補助するように二人が俺の腕をとってくれた。何度も言うけど心配しすぎだって。特にマリアーデ。
「師匠本当に平気? 肩・・・は僕じゃ低いし、頭に手を置いてもいいよ?」
「本当に大丈夫だって、師匠も、な?」
「わかっておるのだが・・・やはり心配なのだ。あれほどの負担だったのだぞ? 心配しない方が無理だ」
「そうだよ師匠! 二人抱えて全力疾走とか絶対ヤバイからね?」
「その辺の話も含めてすべて話そう。向こうにGXとやらの小屋がある。皆そこで先に話を聞いているから合流するぞ愛弟子」
「異議なしだ。あとそうさな。なら心配かけた謝罪としてこのまま手を借りててもいいか?」
そんな二人に手を借りながら、GXとみんながいる小屋へと向かった。その小屋で俺たちの様子を見たギンが暴走ぎみになり、コヨミとレイレイが凄いことになり、リークはニコニコしていたのはまた別の話。
別にマリアーデにデレデレしてないから。あとその対象にルークを入れるのやめなさい。ルークは男子だって何度も言ってるだろうが。
傍から見れば完全に夫婦。感想お待ちしています。是非ください。
以下私事なので読まなくても大丈夫です。
Heaven's Feel第三章最高でした。原作プレイ済みなので、展開は知ってましたけど、ほんと、見たあと言葉が出てこなくて苦しいぐらいの感動でした。
戦闘シーンも細かい描写も何もかもほんと最高でした。映画に関わってくれたすべての皆さんに感謝したいです。本当にありがとうございます。
こういう状況ではありますが、しっかりとマスク着用や、手洗いうがいを徹底して、娯楽や、観光などに出かけて、心のケアもしっかりとしましょう。嘘情報、偽りの情報などに振り回されてしまわないように気をつけましょうね。本当に。




