333:クラン会議
議題は当然アレです。
「これより緊急クラン会議を始めます。今回はプレシアプラレア姉妹にも同席してもらっています。議題は俺が施されてきたこと全てです」
場所は変わりエーテリアの我らがクランホーム。『剣星』メンバー+マリアーデ&プレシアプラレア姉妹にも同席してもらっている。女性率多いなこの場。
会議とは言ってもそんな語っ苦しいものじゃない。クランホームの一番広い和室に座布団とテーブルを用意しただけだ。どっちかといえば座談会に近い。
「まずさっき話したけど、俺の借金の出処は今までご好意で施されてきた全ての事象、物質への対価であることがわかった。つまりだ。店で使った素材、情報料、お使い。そういうのが全部俺の借金ってことだ」
「はい」
「ルーク。どうぞ」
「えっとさ、それっておかしくない? だって皆師匠に『そうしたい』『これをあげたい』って思ってやったことなんでしょ? それに値段をつけるのはおかしくない?」
「「同感」」
レイレイ、マー坊の二人が首を縦に振った。悪い言い方をすれば俺の借金の大元は彼らになるんだから当然とも言える。しかもお互いその自覚も意識もなかったんだ。
「確かにおかしい。でもさっきそれが実証されちまったんだよ。目の前でな」
「私が占いのお礼に10万Dをプラレアに渡したんだけど、それがアールの借金に加算された。その10万を回収したらアールの増えた10万の借金もなくなった。これが事実だよ」
余りにも理不尽な借金だ。しかし目の前で証明された以上、これが俺の暫定『借金』ということになる。認めたくはない。
「そうなるとアールの借金の借入先は俺とレイレイ、リークは確定か。プレシアさん達もアールになんかあげたんだよな? この場にいるってことは」
「そうなんだよね〜。今アールくんが身につけてる装備一式。私とお姉ちゃんの自信作だからね」
初回ボーナスよろしくプレシアとプラレアから譲り受けたこの『双子星シリーズ』装備一式。そしていくつかのアクセサリー。あと可能性としては『星読み人』習得時に攻略したダンジョンでの経費も含まれそうだ。
「妾たちはどうなのじゃ? 師匠に何かを与えてもおらぬ。寧ろ授けられている身じゃぞ?」
従者であるギンとコヨミに関しては、ギンが言った通り何かを渡したりしたことはない。だが、逆に渡したこともないんだ。
「それに関してはここで実証したいことがあるの。アール。お願い」
「わかった。ギン。コヨミ。これを受けてくれ”時代人につけた稽古の月給”だ」
ふたりの前にそれぞれ三万Dずつ、計六万Dを渡した。
「のじゃ!!? いらないのじゃよ師匠!!? 寧ろ稽古をつけてもらっていたのじゃ! それでトントンじゃろう!?」
「そうですよ!? 私たちは別にお金なんて欲しくはありません!」
そう言ってくれるのはとても嬉しい。しかし、現実は非情だったよ。それぞれに三万D渡したんだけど、丁度六万が借金から無くなった。
――――◇――――
サブシナリオ『老人のペンダント』:進行中
クリア条件:老人が持つペンダントを購入する。
購入金額:1、000、000D
現在:-3.000.932D
――――◇――――
「どうだった・・・って、聞くまでもない顔だね」
「あぁ・・・これも『借金』扱いみたいだ」
「のじゃッ!!?」
「うぅぅ・・・罪悪感が凄いです」
寧ろ俺の心にグサッときたけどな。サービス残業よろしく二人をタダ働きさせ続けてたってことなんだから。
意気消沈気味の俺に変わり、リークが話を進めてくれた。
「これでアールの借金・・・言葉が悪いから今後は『感謝金』ってことにするよ。感謝金の相手は丁度ここにいる『私』『レイレイ』『マー坊』『ギン』『コヨミ』『マリアーデ』『プレシア』『プラレア』の合計八人」
「言いたくはないけど私が見た占いの線の数とぴったりだよ・・・まさか私も当事者になるなんてね」
申し訳なさそうに苦笑いをするプラレア。こっちこそ本当にすみません。こうなるなんて予想もできなかったですはい。
「ねぇ師匠、今の手持ちって・・・」
「いらない素材売っても精々50万だ。全く足りん」
「・・・きつくない?」
正直めちゃくちゃキツイ。モンスター素材も高くてせいぜい10万前後。素材を高い技術で加工したモノ、あるいは最高レアリティ素材ならばもっと高いが、あいにくそんな素材は持っていない。
モンスターとの戦闘でも、雑魚ならせいぜい7000Dほど、ボスクラスなら20000を超えることもあるが、長時間連戦できる訳じゃない。他の挑戦者がいれば譲るのがマナーだし。
しかも現在は『特殊個体』『特異個体』の登場と、討伐報酬である特殊能力を武器などの需要により、どこのボスにも需要が増えて人が多い。『転生者』の登場で盛り上がっているとは言っても、全員が全員、そちらばかりという訳じゃないんだ。
「けどやるしかないんだよなぁ・・・はぁ・・・」
仮、に一戦素材込みで30、000D前後が手に入るモンスターがいるとする。それを十周すれば300、000D。百周で3、000、000Dだ。文字にすると『大したことなさそう』とか言い出す奴。実際やるとクソ大変なんだかんな。
いくら作業ゲーが出来るとは言っても、時間の都合とかもあるわけで簡単に百周なんてできるわけじゃない。学生のとしての義務である勉学だってやらないとだし、バイトだってたまにはしないと生活費がなくなる。
実家からは毎月いい金額を貰ってはいるが、それに甘えすぎるのもこれから先悪いだろう。住んでるアパートの家賃だって払ってもらってるんだし。
「ともかくだ。今後俺が稼いだモンは全部ここにいる皆に渡してくよ」
「私たちは最後でいいよ。先にプレシアさん達から受け取ってもらえますか?」
「順番は気にしないよ? けどアール君の気分が晴れるなら最初に受け取るよ」
「お願いします」
「金集めはどこでやるつもりだ?」
「考えてるのは『呪却神殿』だ。あそこの敵は『エクストラ』仕様だから素材の需要も高い。上手く言えば奪われた武器も拾えるしそれである程度稼ぎにもなる」
「あそこか、確かにアールだけなら絶好の狩場だしな。けどリッチ出てきたら面倒じゃね?」
「それなんだよなぁ〜」
最近三代目憑依とは少し違うリッチが時折姿を見せるらしく、しかも三代目憑依よりも強いとのことだ。間違いなくそれ憑依じゃなくて本人だと思う。だから相手にするのクソメンドくさい。
負けはしないけど、勝つまでにそうそうな時間を持っていかれるはずだ。『双極剣』受け取ったあの戦いですら一時間以上戦い続けてやっとだ。しかも素材ドロップはなし。
多分逃げても追いかけてくるので下手に逃げれば災害を起こしかねない。となると倒す、あるいは敗北するのが早いんだが、当然負けは無し。つまり勝つまで戦う一択だ。
「でもやるしかないだろ・・・はぁ・・・」
どっかないもんかねぇ。もっと効率がいい狩場とかさ。
「それななんだけどアール。アタシから一つ提案。うまくいけばフルメンバーで参加しても軽く一億は手に入る可能性あるダンジョンがあるよ」
「一億!!?」
「ちょっとメス猫。あんたもしかして・・・!?」
桁が違う!? それだけあれば余裕過ぎる・・・!! けどうまい話には裏がある。絶対何かある。
「『黒の巨塔』。未だ完全制覇されたことがない今この世界で最も危険で、難易度が高いダンジョン。そこの最終ボス素材があるとすれば間違いなく巨額の富を得られるよ」
以前頂いていたダンジョンアイディア『黒の巨塔』堂々登場。
詳しくは番外編を見てください。




