312:城案内ツアー
(◆▽◆) 女性陣の眼より笑顔に
これがどうなったのか本編をどうぞ
「ここが普段使われている会場です。皇帝の間とも呼ばれていますね」
「「「「「「おぉ〜」」」」」」
どこの世界にこの国の王女様に城を案内してもらう一般人がいると思う? ここにいる。シルフィアが以前助けた『シルト』だとわかると、リークとレイレイは納得。ギン・コヨミに関しても応援していますと言われると態度をわかりやすく軟化させた。
それどころか色々と仲良くなり気が付けばシルフィアにエスコートされる形で場内見学が始まっていた。ちなみに姉弟は仕事が一段落着いたのか、シルフィアに気付かれないように隠れて護衛中。うっすらと気配がわかる程度に隠れてる。
田舎者のようにあちこちをキョロキョロと見渡すリークたちと、その後ろについていく俺とマリアーデ。ギルファーは興味ないのか、珍しくチワワサイズまで小さくなり俺の肩に乗っている。
頭に乗るとディアに喰われる(無論そのままの意味で)ので肩である。反対の肩にちょこんと出てきているのは久しぶりに見た『卯月』と『弥生』。
誰?って思った人もいるかもだけど、詳しくはちょっと前の話を見返してくr・・・なんだ今の電波?
『やはり人はよくわからん。何故こんな無駄に五月蝿いものをこうも並べるのだ』
「威光を示すってことだろ。お前が威嚇するのと似たようなもんだ」
『ふん。実力を示すのにこのような小細工を使わぬと出来んとは。小物だな』
「そうでしょうか?」
『あん?』
そんなギルファーの発言に物申すのはシルフィア。別に怒っているとかそういうのではないみたいだ。
「確かに私達人間はアナタ方モンスターのように自らの力だけでは簡単に力を示せません。同時に、私達人間は相手を見ただけでは正しく相手を知ることも出来ません。故に誰が見ても直ぐにわかる『強さ』『偉大さ』『強大さ』というような威光を見せる必要があるんです。アナタだって私を初めて見たときは私が王女だってわからなかったでしょう?」
『・・・興味がないからな。貴様がなんであれ、我には関係ない』
こいつ今、一瞬『確かに』って思っただろ。平然としてるけど、一瞬手が動いたの俺は見逃さんぞ。
「まぁそうかもしれません。でもそういうことです。見た目だけで相手を判断する材料にしてしまう。だったら自分の偉大さを示すにはこういった手段が一番効率がいいんですよ」
『人というのはめんどくさい生き物だということは理解できたぞ』
「その通りです。結構めんどくさいんですよ人って。でもだからこそ人なんだって私は思ってます」
結構、しっかりした姫さんなんだなって改めて思う。お転婆姫だけど、それ以上にちゃんとした考えを持ってるって、大事なことだからさ。
「それじゃぁ皆さん。次は食堂に案内しますね。あ、そうだ! せっかくだし皆さん食べていきませんか? 城のシェフは皆一流ですから美味しいですよ! 私もたまに騎士に変装して騎士の皆さんと一緒にご飯食べるんですけど本当に美味しいんです!」
訂正。やっぱりお転婆お姫様だ。お前ら姉弟も大変だなぁって視線をやると、頷かれた気がした。
――――◇――――
「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」
「召し上がれ! 私が作ったわけじゃないですけど。私もいただきまーす!」
城にいる人の数は多い。だから一斉に人が来るとあっという間に溢れかえってしまう。だから食堂も順番に、時間指定で人が代わる代わるやって来る。その為、厨房もローテーションを組んでほぼ常時動き回る。シェフの皆さんお疲れ様です。
時刻はちょうど昼時、数は多いが偶然俺たち全員がちょうど座れる席が空いていた。そんな馬鹿なと思いたくもなるが、一応偶然らしい。護衛していた姉弟片方の気配が少し離れていたのもきっと気のせいだな。うん。
今度お礼言っておこう。シルフィアも変装して一般騎士のような見た目に。あっという間に変装するのだからスキルってやっぱりすごい。
でも今回は別に変装しなくても良かったのでは? 聞き耳立てると騎士の皆さんも厨房の皆さんも『姫様だ』『シルフィア様また来てる』『あの方々が剣聖様の友人とお弟子さんと婚約者』とかバッチリバレている。
本人だけは本当にバレていないと思っているのか、結構豪快にグラタンを食べている。その顔は幸せそのものだった。好きなのか? グラタン。
「え、うっまっ!? なにこれ美味っ!?」
カレーをチョイスしたマー坊が目を見開く美味しさ。その後はガツガツとカレーを食べ進めていく。その横では無言でパクパクと同じくカレーを食べているルーク。目がとてもキラキラしている。
「うん・・・これになにか仕掛けるとしたら無味無臭のものかな・・・味を崩すと一瞬でバレるね」
『姉さんこういう時くらいそういうのやめましょうよ。怖いッス』
「いいでしょ考えるのはタダなんだし。あ、ケチャップアタシに飛ばさないでよ? 飛ばしたらシバくからね?」
その隣ではレイレイが物騒なことブツブツと言いながらナポリタンを口にしていた。皿の横に留まっている『ジェクス』は器用にパスタを一本飲み込むように食べている。さすが鳥。口が器用だ。
ふたりが食べてるナポリタンの綺麗なケチャップが、見ているこちらにも食べたいという食欲を掻き立ててくる。
「のうコヨミ。これはあれじゃろうか? メフィラガゼルの肉か?」
「でしょうね。この歯ごたえと溢れ出る肉汁はメフィラガゼルで間違いないです。それにしても絶妙な焼き加減です。ご飯が進みますね」
「ふーん。あの鹿こんな味なんだ。今度狩るときは血を全部抜いて殺ろうっと」
リーク始めとする肉食系女子どもはガッツリ鹿肉ステーキに舌鼓している。女子に幻想を抱いている男子諸君が見れば影を落とすこと間違いなしである。けどこういう所に魅力を感じられるようになると世界変わるぜ男子諸君。
いっぱい食べる君が好き。お米を愛する系女子高生とか、シスターとか、ゼロカロリー理論持ってる幼馴染巫女とか、あと星の戦士が擬人化したかのようなキャンプ女子とか色々。
『おいアール。我にも寄越せ』
『『クァン』』
そして俺の所にもチワワサイズの三匹がいるわけで、食べるものは肉と決められている。と言うか三匹揃って『肉だ』と言うので肉にした。
俺も気分は肉だったので異論はなかった。という訳で大好物のハンバーグです。ハンバーグ六重の塔が俺の前にはそびえ立っています。コックさんありがとう。
卯月と弥生は暴れないだろうけど、ギルファーはそうとは限らないので、先に切り分けた肉を食わせる。相変わらず肩から降りないので取り分けた肉を皿に移して差し出す。
二匹は行儀がよくてちゃんと降りて食べてくれている。ハンバーグを一個ずつ持ってたのはびっくりしたけど。
『悪くない。だが食い足りん。もっと寄越せ』
「何のために小さくなってやがる。後ひとつやるから我慢しろ」
こいつ一口でぺろりと食べやがった。仕方ないのでもう一つ取り分けて食わせた後に、俺もようやく一口パクリ。肉汁たまらん。米が止まんねぇ。
荒めの合挽肉が肉の食感を残しつつ、噛むほどに溢れ出るこの肉汁。広がる肉の香りが米を寄越せと雄叫びをあげている。たまらん。実にたまらん。
「やはり食事の時は幸せそうに食べるな愛弟子」
「否定はしない。食うことは好きだから」
「別に咎めはせん。それに愛弟子の幸せそうな顔を見ていると見ている者まで気分が良くなるからな。作っている者からすれば最高の瞬間だろう」
そうだといいな。こんな美味い飯作ってくれる方々に心から感謝せねば。食は世界を救うってか?
「アール。私もひとつもらうね? うぅーん!! 美味〜!」
突然横から身を乗り出したそいつは俺が持っていたフォークを俺の手ごと使いハンバーグに突き刺すとそのままカプリ。俺のハンバーグ!?
「あっ!? おま後ろから急・・・に・・・?」
「うぅーん! ご飯はやっぱり世界共通だよ〜! ねぇドドドラ! 今度お願いして料理研修してもらおうよ! ここのシェフに!」
「陛下。一応お前はゼアリードの王なんだから多少は繕え」
「えぇ〜めんどくさいよ。普通が一番! これ私の信条! って訳でアール久しぶり! 来てくれないから私から来ちゃった♪」
「はぁ、先が思いやられる・・・久しぶりだアール。話は聞いていたが元気そうで何よりだ」
そこにいたのは、今や一国の王となったかつての仲間の一人『暁妖精カイラ』。そして身長2mは軽く超え、二の腕が太腿と同じかそれ以上ある超絶マッチョな大男。
そしてこんなガタイがいいのに好きなことは昼寝という可愛らしい一面もある同じくかつての仲間、そしてジェクス曰く女王直轄の近衛兵となっているらしい『豪快猿ドドドラ』。
まさかの超VIPが食堂でのんきな発言と共に現れたのだった。このあと食堂が大騒ぎだったのは言うまでもあるまい。
カイラ『きちゃった♪』
今後の展開予想とか含めて、なんでもいいので感想いただけると嬉しいです。




