311:『剣星』合流
久しぶりに全員集合します。
街に出かければ、初日に見たよりも多くのプレイヤーでごった返していた。掲示板にもあったが、皆これがそのままワールドシナリオに直結すると考えている。その他にも各地からNPCも今回の記念すべき日を帝都で過ごそうと多く集まっている。
まぁ実際そうなるとは思っている。例えば全面戦争が起こるとか、第三勢力が現れて世界中に混乱が起こるとか。想像だけならいくらでも出来るんだよな。
明日の三国会合がまさに運命の分かれ道ってことだ。一応騎士団長のグルゲート、ミカルド将軍が見て、腕が立ちそうなプレイヤーも数人、会場入りをしてもらうという。その面談があるらしく、今日は特にプレイヤーがそわそわしている。
そしてそれに乗じて街中の店が稼ぎ時と言わんばかりに声を出して引き込みをしている。宿屋はどこも満室らしく、プレイヤーの多くは徹夜で過ごすこともあるとかないとか。もしくは夜の間だけログアウトして、日の出と共にこっちに戻ってくる。そこはゲームだからこそできる強みってやつだな。
そんな感じで大通りも狸小路も関係なく人、人、人、である。
「愛弟子。やはり止めよう。想像以上に人が多くて余は嫌になってきたぞ」
「そう言えば人ごみ嫌いだったなマリアーデ。まぁこの数見ると気持ちはわかる」
露店も行列が出来ていたり、店舗に関してもほとんど満席。選択ミスったな。やっぱり初日に時間作って店巡りすればよかった。
「愛弟子。屋根上まで飛ぶぞ」
「はいよ」
周囲に迷惑かけないように、細心の注意を払いつつ、足に力を込めて跳ぶ。とは言っても戦闘してた訳じゃないので大した衝撃はない。だからちょっとアクロバットアクションで移動だ。
「ふっ」
俺の肩を踏み台にして壁目掛けて飛び上がるマリアーデ。それと同時に体の上下を入れ替えて、手を伸ばしてくるマリアーデ。
伸ばされた手を取り、マリアーデに体を預けて俺も宙に浮かぶ。マリアーデが器用に俺と高度を合わせてくれるので合わせるように体をひねる。
俺の手と、マリアーデの足が重なり、同時にお互いを吹き飛ばす。それぞれが別方向に飛んでいく方向はもちろん壁。再び体をひねり壁に着地してから、三角飛びの要領でもう一度宙に体を飛ばす。
その衝撃を使い、空気を踏み込んで更に上へ飛び、そのまま屋上へ着地。下から『おぉー!』っと歓声が聞こえたので、身を乗り出して軽く手を振ってみた。何人かからは『あ、やっぱりお前か』みたいな視線を受けた。
そりゃまぁ一回アクシアで似たようなことしてたし覚えていた人もいたんだろう。これぞ技術の無駄遣い。『風瓶エリシオン』『月渡』ひいては『月光流』の無駄使いって所だろうか。
「うむ! やはりこのくらいの間隔がある方が余は好きだ!」
当然にように俺がいる屋根上まで飛んできて背を伸ばしているマリアーデ。随分と窮屈な思いだったのか骨を鳴らして気持ちが良さそうだ。
「では帰るぞ愛弟子」
「はいよ。なんで俺今日出かけたんだろう」
「そういう日もある。気にするでない。む? 愛弟子。お主に客だぞ」
「やっと見つけました」
「あ、コヨミ。それに皆も」
空からふんわりと屋上に降りてきたのはコヨミ。その後からレイレイ、マー坊に担がれているルーク。ギンとギルファーがそれに続くように着地する。
「オッス久しぶり・・・でもないか。あれ? リークは?」
「「「上」」」
「アール〜うーけーとーめーてー」
『ヒュー』と落下音が聞こえてきそうな体勢で落ちてくるリーク。若干呆れつつも地面の模様になってしまうのを見たくはないので出来るだけふんわりとキャッチ。当然お姫様抱っこだ。と言うか器用に空中でそうなるように姿勢を変えたリーク。狙ってやがったな。知ってたけど。
「ムフー! こっちでのアールの臭いだ〜」
「嗅ぐな」
「早速嫁といちゃつき始めたな愛弟子? なんだそんなに寂しかったのか? ん? ん?」
「煽るな」
「ありがとうジェクス。なかなかいい体験だったよ」
『姉さんだけッスよ。オレッチにそう言ってくれるの〜・・・グスン』
パタパタと小鳥姿で降りてくるジェクス。今回は主のレイレイと一緒に来たから問題はないだろう。と言うか上から街の中入るの大丈夫なのか? 怒られない? こういう時だし。
「大丈夫。私たちは『オネストカード』持ってるし、ルークも前にチーザーと一回きたことあるみたいだから問題なし」
何か久しぶりに読眼術使われた気がする。あ、そう言えば前にプライベート云々考えたけど、こいつらいると読心術も読眼術もあるからあんまり変わらねぇじゃん。
「あれ師匠? なんか武器増えてない?」
「む? 本当じゃ。それに『ズイカク』も『クヴァレイドル』も以前と違うのじゃ」
「お前、またなんかあったろ。吐け。全部吐きやがれ」
そう思っていたら早速変化に気づかれた。ややこしいなぁと思いつつ、城までの道のりを駆けながら、この数日の話をみんなにするのだった。
――――◇――――
「「「「お疲れ様です!」」」」
「お疲れ様。こいつら俺の友人と弟子なんだ。入っても問題ないか?」
「余の知人でもある。何かあれば余たちで対処しよう」
「大丈夫です! どうぞ剣聖様方のご友人 そしてお弟子さん方!」
四人の門番。そのうちのひとり、背中に羽根が生えている有翼人種の騎士からの許可も貰い、今回は堂々と正門から入城する。門番の数も、その集中力も三日前よりも格段に高く、多い。
初日がこれだったら、騒いでいた俺とマリアーデを見たら即座に拘束してただろうとか思う当たり、騎士の練度って高いなぁって実感する。実際レベル高いんだけどさ。最低でも70はあるみたい。
「すっげぇ高待遇じゃねぇかお前。さすが剣聖。さす剣だな」
「おいゴリラ。その略し方やめろ。あそこまで理不尽な強さは持ってねぇよ」
「いやいや師匠。僕から見たら十分理不尽だよ。いつか魔法とかも斬っちゃうんじゃない?」
「え? アール魔法斬れないの? アタシてっきり斬れると思ってた」
「そう言えば師匠が魔法の類を斬っている所を見たことがないのじゃ」
「斬る理由無くない? 撃たれる前に斬ればいいし。撃たれたらその時になんとかすればいいし」
「余も愛弟子と同意見である。そう言えば余も魔法を斬った事はなかったな。だが魔法を斬る訓練なぞする暇があるのなら術者をどうにかする術を身につけたほうが早いだろうな」
「「「「あぁ〜・・・スゲェ(すごく)納得 (なのじゃ)」」」」
そんなくだらない会話をしつつなんとなく訓練場に足を運んでしまう。リークたちも何も特に何かを言うことなく続いてくれる。
通り過ぎる騎士団や、会場の準備のために働く人がリーク達を誰かと見るが、俺とマリアーデの姿を見ると会釈をしてからすぐに自分の作業や持ち場に戻っていった。そんな彼らとすれ違うことしばしば、訓練場までたどり着いた。
「なんかアタシたち何も言わずについてきたけど、案内された場所が訓練所って・・・」
「言うなレイレイ。俺もなんかこう。内部見学的なものを期待してたけど今諦めた」
「師匠とその師匠じゃからなぁ。それに武器の話もある。身を持って知れということじゃろう」
「うわぁ・・・師匠うわぁ・・・」
「私は構いませんよ? アール君と手合わせするの好きなので」
「私もかな。アールにならいくらでもキズモノにされてもいいし」
「「お前(お主)ら俺(余)を戦闘狂と勘違いするな(でない)」」
『実際そうだろ。最初に連れてこられたのがこんな場所だ。我もこいつらと同じ意見だ』
『兄貴相変わらずッスねぇ』
うっさいそこの同類コンビ。焼くぞコラ。
「あら! アール様!」
「「「「アール”様”? また女?」」」」
目が怖い。女性陣の目が怖いです。あとその人皇女様だから無礼のないようにね? 頼むから。
あとその人お姫様だからマジで問題だけは起こさないで。
(◆∀◆) 女性陣の眼
笑顔で目がどす黒い。
シ「何か面白そうなことがある予感がしますね。行ってみましょうか!」
ミ「姫様いつもの」
御転婆姫様本領発揮




