303:剣聖を敵に回すということ
タイトル通りです。特に今回はアールとマリアーデ双方の逆鱗に、特に片方の逆鱗を毟る様な事をした為、絶望的な恐怖を知ることにはなるでしょう。まぁどうなるかは目に見えてます。
章追加するの忘れてました。
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・UtS『天刻Lv2』発動。『滅毒』を完全回復&克服しました。
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「貴様ッ!?」
「バカな連中だぜ!! あんな手ぬるい牢屋にぶち込んで捉えたつもりだったのかよ!! ハッハァ!! この国の警備はあの程度だってわかったのは好都合だったぜ!!」
『UtS:天刻Lv2』直後視界が元に戻る。同時に騎士団が動き出すが男のほうが早かった。
「『滅毒』は即効性の激毒! この結界が解除されるまで少なくとも1分かかる!! コイツはもう手遅れなんだよ!」
男を中心としてバリアのような結界が展開された。その結界はどうやら障壁のようなものらしく、結界の中にいる男に近寄れなくなっている。当然対応しようとする騎士団だが、男の方が早い。既に転送、あるいは転移のためのアイテムを取り出していた。
「その目で焼き付けな! お前ら騎士団の無力さがこのバカみたいに強い男を殺すんだ!! てめぇら全員の無力さを噛み締めて絶望しな!!」
うん。これは100%悪意ですね。わかります。じゃぁ斬っても問題ない。けど事情聴取のために命だけは助けてやろう。戯言が多い外道で助かったよ。どうやって処罰してやろうか考える暇があった。
「あばよ騎士団共!! 己の無力さを噛み締めて仲間が死ぬざまを見届けn「次があるといいな」へぁ?」
俺が苦しむザマを見せつけるために、俺を結界の中に残していた賊。そして男の手には逃亡のためと思われるアイテムが握られていた。“だから両腕を肩から切り落とした”。
ボトリと無情に落ちた両腕。その傷口に、賊が出血性ショック死をしないようにディアの分身を付着させる。血が噴き出す前にその分身が擬似血管を生成し血の循環を滞りなく通わせる。同時にディアが俺の思考を読み取り、分身を通じて男の生命維持活動を活性化させてくれた。
「足も邪魔だな。『血夜鴉』」
膝から下を切断し再度ディア分身を接合。これで死ぬことはなくなった。それにディアの分身くっついている。万が一死んだとしいても蘇生できるだろう。
「『ヴェノ』」
『ギィ』
既に身体に違和感はまるでない。だが一応『天刻』の効果で回復はしているが念には念を入れておく。毒に関しては一瞬の油断が命取りだし。
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・『慧眼ノ眼装』特殊能力『超回復』発動。全回復可能回数残り3回
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「へっへへっへへへへへ!?!?!なななんんでで!??!?!」
回復完了した俺。そして何が起きたのか分かっていない騎士紛いの男。足を失い地面に倒れ、崩れ落ち、先程まで自分のものだった四肢が転がり出血しているのを見て、随分と狼狽している。
「俺を殺すつもりだったんだ。なら死ぬ覚悟もあったんだろ? でも安心しろ。俺はお前を殺しはしない。かわりに死ぬことが幸福と思える程の痛みを味わいな」
何か言ってるが興味がない。
「真痕を刻め『痛撃真剣ジンツウ』」
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・『痛撃真剣ジンツウ』特殊能力『貫痛撃』発動。
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「***?§∀†∵◆〆*!!!!!!」
声にならない悲鳴とはこのことだろう。もはや人語とは言い難い悲鳴を上げながら男がのたうち回る。ダメージを負うのだが、ディア分身がそれを許さない。即座に回復し延々と苦痛を味あわせる。
四肢を切るのに使ったから、計四回の傷でこの叫び方。一撃でも十分に脅威となる武器になりやがってからに。ジンツウ能力、『貫通撃』の使いどころは選ばないとゲームにならなそうだ。
俺はともかく、これでもかなり甘いと思うぜ? だって生かしてやると堂々宣告してやったんだ。コイツはこれ以上傷つくことはあっても、誰からも殺されない。少なくとも”この賊”はこの場で死なない、死なせないと”五代目剣聖”が言ったんだ。”死ぬことはない”。
「愛弟子!! 大丈夫か!! 体は平気かっ!!?」
どうやら結界が無事に解除、あるいは除去されたようで、マリアーデはじめとした騎士団の皆さんも俺と、もがき叫ぶ賊の元までやってきた。
「大丈夫だよ師匠。ほら」
マリアーデが本気で心配してくれているのが分かる。だから茶化すのではなくちゃんと切られた掌を見せる。ヴェノのおかげもあり傷はふさがっている。
「本当に平気なのだな?! 我慢していないのだな?! 本当に無事なのだなっ!?」
「本当に無事ですか五代目剣聖様!?」
「大丈夫だよ。それにマリアーデに鍛えられて毒物には耐性あるんだ。今の俺なら毒だろうと平気だよ」
と言うかそうしたのはマリアーデなんだからそこまで焦らなくていんだぜ? しかし俺を見る顔があまりにも不安そうだったので、それを取り除くように笑ってみせた。
「そうか。そうだったな・・・よかった・・・」
それを聞いて、それを見て、ようやく安心してくれたマリアーデ。しかし次の瞬間、その顔から表情が消え去った。
「dふほjslkvfkjdzふぉ!??!?!」
「愛弟子、貸せ」
それは怒りではなく、無感情。無関心とも言えるような冷たい顔。のたうち回る男に向き直るマリアーデの表情を表すならばそれだった。
何を貸せとは言わなかったけど、この場合は『ジンツウ』だろう。『ジンツウ』、ちょっとマリアーデの言うこと聞いてな?
「ほい」
返事は聞こえなかったけど、同意するように、僅かに刀身が動く。それを確認してからマリアーデに『ジンツウ』を貸した。
「騎士ども、余に斬られたくないならばそこを退け」
「「「ッッ」」」
賊を取り押さえていた騎士にそう告げるマリアーデの言葉に、騎士たちは恐怖を顕にして、賊から距離をとった。
「余の愛弟子に手を出した罪。本来ならば死して尚償いきれぬ大罪である。しかし愛弟子が貴様を生かすといった。故に余も命は取らぬ。しかし、貴様の血統はここで殺す。真痕」
「 」
そして『ジンツウ』による一閃が、男の遺伝子を生む箇所へと、容赦なく振るわれた。汚い血が流れ、肉片が飛び散るが、ディア分身をそこにはやらない。マリアーデは無言で俺のアイテムポーチに手を突っ込み取り出したポーションを取り出すと、中身と叩きつけるように、と言うか瓶で傷を増やすように、男へと叩きつけた。
ポーションの効果で傷は塞がったが、ソレは二度と使い物にはならないだろう。まぁ使う機会も永遠にないとは思うけど。それ以上に、男の悲鳴が声を失い、ひたすらに目を見開き、泡を吹きながら呼吸困難気味に雄叫びを上げている。
ディアがくっついている以上、どんなことをしても死なない程度に生きているのだから苦しいだろう。だが、それだけのことをこの外道は俺の目の前でやろうとした。
「余の愛弟子を傷つけて尚、こうして生きている幸福を噛みしめよ。この程度で済ませてやった余の慈悲に感涙せよ。そして貴様の血族すべてを余は皆殺しにする。貴様の友人知人関係者すべてを皆殺しにする。必ずだ。それが貴様の犯した大罪だと理解せよ」
無情な宣告。一族郎党、知人に至るすべてを皆殺しにするというマリアーデの言葉は、恐怖を生み、痛みによる悲鳴を上げる男に、さらなる恐怖と絶望を叩きつけた。賊を拘束するはずの騎士団たちも、その発言に、その声に乗る無感情で無慈悲な宣告に、恐れ動くことすらままならない。
すごいだろ? こんなことを当たり前のように言い切れる人が俺の師匠なんだぜ? おかげで俺も、相手によっては手段を選ばずになんでもするっていう素晴らしい・・・かはともかく、そんな選択も取れるようになった。
師弟ってやっぱり似てくるもんなんだよな。
「なぁ愛弟子? 本当に無事か? やはり無理をしているのではないか? あとそれは別として血涙雀を使ったことは忘れないからな? ともかく手当してことが済んだら仕置だからな?」
恐ろしい表情はすぐに身を潜め、戻ってきたのはいつもよりも少し心配そうにしているマリアーデ。でもばっちり『血涙雀』のくだりは覚えていました。そこは流しておいて欲しかったです。
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マジの賊がいて、その騒動もなんとか収束した。将軍はじめとした皆様には誠心誠意謝罪しましたとも。それと、やっぱり演習の依頼はあったみたいだ。
曰く、重要な準備の最中に賊が現れた場合の対処、対策の確認の為に、将軍、騎士団長、そして皇帝が手を回して騎士団だけでなく、城に住む者への訓練、対応を見るためだったとか。
一応安心した。マリアーデの唐突な思いつきじゃなくて、ちゃんとしたマリアーデへの依頼だったから。やったの俺だけどその辺はまぁ師匠の頼みを聞いた弟子の特権というやつで。
しかし、あまりにもタイミングが悪くなりすぎたのも事実。本物の賊が同じタイミングで現れて、将軍も騎士団長も、ひいてはおそらく皇帝も本物だとは思わなかっただろう。
下手すると死人が出るほどだ。しかも最悪皇帝が殺されかねない。となれば今回一番悪いのは・・・
タイミング悪くてすみませんって。というか・・・
「あ・・・アール殿!! もう大丈夫ですから!! 頭を上げてください!!」
「そんな恐れ多いことできません!! マジでタイミング悪くて申し訳ありませんでした!!!!」
そう。タイミングがあまりにも悪かった俺とマリアーデである。一応マリアーデは来ることをグルドール騎士団長には伝えたらしいんだが、それにしたって、しょうがないとは言えこうなってしまっては俺たちが悪い。よって絶賛謝罪中。当然俺は土下座。そしてその隣には。
「本当にすまぬ。余もタイミングが悪すぎた」
「マリアーデ様もそのようなことしないでください!! 本当に!! 本当に我々一同寧ろ反省すべき事態ですから!!!」
同じく綺麗に土下座中のマリアーデ。師弟共々タイミングが悪すぎていたたまれないのだ。寧ろふたり揃って頭で地面を掘り進めるレベルで謝罪中。
「おいキリカ!! お前が許せばきっとアール殿も頭を上げてくれる!!」
「剣聖さまとあんな密着できたんですよ!!? 怖かったですけど、よく考えたら自慢物ですから!! だから剣聖さま!! 寧ろ生肌触れてもらえたので役得でしたから!! もう大丈夫ですから!!!」
「そんな訳ありません!! 女性をキズモノにしようとしたこの下郎の身!! 謝罪してもしきれません!!! キリカさま申し訳ありません!!!」
「本当にすまぬ。余も面白がって調子に乗りすぎた。本当に申し訳ない」
「悪化したァァ!!!? 本当大丈夫ですから!! お願いします剣聖さま方!! どうぞお顔を上げてください!!!」
師弟揃って誠心誠意反省中。
アールが命だけは助けると宣告したからこそ、賊”は”この場で殺されなかったのです。
言わなかったらどうなってたか? アールが殺す前にマリアーデが一ミリずつ意識があるまま賊の体を輪切りにしていったと思いますよ。当然ジンツウ能力込みで。




