287:レベルボーナス解禁
アヴァロアに勝利して新しい武器ゲット。
「・・・・」
呼吸を整えて周囲に意識を集中する。感じ取れるだけでモンスターは三体。猪とカマキリ二匹。既に索敵範囲に入っているようで、猪はこっちに向かって走ってきている。カマキリも素早く移動しながら、漁夫の利を狙っている。
「『剣技』」
『ブモォォォ!!!!』
ふた振りの剣を地面に走らせて、炎を纏わせて上へとなぎ払う。
「『焼土』ッ!!」
突っ込んできた『エイリーアボア』の身体が三枚おろしのように切れた。そして本来なら出現するエイリーアボアの本体とも言える気色悪い分裂体は、纏っていた火炎に飲み込まれて焼けていく。
「『剣技:天来』!」
『十六夜天雷』を使った状態で『剣技:天来』で、残り二匹のカマキリとの距離を詰める。ゼロ距離になったとき、カマキリこと『ヴィスディアマンティス』が反応する前に、両手の刃で首を落とす。
まずは一匹、そのまますれ違いざまに二匹目の腕と胴を切り落とす。これで二匹目。
――――◇――――
・『エイリーアボア』『ヴィスディアマンティス』を撃破しました。
・13900D獲得
――――◇――――
「・・・・・・相性良すぎだろ『双極剣』と『剣技』。あの野郎これは調子乗っても仕方ねぇわ」
つい先程、アヴァロアに勝利して、過去の約束通り手に入れた『双極剣』。実際使ってみるとこれがヤバイ。『剣技』との相性良すぎて調子乗っても仕方ないレベルで使いやすい。
元々アヴァロアの剣技は逆手持ちの攻撃が多いんだが、この双極剣、左右の剣を持ち替えるだけで通常の持ち方も逆手持ちでもしっくりくる一品だ。
オーダーメイドで作らせたとは聞いていたけどここまで使いやすいとは聞いてないぞアヴァロア。
この双極剣。鞘がないので刃を出しっぱなしにすることがデメリットなくらいで、本当に使いやすい。何度もごめんな。これ以外の感想出てこないんだよ。
――――◇――――
武器:双剣『双極剣』
攻撃力+Ω
・剣聖アヴァロアが生涯、そして死後も持ち続けた究極の双剣。故に今までアヴァロアの元から離れることはなかった。しかし、生前したたった一つの約束の元、彼はようやくこの刀を手放すことを決めた。彼が認めたたった一人の剣聖への、初めて抱いた敬意を込めて
――――◇――――
やっぱり最後の言葉は聞き間違えとかじゃなくて実際に言ってたようだ。せめて今度こそ成仏してくれるとありがたいんだろうけど、まぁしないだろうなぁ。寧ろ変な憑き物取れて『ヌワハハハ!!! ザコドモガイクラキテモカテルワケネェダロウガァ!!』とか喜々として言いそう。
というかそこまで行くと主人格カースサイスリッチじゃなくて完全にアヴァロアだよな。乗っ取られてるよな? 憑依じゃなくて。めんどくさくなりそう。
『オイボンジン!! キサマオレトタタカエ!! ツギハニドトマケンノデナ!! マケンカラナァ!!!』とか言ってきそう。なんだよめんどくさい。本当になったらめんどくさいからさっさとここから離れとこ。
その数日後、言葉を話し、かなり高圧的でウザイカースサイスリッチが出現するようになったのだが、その話はいずれしようと思う。
そんな訳で場所を変えてアクシア草原まで戻ってきた俺。ここでようやくもう一つ手に入った? 受け取ったというべきなんだろうか? そっちにも触れることにした。
噂には聞いてたけどレベル70に到達したらいろんなボーナスが得られるらしい。まさに今そのタイミングだったようだ。どの選択も非常に魅力的だがこれ一択だろ。
ウィンドウを操作して迷わずに6を選択、確認も承認して先へと進む。さぁて、一体何がもらえるのかねぇ。
――――◇――――
条件確認中・・・
1:皇族の救出:確認
2:英雄的行動:確認
3:レイドボス討伐数:確認
4:UtSの所持:確認
5:NPCからの支持一定以上:確認
条件制覇:確認
限定特殊ワールドクエスト『皇帝からの招待』が発生します。
――――◇――――
「・・・・・・よし、いつもどおりだ」
ワールドクエストだとは思わなかったけどどうせ何かしらの事が起きるとは思っていたしうん。うん。うん。
皇族かぁ・・・誰か助けたっけ? ゴブリンイベントで誰か助けてたのか? でも記憶がないし。うーん・・・わからん。とりあえずアナウンスを待とう。
――――◇――――
「陛下、失礼します」
「入れ」
「陛下、第二皇女を危機から救った者ですが、ようやくわかりました」
「聞こう」
「名をアール。時代人です。剣聖アアリー、同じく剣聖マリアーデの話を信じるならば伝説の五代目剣聖その人です。陛下ならばこれ以上の言葉は不要でしょう?」
「そうか・・・そうか・・・っ!!」
「陛下、ここには我らしかいませんが興奮を隠す努力はしていただきたい」
「うるさいわい! 幼き頃から憧れていた英雄が我が娘を救ってくれたのだぞ!? これを興奮するなとは無理があるわい!!」
「陛下・・・頼みますから他の者にそんな子供のようなお姿を見せないでください」
「全く、お主と儂の仲ではないか。少しくらい見逃さんか」
「このジジイいい加減年を考えろよ」
「老いぼれにジジイと言われても何とも思わんわい」
「まぁ良いです。いかがいたしますか・・・と、聞くまでもないでしょう。既に伝令を走らせました。数日中には届くでしょう」
「そうか。他に報告はあるか?」
「相変わらず鋭い。ラグズライドで不穏な動きがあります。恐らく標的はゼアリード。邪魔建てすれば我が帝国にも矛先を向けるのは間違いないでしょう」
「この250年に渡る平穏を崩すのか、あの国は」
「人間種こそ至高とする国です。他種族国家は愚か、モンスターの国を許容するのはこれ以上無理であるという表れでしょう。悲しいものですな」
「ゼアリードとラグズライドへ使者を出せ。せめて我が国が間に入り不可侵条約を結ばせる」
「陛下」
「わかっておる。しかし理由なく侵攻してしまえばかの国に大義名分を与え、我が国の民に不信感を与えてしまう。ならばせめて我が国が出兵する大義名分をつくる必要がある。条約が結べるならばそれで良い。出来なければせめて未来が明るい選択をするまでじゃ」
「老いて尚貴方は変わりませんな。良い意味でも悪い意味でも」
「当然じゃ。理想を大声で叫び続けた男だぞ儂は。何があろうとも変わらん」
「そういうと思ってアアリー殿、マリアーデ殿にも伝書を出しておきました」
「おいお主。儂がそう言わんかったらどうするつもりじゃったんだ?」
「言わない訳がないでしょう?」
「カッ、嫌味なやつじゃのう」
ついに動き出す国々の王たち




