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233:『四腕巨人ゲルゲナート』最終戦 Ⅲ

『ゲルゲナート』戦の邪魔しかしなさそうな愚か者を先に処理してしまうことにした。ギンは果たしてどこまで戦えるのでしょうか?



向こうもなんか『ゲルゲナート』に変化が見える。腕が真っ黒に染まり始めた。最終形態ってやつだろうか。実は俺も『ゲルゲナート』に関してそこまで詳しくはないんだよな。



書物も途切れ途切れであんまり役にたたなかったし。そもそもあの時はカイラを助けるための情報を集めてたからほぼ流し読みだったし。うんこれ完全に言い訳だな。やめよ。



「来るがよい小僧。師匠の指示じゃから殺しはせん」



「お前はどうでもいいんだよ!! そっちの男!!僕と戦え!!!」



「妾に勝てんようなら師匠になど勝てる訳無かろう。戦う資格があるか試してやるから来いと言っておるのじゃ」



「なんだよ! 狐型の亜人程度に僕が負けるわけないじゃないか!!」



「ギン。殺すなよ? 言ったからな?」



正直俺が一番今の一言はムカついた自信がある。俺の弟子”程度”だと? このクソガキ。今の発言は完全に俺を敵に回す一言だぜ?



「大丈夫じゃよ師匠。だんだんただの餓鬼にしか見えなくなってきたのじゃ。怒る方が大人げないのじゃ」



ギンはというと割と落ち着いていた。今の俺よりも落ち着いてる。ダメだな。ちょっと恥ずかしい所見せちまった。深呼吸っと・・・・よし落ち着いた。



「ならギン。お前の実力見せつけて完膚なきまでに仕留めろ」



「うむ!」



それでこのイライラを収めよう。ギンなら行けるだろうし不安もない。呼吸も落ち着いてるしこの様子だと『桜奏呼吸』も充分使えるだろう。



「来るがよい。先手は譲ってやるのじゃ」



「馬鹿にしてぇ!! 僕は油断も手加減もしない!! 死んでも後悔するなよ!!」



その場合は俺が先にお前を殺すから心配する必要はねぇよ。アーノイマンは両手に持った双剣を大ぶりの構えで構えながら突っ込んできた。隙だらけ過ぎて何も言えねぇ。



『白月』か『ゾディア』あたりは常に使える状態で突っ込んでこいよ。いきなり『恋爪レオ』とか勘の悪い奴じゃなきゃ余裕で初見でも避けられるわ。



それに大振りすぎて使ったとしても攻撃範囲が見え見えすぎるから、今のギンの位置なら半歩ずらすだけで回避はできる。むしろ回避する必要があるのは俺らだな。完全に攻撃範囲に入ってるし。



「師匠。そのままでいいのじゃ。後ろには何も通さんのじゃ」



「わかった。信じるぞギン」



弟子のことを信じるのも師匠の役目だからな。ギンことを信じて俺はその場から動かない。完全に無防備だ。というか絶賛回復中だし、一撃受ければ絶対に死ぬ。



「月光流奥義『恋爪レオ』!!」



「月光真流一ノ型『白月』」



振り下ろされた双剣は、地面に到達する前に、ギンの刃によって完全に止められ、衝撃は吸収された。やったことはごく単純。爪が形成される前に双剣を刃で受けて衝撃を全て消し去ったのだ。



「んなっ!!?」



「ほう・・・言うだけはあるのぅ。威力は凄まじいの。並大抵の連中じゃと防げずに潰れるのがオチじゃな」



「そ・・・そのはずなのになんで防げるんだよ!!?」



「簡単じゃ。”師匠の方が強い”からの。小僧”程度”は防げんと妾が笑いものにされるのじゃ」



ギンは片手を太刀から離し、アーノイマンの胸元に添えるように置いた。



「へっ?」



「月光真流奥義『水無月写鏡』」



「ガァッ!!?」



有言実行とはこのことだ。たった一撃で完膚なきまでに、ギンはアーノイマンを打ち砕いた。添えた手から衝撃を一気に解放し叩きつけた。



身につけていた鎧は砕け、持っていた双剣はギンの目の前に落下し、本人は地面に擦りつけられるように転がり、やがて止まった。



「『水無月写鏡』の衝撃が後ろに行き過ぎです。やるなら『夢傷月』で体内から爆発させるべきでした」



「コヨミよ。そうすると殺してしまうのじゃ。わざとじゃよ。それにこの汚らわしい小僧の血など見たくもないのじゃ」



「血云々はさておき、コヨミの言ったように衝撃が後ろに飛びすぎなのは確かだな。もう少し全身に分散させてやれば吹き飛ばさずにそのまま地面に落せたぞ?」



「なかなか厳しいのじゃ・・・」



だがその威力は充分だったのか、小僧は泡を吹いて地面に倒れていた。呼吸はしているようだから生きてはいる。なら問題ないか。



「とりあえずそいつは縛り上げておいて俺らも向こうに合流しよう。俺は警戒するだけだけど」



「当然じゃ。万が一の時は妾たちが師匠を守るのじゃ」



ギンの妖術で縛り上げて、一応二次被害で死なないように使い捨ての蘇生アクセサリーを首にかけておく。これでなんとかなるだろ。さてと、改めてボス戦参加しようか。





――――◇――――





参戦するとは言ったが、実際のところは観戦である。手出しすると特殊勝利条件達成されないし。俺も一ゲーマーだからわかる。目の前にわかりやすい達成条件ぶら下がっていると、何が何でもクリアしたくなるのがゲーマーの性ってやつだ。



俺が与えた累積ダメージは39%らしいから残り61%だ。そこから今の『ゲルゲナート』の行動から予想して恐らくゲルゲナートの残りHP20%前後ってところだろう。



ぶっちゃけ俺が手を抜いてほどほどに攻撃叩き込めばまぁ条件クリアできるだろうが、今後のことを考えてここは手出ししないでいこう。



にしてもチーザーの従者みたいなあの龍カッケェなマジで。ネーミングはちょっと幼稚と言うか可愛らしいけど。全身鎧で武器持ってるとかもうロマン以外の何者でもないじゃん。いいなぁ。従者にした方法今度教えてくれねぇかな。



『ナンダ。ワタシタチダデハ不満カ?』



『LaLa〜?』



「妾らのような美女に囲まれてまだ望むとは強欲じゃのう」



「・・・・・・」



「ナチュラルに心を読むんじゃないよ」



と言うか無言のまま刀で背中ツンツンするのやめてくれないかなコヨミさん。痛くはないけどなんか怖い。



『ヨヨヨー』



声に出てたって? マジか気を付けよう。



『オオオォオオオォオオオ!!!!!!!!』



「んだよ・・・またこっち来たし」



結構距離があるのに他の奴等無視してこっちに向かってきやがった。図帯でかいヤンデレストーカーかよ。野郎にストーカーされるのは流石に嫌なんだけど。



「師匠。妾たちが殺る。手出しは無用じゃ」



「一応逃げておいてください。大丈夫だとは思いますけど」



そう言って二人はそれぞれ鞘に収まっている刀に手をかけて抜刀の構えを取った。俺は逃げることはせず、数歩だけ後ろに下がり二人の邪魔にならない位置に陣取った。



そして『ゲルゲナート』との距離が5mを切った直後、二人の剣士がその刃を開放した。



「「剣聖流派十二宮抜刀術『爪翼恋月そうよくれんげつ』」」



『オオオォオオオォオ!!?!??!!!』



爪翼恋月。『初月雀』と『恋爪レオ』の合わせ技だ。衝撃の爪を抜刀により形成し、抉り裂く防御不能の抜刀術。爪の範囲は約5m。まさに今の距離だった。以前から二人には教えていたがここまで仕上がっていたとはな。



腹と太腿を切り裂かれた『ゲルゲナート』は地面に膝をついた瞬間、襲いかかる衝撃で後方へと押し返される。3m前後ってかんじか。理想として10mくらいは吹っ飛ばして欲しいかな。



衝撃の形成もあるから抜刀がどうしても速度が落ちる。それでも速いんだが、速度と重さ、衝撃がさらに乗ることで絶大な破壊力を生む。まだまだ上を見れば先は見えない。でも現段階でここまで出来ているなら十分ではあるか。



「オラオラオラ!!! てめぇの相手はこっちだボケナスガァ!!!」



『GYAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!』



膝をついた『ゲルゲナート』の後頭部をアイアンクローで鷲掴みにした一番大きな龍が、そのまま掴んだ手に力を加えていくのが分かる。いやぁな音をゴリュゴリュと鳴らして『ゲルゲナート』を立ち上がらせていく。



そしてチーザーの「殺れ!!」の言葉に呼応するようにアイアンクローのまま持ち上げて先程までいた場所にぶん投げた。あの巨体をぶん投げるのかよ。かっこよすぎでしょドラゴン。



「エールくん!! 合わせてくれるかいっ!!!」



「答えますニコニーコ!!!」



「バスターソウルスマッシャァァーーー!!!!!」



「ハァァァァァ!!!!!」



放物線を描きながら飛んでいく『ゲルゲナート』の無防備になった腹の上まで跳んでいたのはニコニーコとエールだった。二人は拳とハンマーを大きく構えるとお互い叫びながら真下に向けて己の一撃を叩き込んだ。



くの字に曲がり重力と力に従って『ゲルゲナート』は地面に墜ちていく。今の一撃はかなりでかいだろうな。あの真下に行って『白月』で受け止めたら一気に『天月海放』ぶっぱなせる衝撃十分に回収できそうだな。



「シロマサ!!! 思いっきり受けなさい!!!」



「やっと出番らしい出番だぜ!!!」



リークが叫ぶ。『ゲルゲナート』の落下位置に陣取っていたのはシロマサ一人だった。まさかとは思うが一人で受けるのか?



「俺が目指した究極の防衛形態!! とくとご覧あれ!!!開放!!『水月の盾』!!!」



キーワードと共に、シロマサが持っていた盾が青く輝き、『ゲルゲナート』へと向けた縦の前に巨大な青い盾が現れた。光の盾とでもいうのだろうか。力強き強い盾。盾は墜ちてくる『ゲルゲナート』の巨体にぶつかると、激突音をさせてその巨体を受け止めた。



たった一人で今の重量と勢いを全て受け止めやがった。だけどそれ以上に驚いたのは今の動きは間違いなく『白月』に類似している。そしてあの盾の名称。水月と言っていた。ならもしかして。



「っっ!! ニィ!! 受けた分はそのまんま返しだぜ!!!!『鏡月の盾』!!!」



次の瞬間。『ゲルゲナート』の巨体に衝撃が駆け巡り、体内からずたずたにしていった。下にいたシロマサはライトニングによって救出され、僅かに浮かび上がった『ゲルゲナート』は今度こそ地面に叩きつけられた。



まさか『白月』と『水無月写鏡』が使える盾持ちのスキルか。これはまた面白いものを実装してくれたじゃないか。


まさかの瞬殺。まぁアールの愛弟子なわけだからそりゃ強いですよ・・・。

そしてここまで守りで出番がなかった真化ジョブ持ちシロマサ。大活躍。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] アーノイマンが瞬殺なのはわかってましたが、こんなのに月光流を教えたのは誰なんでしょう? 自力習得なら自己申告通り天才ですが…… [一言] >そしてここまで守りで出番がなかった真化ジョブ…
[一言] 細かいかと思いますが、残りの体力のところ39%与えたから61%が残りだと思いますよ。69%になっています。
[一言] なんとか君弟子入りしそうだな
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