230:究極の一撃 極星十二宮奥義炸裂
おかえり主人公。
注意。ちょっと汚い描写がありますのでご容赦ください。
「掴んだ!!! ニコニーコ!! 私たちごと引っ張り上げて!!」
「ヌォォオオオオオ!!!!!!! 任せろォォォ!!!!! ドゥワァァ!!!!」
全身で感じる肉の裂ける感触を味わいながら、真っ暗だった俺の視界は、光る太陽の下に戻ってきた。
宙を舞う俺をがっしりとキャッチして、誰かが地面に降りてくれた。まだ目がチカチカするから誰なのかわからねぇけど、まだ自分じゃ着地できなかったから助かった。戻ってきた瞬間に地面に激突して瀕死にはなりたくねぇからな。
「すまない・・・たすかっt・・・・げぇ」
「おっま最初の一言ひどくね? げぇってお前」
「目覚め最初に見たのがゴリラだったら驚くだろうが・・・しかもお姫様抱っことか・・・吐きそう。せめてニコニーコの方が良かったよ・・・」
「だよね。私も同じ感想出ると思うもん」
「最低だよコイツら!!」
まさかマー坊にお姫様抱っこされる日が来るとは思わなかった。せめて女性にお姫様抱っこされる恥のほうがまだ良かったぜ。その場合その女性がリークとレイレイにブチ殺されそうだけど。
伸ばしていた手を握ってくれたのはきっとリークとマー坊だった。多分聞こえた声的にはそうだと思う。こうして顔を見たのは目が慣れてきた今だから何とも言えないけど。
「でも本当に良かった・・・よかったよぉ・・・!!!」
「泣かないでくれよ・・・悪かったよ」
「謝んないでよぉ!!! うぅぅ・・!!!」
リークが手を強く握って泣いてしまった。泣かれるとやっぱり嫌だな。マー坊に目をやると、察してくれたのか降ろしてくれたので、リークの頭を抱くようにして胸元に顔を押し付けた。
「心臓の音聞こえるか?」
「・・・うん」
「助かった。ありがとう」
「うん・・・!!」
「オラァお前ら!! イチャイチャしてねぇでこっち手伝えやぁ!!! アールの野郎出したら暴れ始めてヤベェんだよ!!!」
見上げればって・・・なにそれ龍じゃん!!? しかもめちゃくちゃカッチョイイ鎧に武器まで持ってやがる!!? なんだよその男のロマンを全部積み込んだようなドラゴン!!
「なぁチーザー!!? それお前の仲間!!?」
「この状況で少年みたいなキラキラした目をするんじゃねぇ!!! もう一回あの野郎の中に突っ込んでやろうか・・っぶねぇっ!!?」
『オオオォオオ!!!! オオオォオオオオオ!!!!!!』
いかんいかん。確かにチーザーの言う通りだ。助けてもらっただけでまだ勝ってないんだよな。随分迷惑かけたみたいだし俺も戦線に参加しないと・・・その前に。
「リークもマー坊も少し離れてくれるか? これから汚ねぇ事するから」
「「???」」
少し離れてもらったのを確認して呼吸を整える。まさかゲームの中でこんなことをする羽目になるとはな。まぁ死なせるよりよっぽどいいけども。でもこの感覚って慣れないよな。
「いいかディア、1,2,3で出てこいよ?」
(ヨヨ!!)
よーし覚悟決めろ。胃液がもどる感覚に覚悟を決めて気合を入れる。本当はすごく嫌なんだけどなぁこの感覚。
「1・・・・2・・・・・・さnロロロロロォォ!!!」
「汚ねッ!!!」
「キャッ!!?」
「ゲホゲホッ!! オエッ・・オロロロロ・・・・!!」
そうですよ。何処ぞのゲロインよろしくリバース大噴射ですよ。体の中にというか、俺の胃の中にディアを避難させたから口からこうして出してやらないと。
俺の体をぶち破って出てきてもらうことも出来るんだけど、それだと間違いなく即死だし。気持ち悪い・・・前に飲みすぎて吐いた時以上に気持ちわりぃ・・・
『ヨヨヨ!!(特別翻訳:くちゃいけど戻ってきた!!)』
「うぅっぷ・・・リーク悪い・・・洗い流してくれない? 俺共々」
「吐くなら吐くって言ってよもう!! 『セイントバブル』『クリアスプラッシュ』『サンクチュアリフィールド』・・・あとこれ使って。フル回復のポーションとにおい消し」
「さんきゅー・・・」
吐瀉物は流石にモザイク処理された状態で出てきたけど臭いは強烈だった。めちゃくちゃ酸っぱい。もらったポーションを飲み込んでにおい消しで臭いも消す。使ってくれた魔術で地面の吐瀉物も綺麗さっぱり消えた。
色々ついてたディアも綺麗になり、マー坊によりにおい消しで全身を拭いてもらっていた。
『ヨヨップ!!』
『モドレタ』
『LLa〜』
そんでもってディアの中にしまってもらっていた『艶姫刀:クヴァレイドル』と『天籟刀:ズイカク』も回収。ディアに持っていてもらったものは臭いはしない。流石ディア。
「一応拭いとくね。貴女たちも女なんだし気になるでしょ?」
『ヨキニハカラエ〜』
『La〜』
「汚いなぁバカ師匠。なんで吐くのさバーカ」
そう言って刀を拭いてるリークといつの間にかやってきたルーク。イドルもクレイもやっぱり刀ではあるが性別上は女だし、その辺りは気になるのかな。戦いが済んだら綺麗に磨いてやるか。
『オオオォオオォオ!!!! オオォオオォォオ!!!!!』
「ヤベッ!!?」
チーザーの叫びに答えるように再度見上げれば巨大な口を開けて迫る『ゲルゲナート』がそこにいた。他のプレイヤーも攻撃を絶え間なく続けてくれているが一向に怯まない。
「アールごめんね!! ゴリラ!!」
「恨んでいいぜアール!!」
「ん?何ギャ!!?」
気が付くとマー坊に思いっきり吹っ飛ばされていた。咄嗟にダメージ受けないくらいの勢いは白月で受け止めたけど、それを差し引いても吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばした張本人たちは満足げに笑みを浮かべたあと、巨大な口を開けて迫るゲルゲナートに視線を合わせた。
「あーあ、まさかここで落ちるのは気分わりぃな。しかもアールだけしか飛ばせなかった。すまなお二人さん」
「まぁ仕方ないでしょ。二度もアール食べさせるわけにはいかないし。あとは任せるわよメス猫」
「バカ姐。師匠のこと助けてあげてよね!!」
どうやっても反撃は間に合わない。3人はそのままやられるのを覚悟して俺を突き飛ばして助けたようだ。ここで殺られることになんの躊躇いもなく。その覚悟は素晴らしいものだろう。けどな。
「俺の目の前でお前らを殺させると思ってんのか馬鹿共『風瓶エリシオン』」
「「「へっ・・・っ!!?」」」
引っ張り出してもらって、地面に着地して、そんでもって今の突き飛ばし。一撃叩き込むくらいの衝撃吸収はしてんだよ。突き飛ばされた体勢から多少の無理を覚悟で『風瓶エリシオン』にて3人の前に着地。
後ろから聞こえる3人の驚愕の声を無視して両腕を背中に反らせるように溜める。
「俺は目の前で誰かが殺されんの見るの嫌いなんだよ。せめて死ぬなら俺が納得せざるを得ない状況でだけ死ね。それ以外で死ぬことは絶対にさせねぇよ」
『オオオォオオォオオオ!!!!』
迫るゲルゲナートの巨体。正確に言えば捕食するために開けられた口だ。一度油断・・・した訳じゃないが隙を突かれて食われた相手。恨みとかはもちろんある。だからこの一撃でおあいこだ。
文字通り全身全霊、命を懸けたこの一撃。耐えられるなら耐えてみな!
「月光滅流極星十二宮奥義『愛爪レオ』!」
極星十二宮奥義は単純に言えばフィードバックを考えない全身全霊を駆けた十二宮奥義の究極形態だ。もしくはリミッター解除版である。
一撃一撃が地形を変える破壊力を秘めており、『十六夜天雷』未使用でも『天雷○○系』より破壊力を秘めている。
諸刃の剣であるため、ここぞというとき位しか使わない。もしくはディアとの融合状態で尚且つ、全身の傷や疲労を瞬時に回復できるアイテムがあるときだな。
それ以外だと俺が死ぬ。死ぬかも知れないではなく死ぬ。ショック死とか出血多量とか、呼吸困難とか色々合わさって死ぬ。最高生存時間は最後の決戦での『アフターストーリー:ラスボス戦』11秒だった。
そのあと第四形態あったから負けたけどなド畜生メ!!
『オオォオォオォォx!?!?!?!??!!!!!?????????』
俺の体を生贄に繰り出した三本の爪が『ゲルゲナート』の顔を縦に引き裂く。それだけでは収まらず、爪は勢いを落とさずにそのまま体を地面もろとも引き裂いていく。
『ゲルゲナート』が縦に四等分に引き裂かれた瞬間、爪に宿っていた衝撃の塊が、その肉体をズタズタにしながら大きく後ろに吹き飛ばす。軽く40mは飛んでいっただろうか。
「あっがぁぁぁ・・・っ!!!!!」
その力の代償は俺の体にも帰ってくる。両腕から血がはじけ飛ぶように流れ出す。さらに太腿が断裂を起こし、アキレス腱もきっと切れている。
視界が赤く染まりながら、全身が冷たくなっていくのを感じながら、意識が遠退く。呼吸も苦しい。から肋骨も逝ったなこれ。うんこれ11秒もたねぇな。死ぬ。
「アール!!!!」
『ヨヨヨ!!!』
即座にディアが俺の首筋から融合し、痛覚を遮断。さらに傷口を覆うようにして流れる血を吸っていく。吸った血を首筋から俺に戻してくれているのが感覚でわかる。流石相棒だ。おかげで九死に一生を得た。
さらに仲間達からの凄まじい勢いでの回復と治療を浴びるように受けていく。まだ、ダルさは残ってるけど、これで瀕死することはなくなったな。
ぶっ飛ばしたゲルゲナートを見れば、ゆっくりと再生してる。一撃で殺すつもりでいったんだがな。随分とまぁしぶとい奴だ。
装備の再確認と自分の状態の把握。状態は最悪だが、皆のおかげで死んではいない。装備も多少傷が出来ているがこれくらいなら自分でも応急処置はできる。というか予備の自作装備に換装すれば実質使い捨てで行ける。
あとでプラレアの所に行って修理頼むか。
「バカバカバカ!!!! アールのバカァァ!!!」
「何してんのよ!!! 何してんのよぉ!!!!」
「こんのボケ!!! たまにはおとなしく助けられとけやバカ野郎!!!」
「バカ師匠のバカ!!! アホ!! ボケ!!! あんぽんたん!!! うわぁぁん!!!」
「バカ師匠なのじゃ!! 本当に馬鹿なのじゃ!!!」
「もう・・・どうして貴方は!!!!」
リークたちが俺を囲むように膝をつくと全身にアイテムやら回復魔法やらで回復し続けてくれてる。全員グズっていて涙声だ。
「マジで病み上がりの極星十二宮は死ぬ・・・痛覚消してくれたはずなのにまだ痛い」
「なら使うんじゃねぇよバカ野郎!! ホンットにこいつはほんっとうに!!!」
「なんだよゴリラ。泣いてんのか?」
「うっせぇバーカ!! こちとらゲームだろうと現実だろうとお前が傷付く姿をもう見たくねぇんだよ!!!」
「んな小っ恥ずかしいセリフよく出てくんな。後で恥ずかしくて悶えんなよ?」
「「「「「「『『お前が言うなっバカっ!!!』』」」」」」」
おっおう。いつの間にかジェクスとギルファーまでやってきてるし。俺はもうそっちにメンタル振り切ってるからむしろRPなのでノーダメだ。
しっかし・・・いくら仕返しでの一撃とは言え『極星十二宮奥義』を耐えられるとは思わなかったな。本気で殺しに行くつもりだったのに。衝撃不足だったんだろうか? もしくは運営が俺の攻撃を一部無力化する設定でもつけてたのか?
それなら納得ではある。運営からも手加減希望されていたし、万が一に備えての処置があるのかもしれない。
ゲロを吐くほど体調悪いのに、身体ぶっ壊す奥義使ってる巨人ぶち殺そうとした主人公がいるらしいですよ皆さん。
ちなみに極星十二宮に関しては、月光流のページにて更新しております。
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