181:周囲の確認はしっかりと
確認は大事
戻るのは簡単である。先ほど作ったように帰還アイテムの登録先をクランホームに設定するだけだ。という訳でこのルートは取り敢えずセーブということにして、別ルートの開拓と行こう。
「到着っと」
「マジで使ってると便利すぎてやめらんねぇわ」
行きも帰りも自由自在、しかも繰り返し使用可能で修理可能。街間移動には『帰還タグ』から製作できる『帰還タグ』ならぬ『転移タグ』ってか?
今のところ『星の錬金術師』でしか製作が出来ないため市場は独占状態である。悪用されるとめんどくさいので販売はしてないけどな。
今まではフィールドを一気に駆け抜けるか、それなりに高額の帰還タグを使って戻るしかなかったので本当にこのアイテム便利だわ。
ちなみに素材さえあればダンジョンへ直接転移出来るアイテムも製作可能である。やっぱりこのジョブチートだな。まぁその分獲得条件えげつないしそれだけの対価は取れているだろう。
ホームの一室に作った帰還部屋から出ればすぐに店先へと繋がっている。そうして店先には既に準備万端なようで、そわそわしていたルークがそこにはいた。
「待たせたな」
「待ってない!!」
ルークと今日は以前圧殺しまくった海岸のボスであるクラゲ道場の主こと『ローザクヴァレ』である。ぶっちゃけて言えば今のルークならソロでも苦戦しないとは思うんだが、そこは譲らなかったのだ。
『師匠と一緒にクリアするって決めたからいない時はいかない!!!』とまぁ可愛らしい感じにデレてきたのでマジで弟が出来たように甘やかしてしまいホイホイと一緒にクリアする約束をしてしまったわけだ。
最近ルークは甘え上手というか、自分に素直になってきたからスゲェ可愛いんだよ。道場のガキんちょとは違う感じのタイプなので俺も構ってしまうのが悪いんだけど。
「そういえばリーク達もいるんだろ?どこいった?」
「リーク姉ちゃん達ならさっきゴリラを殴りながら裏手に行ったよ?」
「あ・・・そう・・・」
耳をすませば何やら男の悲鳴が聞こえる。あいつら束縛強いからなぁ。男同士だとしても勝手に先に進んだのが許せなかったんだろう。そうなれば原因は俺にあると思うんだけど、どうやらリーク達の中ではマー坊が主犯なんだろう。
ぶっちゃけると”ザマァ”だな。俺にボス押し付けたから罰が当たったんだ。反省しろ。すごく反省しろ。猛省しておけ。
「そういえば師匠?背中の弓どうしたの?」
「あぁこれか? 実は興が乗ってな? ちょい試してたんだ」
うちのメンバー物理で遠距離ジョブいないし。実際に使ってみて思ったが、今のままでは使い勝手は悪いが、スキルを取ればそれなりには使えそうだ。それか普通に使えるように練習するかだな。
相手によっては魔法無効のモンスターはいるだろうし、そうなった場合やっぱり物理的な遠距離攻撃を使えるのはアドバンテージがある訳だし。
というのは建前で、ずっと前に出て戦っていたから星読み人然り、後方ジョブが結構楽しいんだよ。新鮮だし、弓なら俺のジョブとはかなり相性もいいから矢には困らない。
一応ボウガンやクロスボウっていう選択肢もあるんだが、せっかくファンタジーだし弓で行きたい。もちろん全力の時は剣刀一択だけど。
「・・・・・・」
そんな俺の背中の弓矢を見て、露骨にしょんぼりしているルーク。いや、何を考えているか想像がつくけど一応聞いておこう。
「どした?」
「・・・師匠が弓だと一緒に戦えないから使わないで欲しい・・・・・・」
此奴・・・子供が出来るダダをこねるではなく、拗ねるとも、止めて欲しいとも、取れるような表情と声出しやがってからに・・・女は生まれてすぐ役者であるとは聞くけど、子供も役者なんだろうか? ヤメロ、その表情は俺に効く。
「前にも言ったがお前最近素直すぎない? 恥ずかしくないの?」
ここでカウンター。これでいつもの調子を出させて現状を打破すべく俺の会心の一撃だ。
「だって素直でいないとまた師匠があんなふうに吊るし上げられたら嫌だもん」
「ガフッ」
クロスカウンター・・・だと・・・!!? しかも若干恥ずかしそうにしながらも本心をぶちまけている感じが俺の良心を抉りに来ているッ
「わ・・・わかった・・・お前と一緒の時は剣使う。これでいいか?」
「バカ師匠? 僕が言うのもあれだけど、身内に甘いの直したほうがいいと思うよ? でもありがとうアール師匠」
「なんだろう・・・お前からマジで演技と本気混ぜてるリークの全力を感じたんだが?」
アイツ本気になるとそれが演技なのか本心なのか読めないからマジで恐ろしいんだよ。結果俺が折れることが多いわけだし。演技だって分かるときはすぐにわかるんだけどなぁ。
「知らないの? 子供だって役者なんだよ?」
「何『女は生まれた時から役者』みたいなこと言ってんだよ?」
「ムフフ! 今まで言いように弄られてきたから僕なりの仕返しィィィいいいい!?!?!?!?!?」
「ねぇルーク? 私のアールに対していい度胸だね? 一回逝っとく? 調子乗ってる餓鬼の躾も年上の大事な仕事なんだよ? 取り敢えずどうやって躾されたい?」
「安心しなよ? 苦しまないように苦しめてあげるから。まぁそのあとはどうなるか保証できないけどそれも覚悟でアールのこと弄ってたんでしょ?」
「実は最近面白い妖術を覚えてのぉ? 小僧くらいの案山子が欲しいと思っておったのじゃ。ちょうど良いなぁ?」
「ぴぃぃいいいいいいい!??!?!?!?!?!?!?!?!」
タイミング良く? 悪く? 離れていた女性陣が魂が抜けているゴリラの体を引きずり投げ捨てて、その後標的をルークに変更したようで、恐ろしい殺意を向けて捕まえていた。後頭部を鷲掴みにして瞳孔が開いている状態のリークがルーク相手に本気である。
「ごめんなさいごめんなさいごめんあさいごめんなしゃいごめんあさい!!!!」
恐怖とか恐れとか諸々込でまともに口が回っていないルークが全力で謝っている。あれは演技とかじゃない本気の謝罪なのはよくわかる。でも女性陣はどうも許す気はないようで、ズルズルと奥の方にルークを引き摺り込んでいく。
これ以上放置するとルークが以前のようにマジ泣きしそうなので助けてやろうか。
「おいお前ら」
「なぁにアール?言っとくけどアールのいうことでも今回は流石に」
「ちょい黙ってろ」
「ぅひゃぃっ!?」
「っ!!? レイレいふぉゃぴぃっ!?」
「ちょっ!!? アール何してんのふおぉにゃぁぁ!?」
デコだから浮気じゃない。つまりノーカン。レイレイ、ギン、最後にリークの順番でデコキス。その時に頭にそっと手を持っていき撫でるようにする。これが唯のお気に入りである。他二人にも反応的には有効だろう。
「「「フシュゥゥゥ〜・・・・・!!!!」」」
頭から湯気が出るくらい真っ赤にした三人が床に崩れ落ちるようにへなへなと座り込んだ。効果は抜群だ。コイツラ自分たちも不意打ちするくせにされる側になると弱いんだよな。
「餓鬼のヤンチャにいちいち嫉妬すんな。いいな?」
「「「ひゃ・・・ひゃぁぁいぃ・・・・」」」
「ルークもだ。あんまり年上をからかいすぎるとこんなふうにしっぺ返しを受けることもあるからほどほどにな?」
「・・・ふぇぇぇん・・・ごめんなさいぃぃ・・・」
流石に懲りたみたいでじんわり涙を流しながらポスンと俺の腹に抱きついてホロホロと涙を流していた。全く。俺が言うのもなんだけど困った奴らだ。
しかしこうなると直ぐには動けねぇか。しゃーない。少ししてからボス戦に向かうとしよう。それまでは店の片付けでもしておこ・・・・・
「「「「・・・・・」」」」
「随分とまぁ楽しそうですねアールくん?」
買い物に来ていた錬金術師仲間のエロロ率いる(?)クラン『ラッキーストライク』のアルメリアとアレク、それと神楽坂、そしてエロロが顔を赤くしつつもばっちりこちらを見ている。しかもエロロに関しては何か録画のようなものをしている素振りだ。
そしていつの間に戻ってきたのか、先程までいなかったコヨミが笑顔だけど笑顔じゃない笑顔でニコニコと俺のことをばっちり見ていた。
「待て。言い訳をさせて欲s「ダメです。少なくとも私にも同じことをしてくれないなら今エロロさんにしてもらっている物をばら撒いてもらいますので」・・・待って!!?」
「はわわ・・・・アールさん結構大胆ですぅ・・・」
「あ・・・あうぅぅ・・・・何かその・・・男らしい一面ですねぇ・・・・・」
「も・・・モテる男の秘訣・・・ってやつですよねこれ・・・・すっげぇ・・・」
「男からのデコキス・・・やっべこれ男だけど女子が憧れるのわかるわぁ・・・すげぇエロい」
今日の教訓。店内での行動にはもう少し気を付けよう。
このあとコヨミにデコキス&頬にキスで許してもらい。その光景までばっちり見られた挙句、アレクからは色々とモテる秘訣を聞かれたり、神楽坂からは感想を聞かれた挙句、アルメリアとエロロは腰が抜けた女性陣の話を聞いて顔を赤くしていた。
こんちくしょう!!! 俺が一番ダメージデカいんだがっ!!?
アール自爆。ベットヤクザ説再点火。




