178:巨人軍団掃討のお礼もとい説明
ファンタジーど定番の種族登場
旧ガストレード街道には二つの街に繋がっている道がある。一つは名前にもなっているガストレード。これは旧街道を抜けた先にある渓谷を進んでいくと見えてくるそうだ。
渓谷の中にある街で採掘と共に街が成り立っているため、鉱物加工の技術が高く、鍛冶師系のジョブを持つ人にとっては聖地とも言えるらしい。ここでジョブレベルを上げるのが鍛冶師として名を上げる近道ということだ。俺たちの当初の目的地はこちらだった。
そしてもう一つの町がある。この旧ガストレード街道を森の深い方向へと進んでいくと見えてくるのが、一般的には亜人種と呼ばれているエルフ、作品しだいでは森人族とも呼ばれる彼らが住む街、ミスリアだ。
街というよりは町、もしくは集落という方がしっくりくるのだが、彼らが街と言うのだから街でいいだろう。
「さぁアールさんにマー坊さん!!ここがミスリアだよ!!☆彡」
なんでも俺たち二人で勝負に使っていた蛇頭の巨人集団は仁義組が受けた依頼で登場したモンスターらしく、俺たちがその進行方向に丁度いてしまい戦闘になったという。
どちらかというと喜々として向かっていった気がするんだけど本人たちがそう言うなら、そういうことにしておこう。そんな訳で依頼を手伝った形になったので一緒に来て欲しいということだった。
最初は遠慮したのだがエルフの飯が美味いとの話を聞いたのと、ご馳走してくれるとの事でこうしてご馳走になりに来たのだ。俺は食い物に弱いんだよ。
街は巨大な木の上に作られたコテージのような住居を橋で結んだ森の街という感じだ。イメージはホ○エンに登場する六個目のジムのリーダーがいる街というのがわかりやすい。
なんというかいるだけで癒されるとはこのことだろう。なんか落ち着く。そしてたくさんいるファンタジーの代名詞でもある亜種族エルフの皆様。
肉を食べないとか、火を嫌うとか色々あるけど、プラクロ世界のエルフはそんなことはないようで。露店にて、普通に森で狩ったモンスターの肉らしきものを売っているし、鍛冶職人の格好をしたエルフも普通にいた。
見た目が少し違うだけで普通に人間と同じみたいだ。まぁ俺は魔人族とか妖精族とか結構身近にいるから珍しい光景ではないんだけども。一応エルフに関しても見たことあるし。
街に入ると憲兵らしき格好をしたエルフが数人やってきた。その後、ミラファ達が捕まえた盗賊団を引き渡すと、彼らは盗賊団をしょっ引いて街の中へと消えていく。
「さて、あとは依頼完了の報告なんですけど・・・アールさん達少しだけ待っていてもらえますか?」
「いや、そういうことなら俺等も一緒に行くぞ?」
実際に巨人を倒したのは俺とマー坊だし、モンスターを操っていたというのは気になるしな。形はどうあれ首を突っ込んだんだ。最後まで付き合うのが礼儀だろう。
――――◇――――
「おぉ・・ミラファ殿、それにみなさんも!!」
「こんにちわファンジックさん。依頼された盗賊団の捕縛完了の報告にきました」
ついていった先には他の住居よりも一回り大きな家。街の長とかが居そうな雰囲気だ。そして中にいたのは予想通りの町長と思われる威厳のありそうな初老の男性エルフ。ミラファは依頼の報告を一つずつ確かに報告していく。
「先ほど警備団のものから聞きましたとも。ありがとうございます。本当になんとお礼をしたものか」
「困っている人を助けるのは私たちの信念ですから。お構いなく」
「その信念に助けられた人が大勢いるのです。誇ってくださいな。・・・ところでそちらの御二人はどなたですかな?」
男性エルフの視線がこちらに向くのと同じくしてミラファから紹介された。
「彼らは今回盗賊団捕縛の際に巻き込んでしまった時代人です。少々聞きたいこともありましたので同席してもらいました。ファンジックさん。先ほど話したモンスターを操ることが出来る魔法に関して何か知りませんか?」
すると同席していた他のエルフが数人言いにくそうな顔をして顔を逸らしてした。何か知っているのは間違いなさそうだ。
「先ほど伺った盗賊団が使った魔法陣に関してですか・・・・。知らない・・・とは言えないですな」
「本当ですか!?お願いします!奴らが何か企んでいたのは間違いないんです!私たちはそれを阻止したい!教えていただけませんか!」
「・・・・申し訳ない・・・ミラファ殿に話したい気持ちは山々なのですが・・・これは私たちの掟で話せないのです・・・・」
「お・・・掟?」
言いにくそうにしつつも、ファンジックさんは言葉を濁すように答えてくれた。
「もちろん。絶対にお話できない訳ではないのです。しかし・・・ミラファ殿も、そして仲間の皆様もその”資格”を持っていないのです・・・申し訳ない」
「資格・・・つまりその資格があれば私たちにも教えていただけるのですか?」
雷華がそう尋ねるとファンジックさんは無言のまま首を縦に振った。しかし・・・といって言葉を繋げる。
「その資格に関してお伝えすることも出来ないのです。これは掟であり約束、そして誓いなのです。この星で生きる者である我らと星が交わした大切な約束。これを破棄することは我々にはできない・・・いえ、したくないのです」
大変申し訳なさそうにファンジックさんは頭を下げた。同じく一緒に控えていたエルフの護衛の方々も頭を下げる。ここまで誠意を見せられては、これ以上の深入りはするべきではないだろう。
「クラマスー。おじさんも言いにくそうだし、これ以上聞くのは止めにしないっすか?」
「そうですね。頭を上げてくださいファンジックさん。私たちはこれ以上聞きませんから。でも、その資格を得たらその時は教えてくださいね?」
「寛大な心に感謝しますぞ、ミラファ殿。約束しますとも。その資格を持つならば必ずお話すると。ところで改めてなのですがそちらの御二人はそれを聞くために?」
おっとそうだった。まだ自己紹介も何もしてないじゃん。ミラファが紹介してくれそうだったのを手で制して一歩前に出る。
「まずは自己紹介が遅れたことを謝罪します。初めまして。クラン『剣星』にてクランマスターを、そして五代目剣聖を名乗っているアールと申します。隣の者はクランの一員である『俺はマー坊』と申します」
「初めましてですな。ミスリアの市長兼エルフ族の長をしていますファンジックと申します・・・聞き間違いでなければ今『五代目剣聖』と申されましたかな?もしや噂の?」
「えぇ、その噂の五代目剣聖で間違いありません」
いい意味でも悪い意味でも『五代目剣聖』の名は世界中に広まっている。人によってはやっぱりいい顔はされないし、関わりたくないような顔をされる場合もある。それが少しだけ不安だったりはするんだよな。ミラファ達も不安げにこちらを見ている。だがそれは杞憂だったようだ。
「お・・おぉ!!おぉ・・・・!!!!本当に・・・本当に本物のアール殿でしたか!!!」
「え?いや、あのぉ?」
何かを噛み締めるように頷くと立ち上がり俺を手を取りブンブンと握手を交わしていた。一体何が起きたのかわからない。
「長ずるいですよ!!自分も握手して欲しいです!!」
「えぇいわかっている!!だから少しだけこうさせてくれ!あぁ・・懐かしい感覚だ」
「なつか・・・しい?」
「いやはや・・・やっぱり覚えていませんか・・・まぁ何百年も前ですし当時の私はまだ子供でしたから覚えていなくても不思議ではないでしょう」
うーん・・・・エルフ族の人とはアフターストーリーで関わりを持っていたし知らない訳じゃない。この人っぽいエルフの子供って誰だっけ?
確かエルフは幼名を持っていて大人になると成人の儀にて別の名前をもらうんだったな。幼名はその後自分に関する大切な行事でのみ呼ばれるようになる。牛若丸が源義経みたいな感じだ。
「ピット、パパリ、マーリア、ハロルド、ナタリス、ルリーシャ、シーラ、コルア・・・あとは・・・マティス・・・悪い。これくらいしか思い出せねぇ」
他にも数人いたんだけど全然思い出せない。ごめんな。
「っ!!いえ・・いえ・・!!覚えていてくれたのですね・・・マティスです。今はファンジックと名を貰っていますが、幼名マティスは私です・・・覚えていてくださったのですね・・・・剣のすごいお兄さん・・・!!!」
マジでか。当たったよ。マティスか・・・エルフに会いにいくと毎回引っ付いてきたガキんちょエルフが今やこんなに大きくなっちゃってまぁ・・・
「よせやい。今じゃお前のほうが年上だろ?それにお兄さんって柄でもねぇよ」
「え?アール知り合い?」
「アフターの時にな?エルフとも会えるんだよ。その時のガキンチョの一人だったみたい」
時の流れは恐ろしいな。
「・・・・もう驚きませんわ」
「・・・ウプピァアァァ.。゜+.(´∀`○)゜+.゜。・・・」
アールはアフターストーリーで既に遭遇済み。




