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156:ゴブリン戦記 総力戦Ⅴ (◇)


「でた生きるオカルト戦士!!」



「誰がオカルトだ!!?誰が!!?」



そこに居たのはゴブリンに色々なモンスターを混ぜ合わせて作った大型のキメラモンスター。名付けるならキメラゴブリン。これが噂の奴か。



一体一体が全く別のモンスターに見える奇妙なゴブリン達。しかもその目には正気がなく狂ってる。



『hfクォ;fンボウウェfjンクェボ!!!!』



発言も何を言っているのか全くわからない。こんなことする奴はあいつ以外いない。なら近くにいるのだろうか?



そして先ほど俺のことをオカルト戦士と言ったプレイヤーはどうやらソロのようでこうして一人でキメラゴブリンと戦っている。またキメラゴブリンの周りにはキメラしか居らず、他のキメラ達は同士打ちも見られる。



だがキメラ同士の戦いではダメージはないらしく傷が増える様子はない。



「おいそこの人!!こいつらこっちでもらっていいのか!?」



「ヤイチです自分!こいつら本物です!!」



「そりゃ見ればわかる!!」



「違うんです!!こいつらこっちの攻撃がまるで効かないんです!!文字通りオカルトです!!素晴らしいオカルトです!!」



オカルトマニアか貴様。でもそっか。攻撃が効かないのか。そっかそっかぁ・・・・



「リーク!!」



「見えてる!」



手に入れた『UtS:愛情』の効果で俺たちにははっきり見えている。弱点を思われる心臓の部分がくっきりと。弱点は二つある顔のちょうど真ん中、首が分かれている箇所と右脇下に一箇所。



「下!!」



「上!!」



リークを離して俺は再び跳び上がる。リークは落ちた直後に走り出して手の甲に浮かび上がる錬成陣を起動する。



同じように俺も『双子星の篭手』から錬成陣が浮かび上げる。初使用だ。どうなるかはわからんが、元々別の生物だったんだ。”分解”・・いや、”破壊”できるはずだ。



『hフォウkmんヴぉ上yふ@kmんdskzfh;k!!!!!』



「少し黙ってろ!!」



大きく口を開けて俺を食おうとしたキメラを二つの顔をそれぞれ別方向へと殴り飛ばす。そして何も遮るものなく俺の前に弱点であるポイントへの道ががはっきりと開かれた。



「『パラライズヴィップ』!!」



リークもキメラの体を縛り上げ弱点への道を確保する。目配せでお互いタイミングを確認し一気に迫る。そして弱点となるポイントへそれぞれ手で触れて錬金発動の言葉を口にする。



「「『星錬破壊』!!」」



『hフrfjvシjsベfベイjfヴェイ・・・・・・・・・・』



ビンゴだ。発動した星の錬金術師のスキル『星錬破壊』によってキメラゴブリンの体が崩壊を始めた。それぞれのパーツが剥がれ落ち朽ちていく。腐った臭いがあたりを包みながら泥のように体が溶けている部分もある。



そこにはゴブリン以外のモンスターだけではなく。ゴブリン同士を繋げ合わせたようにもなっていて、ゾンビと変わらなかった。





――――アリガトウ・・・・コロシテクレテ・・・・





耳に届いたのはおそらくこのキメラにされたモンスター、もしくはNPCの声だと直ぐにわかった。そしてこれを生み出した存在が誰なのか。理解できないわけではない。



「リーク・・・」



「アール・・・」



崩れ落ちるキメラを見ながら俺たちは同じことを考えた。今日この場であのクズゴブリンを必ず殺す!!



「「その前にまずはキメラを全部殺す(救う)!!」」



リークの手を取り二体目のキメラゴブリンの元へ、既に戦闘中の個体だが今回は悪いが譲ってもらう!!



「「悪いけどコイツ/この子こっちでもらうぞ/から!!!」」



「おえっ!!?アールにリーク!!?」



次の個体の弱点は胸元と背中の二箇所。俺たちに気づいたキメラは両腕のブレイドキャンサーの腕を向けてくる。その腕へし折るぞ。我慢しろよ?



「「月光真流奥義『水無月写鏡』!!!」」



向けられた腕を逆に捻るように拳を叩き込み破壊する。その反動の向きを変えてリークはそのままキメラの胸元へ、俺は上を跳び背中へと着地する。



「「『星錬破壊』!!」」



『ヂgfドウェjfvンビdfジョ・・・・・・・』



再び崩れ落ちるキメラになってしまった怪物。その表情には安らぎに満ちた顔だった。





―――――ゴメ・・・・・ン・・・・・ネ・・・・・





死んでいくキメラへと手を合わせその最後を見届ける。



「彼らは邪悪な存在ではなかったのか・・・」



闘っていた三人のプレイヤーの一人が静かに歩み寄ってきた。



「多分学者ゴブリンに無理やり人体改造をされたモンスターもしくはNPCだ・・・」



「そうか・・・・彼らはその命の終わりに何を語ったのだ?」



「ありがとう・・・それからゴメンネって言ってたよ」



彼は静かに涙を流しながら同じように黙祷を捧げてくれた。



「見ていてくれ・・・悲しき悪夢に襲われた美しき魂の持ち主よ。我らがこれ以上汝らの様な悲しき邪悪が二度と生み出さぬとこの場で誓おう・・・安らかに眠れ・・・」



「よくわかんないけど・・・・今のキメラも被害者だったってことなんか?」



残りふたりのプレイヤーは戦場で起こる奇妙な行動を見て俺たちにそう聞いてきた。俺は簡単にキメラの正体に関する俺の考えを彼らに伝え、そして謝罪した。理由はどうあれ獲物を奪ったのだから。



「すまなかった」



「気にすんなって、俺はしちくい、んでこっちはツムグリ、それからそっちの奴は」



「我が名は『†魅祈†』我らが出会いは偶然ではなく星によって決められた定めだったのだろう。しかし二度あるかどうかを決めるのは星ではなく我ら自身なのだ」



「まぁ・・・俺らじゃどうしようもなかったのは事実だし仕方ない」



「とか言ってツムグリは隙あらばラストアタック狙ってたろ」



「・・・・・・」



「黙んなし」



許してもらえて良かった。でもまだ終わりじゃない。少なくとも後五匹いる。その全てを殺してやらないといけない。



「アールさん。キメラに関しては俺らで情報流します。遠慮なく全部やっちゃってください!」



しちくいさんがグッと親結を立てて嬉しい申し出をしてくれた。せっかくだ。その好意に甘えさせてもらおう。



「頼みます。リーク次行くぞ」



「うん。ありがとうしちいく」









――――◇――――





878:しちくい

緊急報告!!キメラゴブリンの相手はアールとリークに全員任せる方向で!!



879:†魅祈†

悲しき牢獄に囚われた魂を救うことが出来るのは彼らだけだ。諸君。どうか彼らに救済の時を与えて欲しい



879:ルシオン

わかったよ



880:チーザー紫

よくわかんねぇけど了解だ!



881:マーガリン

電卓騎士団了解です!!



882:カレイさん

フリー団了承しました!



883:ラビット

アイテム撮っちゃったらごめんなさい!!

了解です!!



884:昼行灯

おいーす



885:Note

了承しました!!



886:ああああ

かしこま✩!



887:雷華

見つけたら連絡します



888:ハルト

了解



889:ニコニーコ

了解だ!!!

そしてこれで決めさせてもらうぞ道化師よ!!!



890:ライーダ

ルークくんをいじめた奴はお前かァァァ!!!?



891:彩華

現在ライーダが双剣ゴブリンと戦闘開始!!ただ相性悪そうです!!魔法職の援護と増援お願いします!!



892:マーガリン

見えたので電卓騎士団応援に行きます!!



893:キキリート

『主人公になりたい団』いくぞ!!



894:名無しの時代人

どっちも脳筋クランじゃねーかwww



895:レイレイ

見つけたァ!!!!!学者ゴブリンと思われるやつ見つけたわ!!!でも何匹かいる!!



896:ルーク

こいつ!!偽物まで作れるのかよ!!!ムカつく!!!!



897:白

とにかく殲滅しちまえばいいんだろ!!!全部倒してやろうぜ!!!!



898:サクラ

ルークくんをいじめた罪!!!その魂で払えやァ!!!!!!!



899:チーザー紫

おいアール!!早くこねぇとこっちで倒しちまうぜ!!?



900:ライーダ

こいつぶち殺したら次は学者ぁあああ!!!!!!





――――◇――――




444:チーザー紫

てめぇ!!自分が何やってるのか分かってんのか!!?



445:ルシオン

いったい何をっ!!?



446:ニコニーコ

キサマァァ!!!!!!!!



447:アルトりす

俺がおまえを殺すぞ!!!



448:ぞうもつまる

それがあなたの本性だったんですね!!!最低です!!!タヒね!!!



449:名無しの時代人

人殺し!!!



450:シロマサ

最低だよ!!今まで騙してたのかよ!!!!



451:ヴァンレイ

あんたは最初からこうして俺たちを裏切るつもりだったのかよ!!!!



452:ああああ

やっぱりクズじゃん。ゲームやめれば?



453:アーノレ

お前みたいな人のことを真似した自分が嫌になります。



454:天サジ

二度と顔を見せるな・いや、今から殺してやる!!!!



455:†黒悪魔†

所詮、ただのゲーマーだったという訳か。次の獲物はおそらくアンタだよ



456:弥生

調子に乗るな!!



457:マーガリン

関わったことが恥です。二度とINしないでください



458:雷華

皆さん落ち着いてください!!どうしたんですか!!?気持ちはわからないでもないですけども!!



459:ミラファ

そうだよ!!?私だってまだ良くわからないけどあの人は理由もなくこんなことする人じゃよきっと!!!



460:胡座ウェイ

じゃぁその理由ってなんなんだよ!!?この光景に関してはどうやて説明すんだよ!!?



461:名無しの時代人

皆殺されたんだ!!!女子供関係なく!!!泣いてた人だっていたんだぞ!!?この人達にとってはどう言い繕っても変わらないだろ!!!!?



462:カレイさん

現地にいますけど・・・!!!!惨すぎるんですよ・・・・何かある・・・そう思いたいんですけど・・・それ以上に怒りが収まらないんです・・・!!!!



463:カフェイン

どんな理由であってもこんなことを顔色一つ変えないでどうして出来るんですか・・・お願いですから・・・せめて・・・・表情を出してくれれば・・・擁護だってできるのに・・・!!!!



464:蒼牙

これが人にたたえ上げられた奴の末路なんだな・・・




――――◇――――






「「これでラスト!!『星錬破壊』!!」」



『デョvンsッヂjfkdンfbls・d・・・・・・・・』



目視できる最後のキメラゴブリンを倒した俺たち。朽ち果てていくその姿を最後まで気届ける。



「これがキメラゴブリンの末路なんですね・・・せめて安らかに眠ってください」



「・・・・悲しいね」



「見えなくてもわかる・・・きっと苦しかったんだろうな・・・」



最後の一体は超大型のキメラゴブリンだった。弱点箇所は最多の5ヶ所、先に戦闘していたプレイヤーたちの力を借りて俺たちはこのキメラの討伐を終えたのだ。



「ありがとうございました。カトレアさん、ハルトさん、ファーズさん、昼行灯さん、ラビットさん、宇治抹茶風味添えさん」



リークがお礼を言う彼らこそ、先に闘っていたパーティーだった。



目隠しをしているが素早い動きと足技を駆使して闘っていたハルトさん。



同じく素早い動きでキメラを翻弄し。レイピアでの素早い攻撃を得意とするカトレアさん。



大きな盾と大剣を担ぎ、パーティーの守りを担当していたファーズさん。



口調は変だったが的確な攻撃予測と回避指示、そしてかく乱をしていた昼行灯さん。



様々な罠を設置しては回収を繰り返し、有効的な罠を探していたラビットさん。



パーティー全体を見て攻撃を防御を切り替えて支援をしていた宇治抹茶風味添えさん。



彼らの協力もあり、最後のキメラゴブリンを俺とリークは難なく撃破することができたのだ。



「いやいやww俺らもいいもん見せてもらったからおーけーおーけー!動きの見切りは大変そうだぜ」



昼行灯さん。この人要注意だな。攻撃は大したことなかったけど回避能力に関しては油断ならない。それこそこっちの手数をあまり見せてはいけない相手だ。



「あのぉ・・・すみませんこれ間違って盗んでました・・・・謝るのでリュウオウの刑は勘弁してください!!」



綺麗なジャンピング土下座を華麗に決めたラビットさんの手にはいつの間にか俺のバスタードソード(ディア)が収まっていた。あれそういえばいつの間にか無くなってる。



「許してあげて欲しい・・・彼はその・・手癖が悪い上に無意識でやらかすんだ・・・・・・」



大男ファーズさんが申し訳なさそうに頭を下げる。それはなんというか・・・はた迷惑な特技だな・・・まぁ返してくれたからいっか。



「返してくれたならいいさ。ただ次は気を付けてくれよ?」



「努力します!!」



あ、これダメなやつだ。



「このあたりも数は減ったみたいだ。ほかの場所の援護に行かないか?」



目隠しをしているプレイヤーハルトが敵の多い場所を指差している。彼の動きも凄まじいものだった。



武器は足に取り付けている専用のナイフ。更に何かの縛りプレイなのか両腕を拘束しているのだ。その状態で自由自在に動き回るんだからすごかった。ただかなり無理をしているのか呼吸が乱れがちだった。



「そうですね。アールさん。共闘できて嬉しかったです。よければいつか決闘しましょう」



「はいはい戦闘狂の姫様行きますよ」



「ちょっと抹茶さん!?あぁ押さないでくださいよぉ!!?」



『ヤッパリ・・・カトレア・・・・セントウキョウナノカ?』



カトレアさんは宇治抹茶ふうみ゛・・・・抹茶さんに背中を押されて次の戦場へと向かっていく。後に続くのはおそらく従者化した人の言葉を話すオーク。発言的にはカトレアの従者なんだろう。



「んじゃまた会う日が来るまでさいなら〜」



最後尾に昼行灯さんが加わり、彼らを見送る。



「これで数は減らせたか」



「私たちが合流してから二時間、最初から戦ってる人たちはもう4時間超えてる・・・みんな流石に疲れが見えてきたね」



長時間によるゴブリンとの大戦争。掲示板を見れば既に双剣ゴブリンと道化師ゴブリンとの戦闘は佳境を迎えているようだ。それに学者ゴブリンと思われる姿をした個体も数匹発見されており、現在討伐と捜索が同時に行われている。



街の中に侵入したゴブリンも、指揮を執るコヨミとギンの天匠流コンビや町で防衛に勤めていたプレイヤーたちによって一掃されたらしい。フィールドを埋め尽くしていたゴブリン達も残す所あと4割といったところだろう。



このまま行けばプレイヤー側の勝利でこの戦いを終えることが出来るはずだ。だが、学者ゴブリンを倒さない限り俺たちの勝利とは言えない。この戦いの中で生まれた悪夢はここで倒さないといけないのだ。



それもおそらく時間の問題だろう。”誰もがそう考えるのは目撃報告が出た時点で考えることだろう”そう簡単に事が済む訳がないのに。



「リーク・・・“起動”したか?」



「うん・・・ばっちり”見えてる”よ・・・本当に最悪だよ・・・」



「町に戻ろう。”支援”は任せていいか?」



「・・・・アールが決めたなら・・・いいよ」



奴はNPCに化けていた。なら今回化けていない訳が無い。それに奴はおそらくだが直接戦闘を好まない。そんな奴がいくら偽物を作れたとしてもわざわざ戦場に出るとは考えられないのだ。



そしてだ。俺とリークはそれに対する答え合わせができる力を持っている。『UtS:愛情』の効果による『正体把握』が俺たちの視覚にその答えを見せてくれている。



きっとこの夢は・・・この悪夢は覚めない方が幸せな人が多い。少なくともNPCにとってもプレイヤーにとってもな。



そしてこの夢がこのまま覚めることはきっとない。誰かが犠牲になる必要がある。まぁ、そんなことは関係なしに、俺はいつも通りにやりたいことをするだけだ。結果は後でついてくるさ。



例えそれがどんな悲劇のきっかけだとしても、全ユーザーに、NPCに吊るし上げられることだとしてもな。



知らなければいい真実、覚めない優しい悪夢だってこの世には存在しているんですよ。


感想お待ちしています。


次回、衝撃展開

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