155:ゴブリン戦記 総力戦Ⅳ
大変失礼しました。
前回の後書きにて紹介した『ミラファ』さんですが、男と誤って記入しており、正しくは女です。
大変失礼しました。
「アールおかえり、それと久しぶり雷華」
「久しぶりねリーク。元気そうでなによりよ」
リークと合流した俺は状況の確認をしていた。アシュラゴブリンはほぼ全て討伐完了。残りもそう多くはない。このあたりは彼らだけでも平気だろう。それもそうだが、どうやらリークと雷華は知り合いのようだ。
「前にパーティー組んでたの。私と雷華の二人で」
「ちょっと手伝って欲しい相手がいてね。その時に知り合ったのよ」
「ふーん」
流石リークの読心術。聞く前に答えてくれた。ついでにもう一つ聞きたんだが・・・
「ほらシアちゃん。挨拶しなくていいの?」
「はわわわわ・・・・・」
「・・・・」
先程から俺を見てプルプルしてる小動物系女子と何故か闘志を燃やしてるクール系男子は一体どなたですか?俺なんかしただろうか?もしそうなら謝りたいんだが・・・
「自分ミラファです!義賊のミラファといえばNPCからはちょっとした有名人なんですよ?」
「そうなのか・・・アールだ。初めまして」
「ひわわわわ・・・・・・」
「・・・・」
「こっちの小動物みたいに震えてるのはシアっていうの。本当は『ああああ』って名前なんだけどみんなシアって読んでるからアール君もそう呼んであげて、それからこっちの人は蒼牙さん。戦闘能力はお墨付きだよ」
「ちょっ!!?ミラファさん勝手に私の名前教えないでください!!?こ・・・心の準備が・・・」
「・・・・」
いやすまん。本当にわからん。あったことないと思うんだけど・・・なぜに一人は怯えてて一人は対抗心丸出しなんだ?
「あの・・・シア・・・でいいんだよな?」
「ひわわっわ!!?」
ぴょんと跳ね上がりミラファの後ろに隠れてしまった。流石の俺も傷つくぞ?そんな怖い形相してないと思うんだけど・・・
「シアは元剣聖アンチ民・・・つまりアールアンチだったのよ。それがバレて報復されるんじゃなかって怯えてるだけ」
「お姉さまぁぁぁ!?!?!?!?!?!」
リークに簡単にばらされて泣きそうになっているシアさん。何だそんなことか。俺が何かやらかしたわけじゃないなら良かった。
「気にせんでいいぞ?」
「い・・・・いいいややややややy!?!?!?いいいいいいいんんっででででdすすすかっかか?!?!?!」
「落ち着け、バグってるから。とりあえず深呼吸しろ。はい吸ってー」
「ひぐぅぅぅぅぅ・・・」
「吐いてー」
「ふひぃぃぃ・・・・・」
「どうだ?」
「・・・・・シアちゃん復活!!いやぁ良かった!!いい人だった!!シアちゃん感激!!」
「・・・・キャラ変わりすぎだろ」
「これこそシアちゃんの本性なのだよ剣聖さん!それも含めて今後はよろしくね✩」
なんだろう。かまってちゃん系小動物女子って感じだ。まぁ解決してよかった。問題はこっちだ。
「・・・・・」
明らかに睨んできてるんだけど・・・どうしたらいいの?
「もう✩!そんなんじゃ剣聖さんに嫌われちゃうぞ✩?蒼牙くんは剣聖さんのことライバルだって思ってるの!目指すは打倒剣聖!らしいよ✩」
「それから蒼牙さんはあなたと同じエクストラモードで遊んでる超人さんなんですよ?」
「マジで!!?いつから!?」
「・・・!!?」
「あ、すまん思わず体が動いた」
がっしりと手を掴んでいた。今日はあれか?同類と会える日なんだろうか。運営は俺に素晴らしい機会を与えてくれたみたいだ。
思わずとってしまった手を放し謝罪する。いきなり野郎に手を握られて嬉しい男なんて早々いないよな。すまん。
「わるかったな。ちょい嬉しくてつい・・・」
「・・・・・待っていろ」
「うん?」
「・・・・・・必ずお前を倒す・・・・俺の滅天流で必ず・・・!!」
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
おもしれぇ。
「いいぜ、お前からの挑戦いつでも受けてやるさ。ただし俺から簡単に勝ち星取れると思わないことだな。対峙した次の瞬間には、お前は既に八つ裂きになってるかもしれないぜ?」
こういう相手がいるのは俺の修行の励みにもなる。追っ手がいるからこそ更に上を目指して進める。いいことだ。素晴らしい出会いだ。
「・・・・・・ふん」
少し頬を釣り上げながら蒼牙は残るゴブリンの元へと駆け抜けていった。さて、俺たちもそろそろ動かないとな。
「リーク、場所を変えよう。ついてくるだろ?」
「もちろん」
「私はここまでだ。このあとはミラファ達と合流して残党を倒す」
「そうか、またな雷華。機会があればまた」
「またねお姉さまに剣聖さん✩!」
「機会があればまた会いましょう!」
彼女たちと分かれ俺たちは次の戦場へと足を運んだ。とりあえず数が多い場所を優先して叩くか。
◇
「久しぶりだなNote!!」
「おぉアールさん!!おしさしぶりでぇぇ!!?なんすかその後ろの腕!!?」
「バカ師匠何してたのさ!!?」
以前レイドモンスター討伐のためにパーティーを組んだことのあるNote一行。見れば一緒に混じってルークもいたのでお邪魔させてもらうことにした。
数はまだ結構いるし始めようか。
「いざ行かん!電磁抜刀術!!」
「ルーくんよそ見しちゃダメだよ!レイ兄ぃも前出過ぎないでよ!!」
「ルーくんって呼ばないで弥生ちゃん!!」
「なんだルーク?この短期間でガールフレンドできたのか?」
「ちがくないけどちがうから!!」
どっちだよ。レイが繰り出す電磁抜刀術。魔法剣士ジョブで強化した自分の武器を高速で抜刀して敵を切り裂くオリジナルの抜刀術。まだまだ改良の余地があるし、腕のことを考えなければ俺の鏡雀を超える速度は出るんじゃないだろうか。
そんなレイを兄と呼び、ルークと親しそうにしている新参少女。武器はどこぞのメイド長と同じナイフで大量に投げつけている。しかもその全てにワイヤーが伸びており、貫いたゴブリンを引き寄せたり集めたりしている。毒か何かついているのか刃に触れたゴブリンの動きは鈍い。
少女が集めたゴブリン達をレイの電磁抜刀術で切り裂く。レイだけではなく、一緒に戦うNoteや胡瓜、アーノレの援護も器用にこなしておりその実力は計り知れない。
「初めまして!いつもルー君がお世話になってます!幼馴染のみ・・・じゃなくて弥生です!兄のレイともどもよろしくお願いします!」
礼儀のできてるいい子やん。
「丁寧な自己紹介ありがとう。アールって言うんだ。よろしくね弥生さん」
「はい!!よかった!ルー君のお師匠さんとってもいい人だね!!」
「ちょっとやめてってば弥生ちゃん!!恥ずかしい!!」
おぉ、ルークが俺以外に顔赤くするところ見たのはじめて・・・・ではないな。普通にチーザーの前で真っ赤にしてたわ。
「『フレアボム』『レイジングブレイク』『ボルケーノブレイカー』『スターダストブラスター』!!」
リークの連続詠唱が周囲のゴブリンを一気に消し飛ばす。爆発し、その爆発で発生した火炎が集まり再び大爆発、その大爆発の後に地面から火柱が上がり再び大爆発。止めには巨大な光線のような火柱が夜空から降り注ぎフィールドのあちこちでゴブリン達の悲鳴が上がっている。
「えげつねぇ・・・・」
「いやいやアールさん」
「貴方も同じような事してましたよ?」
「二人して俺のものまねしながら話しかけんでくんないかね胡瓜さんアーノレさん」
右には俺と全く同じ姿に変装したアーノレさん。左には声真似で話しかけてくる胡瓜さん。プロの大道芸人と変装師でよく誰かの真似をしたり、芸を見せてお金を稼いでいる二人だ。
もちろん実力も高く、以前のレイドボス戦ではお世話になった。
「いやぁアールさんの大演説の後、モノマネが大好評でして、お世話になってます」
「二人でいろんな人から贔屓にさせてもらえてるのもアールさんのおかげですわ」
なんか知らないうちに俺の名前で稼がれている件について。
「なぁ弥生・・・もういいか?そろそろ俺もぶった斬りたいんだが?」
「何言ってるのコハクお兄ちゃん!!お兄ちゃんのは誤爆多いんだから今日は禁止!!」
「一回だけだって!!ちゃんと誤爆しないように斬るから!!な!!?」
「だめ!!絶対誤爆するからダメです!!」
「チキショー!!!!!!!」
どなた?
「あの人弥生ちゃんとレイさんのお兄さんでコハクさん」
いつの間にか俺の隣に陣取っていたルークが教えてくれた。というかルーク。
「お前レイさんと弥生ちゃんとあのコハクさん?とリアルの知り合いだったのかよ」
「ご近所さんだった・・・・・」
仲良さそうだから多分そうだとは思ったけどマジだったか。だからなんか手玉に取られてる感じしたのか。というかルークって身内に弱いよな。
「今の僕でもバカ師匠が何考えてるかはわかる・・・・」
「否定はしないのな?」
「余計なこと考えないでさっさとゴブリン倒すよ!!」
誤魔化した。
「”視えて”んだよゴブリ・・・」
強襲してきたゴブリンを迎え撃つために振り向いたのだが、迫ってきたはずのゴブリンは既に事切れていた。代わりにいたのは全く同じ装備に身を包んだ二人組。
「「どうやら余計な手出しだったみたいである」」
息ぴったりで声まで似ている。
「あ、忍者さん隠密さんお疲れ様です」
「「済まない遅くなった」」
だからその息ピッタリ何なんだよ。
「ウチのクラマスとサブマスなんですよ。因みに僕にもどっちがどっちかわかりません」
それでいいのかクランマスター。忍者に隠密って役職かぶってんじゃねーか。
「アール向こうに大物発見!!行こう!!」
「あいよ!!ルークどうする?」
「こっちにいる!」
「ならまた後でな!」




