143:緊急事態
さて、色々とあったがこれでエーテリアに俺たちも向かう事が出来るようになったわけだ。後はリークの様子を見て平気そうならレイレイ達と合流しよう。
「それまではゆっくり観光でもしようか?」
「どっちかというと草原とかで横になって寝たい」
「・・・それいいな」
「でしょ?」
晴れた日差しの下、風に揺られながら昼寝とかそれは良いかもしれん。モンスターに襲われる心配もあるが、そこはうまくやればなんとかなるだろう。
「どうせならキャンプとかして気分変えるか?」
「・・・・そこまでして貰わなくてもいいよ?実際私の気持ち的な問題だから・・・」
「なら尚更だ。ログアウトしてゆっくり休めって言っても聞かないだろ?ならせめてこっちでリラックスしようや?」
どうせこいつのことだからログアウトしろって言っても聞かないだろう。俺だってきっとそうだし。折角のイベント中に気分転換してて、その気分転換中にイベント終了してましたとか絶望である。
特に交換期限があるアイテムの交換をし忘れた時とか。これでもライト勢であるがソシャゲも少々やっている。どれだけ技術が発展しても一度根付いたソシャゲ文化はそう簡単には変わらないのである。
俺としては据え置きゲームが好きなのでそこまで深みにはハマってないが、沼だと毎月の課金額が給料を超えるとか超えないとか・・・・・
「アール?」
「あ、すまん。ちょっち別のこと考えてた。んで?どうする?キャンプでもしてみるか?」
幸いというか、都合よくキャンプ道具らしきものは売っていたし、この前フレンド登録したサバイバルの達人こと山田さんに連絡を取れば十分楽しめるキャンプにはなるだろう。
現実でキャンプできない勢でもゲーム内でならキャンプができる。いい時代になったものだ。
「・・・あのねアール。ちょっと聞いて欲しいことがあるn「アール君!!」・の?」
「えっ!?プレシア!!?」
リークの言葉を遮りやってきたのはニルスフィアにいるはずのプレシアだった。見た目もいつもの占い師の格好ではなく、俺と似たような装備を身につけていた。
所々に傷つき、顔にも泥が付いている。ボロボロとまではいかないが、かなり無理をしているのだけはわかる。走ってきたプレシアは息を荒げ、俺たちの前まで来ると涙を浮かべながら口を開いた。
「妹が・・・プラレアが帰ってこないんです!!」
落ち着いて話せる場所として、利用している宿屋へと案内し、ポーション各種を使いプレシアを回復、少し落ち着かせてから一体何があったかを聞くことした。
「アールさん達がアクシアに向かってから一時間後くらいです。ちょっと思いついたことがあるからって出かけたきり帰ってこないんです」
「俺たちと最後に会ったのはちょうど一週間ほどだぞ?それまでなんの連絡もないのか?」
「はい・・・・あの子いつもならどんな事があっても夜に帰ってきてましたし、帰らずとも連絡はくれてました・・・それが全くないんです」
「プレシアさん。妹さんが私たちと別れてから出かけるまでに変わったことありませんでしたか?」
「いいえ・・・いつもどおりでした・・・」
おいおい・・・今このタイミングで行方不明とか最悪の結末が頭の中に過るぞ・・・・・
現在学者ゴブリンという畜生がただでさえ不安を撒き散らしてるのにそんな時に行方不明だ。プレシアもその最悪は思い浮かんでいるはずだ。
リークも同じようで顔色を窺いながら言葉を選んでいる。これがもし学者ゴブリンのタイミングじゃなかったらまだ考えようはあったはずなのに。全部が全部最悪の方向で考えてしまう。
「プレシア。どこかプラレアが行きそうな場所はないか?」
「・・・・・一つだけあります」
「そこは探したの?」
「いいえ・・・私にはそこに入る資格はないんです」
「っ!!資格なんて言ってる場合じゃないでしょ!!?大切な妹居なくなって不安なら資格とか気にしないで探したらいいじゃない!!!」
リークの怒りは尤もだ。だが、そんなこと言われなくともプレシアはわかっているはずだ。握った手を握り締め、必死に言葉を押し込めるプレシア。
「リーク、落ち着け」
「でもアール!!」
「・・・・プレシア。星読み人の時と同じ試練か?」
「っ」
そうか。なんとなくは理解した。
「リーク、確認したい。今のお前はエクストラモードか?」
「・・・・そう・・・だけど・・・」
反応的にリークの悩みもエクストラモード関連みたいだな。最悪のタイミングで似たような事が起きるとか日頃の行い悪いのかね。
「プレシア。俺たち二人ならその場所に入る資格はあるか?」
「・・・・・おそらく大丈夫です・・・・ごめんなさい。私が直接行けるなら・・・・」
「気にするな。仕方ないさ。案内してもらえるか?」
「はい・・・お願いします・・・!!」
「リークはどうする?俺と行くかレイレイ達に合流するか」
「一緒に行く」
即答か。色々聞きたいことは出来たし探しながら聞くとしよう。
こうして俺たちはプレシアと共に、プラレアを探すために新しいエクストラダンジョンへと向かうことになった。
「なら向かいましょう。ニルスフィアに戻るためのアイテムは私が持っています。お二人共手を」
差し出された手を取るとプレシアがアイテムを起動する。一瞬で光に包まれ、視界が白一色になる。その後ゆっくりと光が消えていくと、俺たちはアクシアの宿屋から、ニルスフィアの占いの館まで一瞬で移動していた。
「うそ・・・街の前じゃなくて建物の中にテレポートなんて・・・・」
俺もそれは少し驚いている。前にタグを使用してエーテリアに戻った際には街の入口か噴水前のどちらかだった。それなのに今回はプレシアたちの家でもある占いの館に直接ワープしたのだ。
いや、驚くのは後だな。今はプラレアを探すほうが先だな。
歩くこと約20分、ニルスフィアの街をプレシアの先導の下歩き続けると、だんだん周囲の光景が変化してきた。
街のど真ん中を歩いていたと思ったらギルドの前へ、ギルドだと思ったら裏道らしき道を歩き、さらに進むと、建物の間にできたトンネルを抜けた先、ここが本当に街の中なのかと疑うほどの光景が目の前に現れた。
「・・・・キレイ・・・」
わかりやすく言うと水の都の守り神が住んでいる庭園だ。水のさざめきと揺れる草木の葉音。
人の手が最低限のみ加えられた自然の庭園。
「着きました。あの先にあるのが、プラレアがいる可能性がある『流星が眠る神殿』への入口です」
示された先には両サイドに木々が植えられており、その先にはここに入ってきたものと同じトンネルがある。
「私が案内できるのはここまでなんです。この先は資格を持つ者だけが進めます・・・」
「一応確認したいんだが、俺たちに資格があるのか?こう言いたくはないけど特別なことは俺たち最近してないぞ?」
言われるがままにここには来たが、条件をクリアしているかと言われるとどうとも言えない。
「大丈夫です・・・アール君もリークちゃんもその資格はあると占いの結果は出ていましたから・・・本当は私情のために占いするのは占い師としては恥ずべきことなんですけど、緊急事態でしたから」
「まぁそれくらいはやっても怒られないだろ?」
「ねぇ?貴女なら占いで居場所見つけられるんじゃないの?」
「・・・・もちろん試しました。探しました。でも・・・どこにもいないんです・・もうここだけがあの子がいる最後の希望なんです・・・」
つまりそれはもうやったってことか。やった上でさらに考えられる場所は全て探し、最後に自分が立ち入れない場所がここって訳か。
自分を抱いて震えだすプレシア。その目には涙が浮かび上がり震えながら言葉を紡ぐ。
「お願いします・・・!!勝手なお願いだとは理解しています・・・!!でも私には貴方達を頼るしかもう出来ないんです・・!!お願いします・・・あの子を、妹を・・見つけてください・・!!!その為なら・・・・私はなんだってします・・!!だからどうか・・!!」
着ていたローブをプレシアに渡す。プレシアは顔を上げてくれた。
「わかってる。プラレアには俺だってお世話になってる。必ず見つけ出すよ」
「ごめんなさいプレシア。私もちょっと言いすぎた。絶対に見つけるから泣かないで」
「アール君・・・リークちゃん・・・っっ!、お願いします・・!!」
「行くぞリーク、ここにいるはずのプラレアを必ず見つけ出す」
「うん」
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おぉ!!街の名物ギルドマスター!
え?そんなんじゃない?またまたぁ?街の皆さん言っていますよ?”あの剣聖さんと親しいギルドマスター”だって話じゃないですか!羨ましいなぁ!
色々教えてくれませんか?私とても興味があるんです!!
そうだ!!今晩”どこか”でお酒でも飲みながらお話聞かせてもらえませんか!!?
本当ですか!!?
えぇ勿論!!おごりますよ!!”大切な日”になるんですからね!!!
エクストラジョブ関連開始です。
感想お待ちしています




