134:クエスト『妖精竜の討伐』Part2
ストック作るために(8月2日現在)一ヶ月間土日も一話更新です。
今日でキャラ案締切なのでまだの方はお急ぎを。今日以降の投稿は見送りますので。
「『属性付与:サンダー』『鏡雀』」
「『能力付与:スティール』からの『鏡雀』!!」
刀に雷属性を付与しながら、自身の攻撃にアイテム奪取能力を付与した状態で、それぞれリークとレイレイが繰り出した鏡雀は一撃で赤トカゲを真っ二つに切り裂き、光に返してしまった。
仲間がやられたことで残りの赤トカゲどもはそれぞれ行動を開始する。逃げる個体に、特に気にすることなく突撃してくる個体。どちらかだ。
「『初月雀』」
逃げるやつの足を切り落とし地面を滑るようにその勢いを落としていく。身動きがとれなくなった赤トカゲのもとへ走り込んでいくルーク。それを察した赤トカゲは蛇のように体をくねらせてルークへと向き直る。
ルークを確認すると赤トカゲは大きく息を吸い込んで消化液をルークに向けて吐き出した。
吐き出す寸前、ルークはその行動は予測済みだと言うように真横に飛び回避する。さらに肉薄し、消化液が吐き終わるタイミングに合わせて刃を喉に突き立てる。
そのまま振り回すように腕を振り、赤トカゲを内部から切り裂いていく。
表面から顔を出した刃はそのまま皮膚を切り裂きながら血潮とともに外に出る。
「『血涙雀』!」
摩擦を減らした状態でそのまま大きく旋回し、切り開いた方とは逆の皮膚に刃が突き刺さる。ルークは突き刺した勢いに任せて立ち位置を変更し赤トカゲの真横に体を着地させる。そして今度は大きく上に向けて刀をなぎ払う。
血飛沫が飛散しながら体を引き裂かれた赤トカゲはそのまま光となって消えていく。
――――『キルギリザード』5匹撃破しました
――――素材:紅蜥蜴の鱗×7を入手
――――『UtS:師範代』『UtS:継承者(五代目剣聖)』の効果発動
これで赤トカゲことキルギリザードの討伐数は30を超えた。
「あ、レベル上がった」
特にルークの活躍は目覚ましいものだ。最初の戦い以降、自分の力を確かめるように戦闘を繰り返した。
三回ほど戦闘を繰り返せばこの程度の相手は敵にすらならない。急所に一撃入れてそのまま身動きを封じた所にトドメを指すスタイル。ルークの場合はステータス補正もあるからダメージも稼ぎやすいようで勝負は一瞬で付く。
「ねぇメス猫・・・・」
「言わないで・・・・アタシだって正直驚いてるんだから」
「ん?どうしたお前ら?」
「あのね?この『竜の住む林』なんだけどそこそこモンスターのレベルは高いし初見だとあの赤トカゲも結構苦戦するんだよね。アールは別として」
おいこらリーク、何しれっと俺は例外みたいなこと言ってるんだ。事実かもしれないけど。
「初戦はまぁ・・・アールと一緒だったから楽勝でもわかるんだ。でもさ?二回目はソロで三匹倒しちゃうし、今度はアールの攻撃があったにしても急所攻撃からのあの硬い皮膚の防御貫通で仕留めちゃったし・・・・もしかしたら同レベルの時のアタシ達より強いかも知れない」
ははは、まさか。確かにそれなりに強くはしたけどそこまで怪物クラスにはなってないはずだろ。普通のプレイヤーと同じくらいだって。
「因みにあのキルギリザードはレベル30くらいのプレイヤーがパーティー組んで3匹倒すのが普通だからね?」
へー、そうなのかー。じゃがさっきルークがソロで三匹倒したのはすごいことなのかー。
「バカ師匠ー!レベル上がったー・・・って姉ちゃん達どうしたの?」
「気にするな。それよりこれでレベルはいくつになったんだ?」
「ステータスのレベルは29で『UtS:天匠流』はレベル2になった」
「「レベル2っ!!?」」
「うひゃぁっ!?」
声を張り上げた二人に驚き、飛び上がるルーク、そのまま俺を盾にして隠れてた。お前いつもそこに来るな。
「ちょっとルーク君教えてもらえないかな!?レベル2天匠流ってどんな感じ?」
いつの間にかウィンドウを起動してルークにマイクを向ける仕草をするレイレイ。一言一句逃さないという意思がビシビシ伝わってくる。
「あと・・・えっと・・・・」
「うんうん・・・!!!」
「・・・し・・・・・」
「し?」
「師匠に追いつくのはまだまだだなって・・・・」
恥ずかしそうに声が小さくなりながらもはっきりと答えたルーク。それを見て女性陣は悶えていた。
「「「か・・・・可愛い・・!!!」」」
「・・・・・」
可愛いのは同意する。微笑ましくなったので頭を撫ぜてやると顔を真っ赤にしながらいつもの罵声が林に木霊した。
林を歩き続けること一時間。モンスターをなぎ払いながら進んでいくと、地面に向かって続く巨大な穴が俺たちの前に姿を現した。そして明らかに巨大な足跡がその穴の奥へと向かっていた。
「絶対にここだよな?」
「多分。妖精竜の巣穴は地面に掘られるから間違いない」
「どうする?アタシか女狐が先制攻撃して穴から引きずり出そうか?」
「お主らもやろうとすることがえげつないの・・・」
リークは腕から火を出し、レイレイの手には禍々しい色のナイフが複数本握られている。こいつらのことだから攻撃後に穴に蓋をして蒸し焼きとかにする可能性もゼロじゃない。
「なら頼むわ」
「バカ師匠!!?ここは別にいいっていうところじゃないの!!?やろうとしてること完全に悪人だよ!!?」
「ルーク。戦いで善悪は存在しないんだよ」
「さっき言ってたこと自分で否定してない!?」
戦いとは時に残酷なんだ。それに入った瞬間にブレス攻撃でも受けてみろ。逃げられないでそのままやられる可能性だってゼロじゃない。
「わかった。とりあえず可爆性の鉱石投げ込んでから焼き殺すね」
「なら一緒に毒性の煙玉投げ込むわ」
俺の考えの斜め上を行くえげつなさであった。特にレイレイ。やりづらいって言っていたのはどこの誰だか思い出せや。
”やめぬかキサマら!!?急に来たと思えばいきなり人の寝座の前で恐ろしい相談をしておる!!?殺す気か!!?”
「なんだ今の声?」
「「幻聴でしょ?それよりさっさと殺るね」」
“まてまてまて!!?今出るから少し待たんか!!?”
穴の奥から這いずり出てきたのは美しいエメラルドグリーンのウロコを持つ竜であった。敵意は今のところ感じないので攻撃はしないが、いつでも殺れるように手だけはかけておく。
渋いダンディーボイスの幻聴だと思っていた声は這い出てきたこの竜の声みたいだ。
”・・・・死を覚悟したぞ・・・なんなのだお前たちは”
うっすら汗がにじむ竜は不審者を見るようにこちらを見ている。失礼なやつだ。まぁ向こうから出てきたので手間が省けた。それに会話が出来るようだし今はそれなりに落ち着いているみたいだ。
一応確認しようとレイレイへ視線を向けると頷いてくれたのでこいつが目的の妖精竜で間違いないようだ。
「とりあえず言い訳があるなら聞いてやる。斬られる覚悟はあるか?」
「うっわ・・・師匠こわ・・・完全にヤクザだよね」
”ちょっ!!?いきなりなんなのだ!!?俺が一体何をしたと言うんだ!!?”
「人里、畑、食い逃げ。襲撃。心当たりあるだろ?」
”・・・・・・・(ぷい)”
「「「ギルティ」」」
犯人特定、ついでに反省もしてないみたいだしサクッと討伐してしまおう。ほかに生命体の気配も感じないし、話で聞いたはぐれ個体なんだろう。
”待ってくれ!!確かに人が育てた野菜は食った!!それだけで殺されるのはあんまりじゃないか!!?”
「人襲っておいて何言ってやがる?既にけが人も出たんだ。大人しく処されろ」
思うことはあるが本心なのか嘘なのかをはっきりさせたいのでちょっと強引に行く。龍種だと希に知性が高く人を騙すこともあるからきっちりさせないといけない。これ常識。
”嘘ではない!!妖精竜王ベツレヘムの名において誓う!!”
「っ!!?アールストップ!!この妖精竜嘘はついてない!!」
ベツレヘムという名を聞いてレイレイが武器を収めた。見ればリークも詠唱をキャンセルしていたので本当だろう。ギンも珍しく何かを思い出すように頷きながら妖精竜を見ていたので、信じても良さそうだ。
「レイレイ?」
「妖精竜にとって妖精竜王ベツレヘムの名を出すことは自分たちの存在をかけている事と同じなんだ。だからこの個体は本当に人は襲ってないと思う」
”思うではなく襲っていない!襲ってしまえば警戒されて二度とつまみに行けないではないか!!?”
こいつ食い逃げ犯であることは認めるんだな。
「じゃぁ何か?お前は食い逃げはしたが誰にも手出しはしてないと?」
”無論である!!そんなことをすれば討伐されるのがオチではないか!!?”
「食い逃げもモンスターの討伐の理由としては十分だと思うけどな」
”細かいことは良いではないか?俺が畑に行けば俺にビビって他のモンスターは近づかん。俺はその代わりに少しだけ食物を貰う。ウィンウィンの関係というやつだ!”
「レイレイ」
「確かに妖精竜はほかの龍種よりも厄介で知性も高い部類に入る。モンスターからしたら妖精竜のテリトリーに入ってまで人を襲うことはリスクが大きすぎるから普通はしないはずだよ。それに妖精竜は龍種では珍しい雑食のモンスターだから野菜を食べるのも間違いではないね」
”じゃろ?あの畑で食った野菜はたまに食べると美味いんだ!あの味をどうにかして出したくて色々試してはみたんだが上手くいかんくてな、今でもたまに食いに行っているのだ。ほれ、そこの畑が俺の畑だ”
指差された方向には確かに畑らしき場所があった。とても綺麗な畑とは言えないが、確かに人工的に作られた畑であることはわかる。と言うか龍が畑作業って・・・・・
「はぁ・・・なんというか・・・気が抜けた・・・」
あまりにも想像していた物とかけ離れており、やる気が失せた。
嘘を言っていないのはほぼ間違いない、でも討伐の依頼が出ているのも確かである。思った以上に面倒事になってきそうだ。
気をつけてください。
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