127:いつかの続き、そしてPK
全ルークファンの皆さんお待たせしました。ルークのターン。
間違えて木曜日二話連続投稿してました。感想が掲示板化してるの何でかな?
タグに新しく『感想の掲示板化』追加してみたらただの掲示板になってて驚きを隠せない。
普通に感想書いてください!!そうさせたのは私ですけども!!お願いします!!
タグ消去も検討中である。
別で今度掲示板化する作品要望が多ければ上げますので勘弁してください(つд⊂)
「久しぶりですねクズ。リーク姉ちゃん達にしばかれたのに反省してなかったんですね」
「このクソ餓鬼・・・!!!」
目の前に立っているのは僕に”仕事”を流してきた相手。この前リーク姉ちゃん達と”お話”をして潰された奴だ。
まだ数日しか経っていないのにこうしてまた同じように毒殺を狙ってきたあたり反省してない。それも含めて予想通りだけど。
「てめぇ・・・なんでこの毒受けてピンピンしてやがる!!?」
「答える必要ありますか?」
「っ!!舐めたこと言ってんじゃねーぞ糞がっ!!!」
「篭手装備のフリで勝てると思ってます?」
立ち振る舞いと見た目は篭手装備してるみたいだけど、タダのフリだ。この馬鹿が武器として装備していた『毒瓶』は僕が奪いとって今まさに叩き割ったんだ。その結果こうして何も知らなかった馬鹿どもは地面に崩れ落ちている。
師匠が苦しんでいた時より反応は大きくないけど、起き上がれる様子はない。
だから”踏んづけても”問題ない。
「”視えて”るよバーカ」
「ガヒュっ!!?」
繰り出された拳を避けて刀の柄で殴るようにお腹にめり込ませる。ステータスはそれなりに攻撃力に振ってるから、鎧と鎧の間の柔らかい部分に抉りこませれば簡単に砕けて直接身体を攻撃できる。
体の中の空気が全部抜けたコイツはお腹を押さえて膝から崩れ落ちる。背後に回った僕にその首を無様に晒しているにも拘わらず、何も反応しようとしない。
動いた先に、殺られたフリをして倒れている馬鹿がいたから刀を抜いて脳天に突き刺す。師匠曰くいくらステータスが高くても急所である心臓や脳みそを潰せば一撃で倒せるとのこと。
やられたふりをしていた奴は僕が刃を突き刺そうとしているのに気付くことなく、簡単に突き刺された。
「ぴぎぃぃっ!!?!」
「ふっ」
脳天に向けてそのまま切り裂いて真っ白な光をぶちまけながら消滅していく馬鹿。あと、立て直せると思ったみたいで崩れ落ちた馬鹿が動こうとしたので後頭部を思いっきり鞘で殴り飛ばす。
「ガッ!!?」
吹っ飛んだ馬鹿は他の倒れている人を巻き込みながら地面とキスして停止した。
あの様子だと行くまでに三人くらいは奇襲してきそう。まぁ視えてれば対処できない相手じゃない。
あくまで気が付いてないようにゆっくり進んでいく。そろそろかな?あと3歩くらい進めば其の辺の奴が起き上がりそう。
「バカめ油断したなくそがっ!?!?!?!?」
「『神斬雲雀』どっちがだろうね?」
起き上がった直後に鼻頭から上を一閃。この馬鹿達顔見せたいのか頭を隠さないから頭部を狙いやすい。噴水みたいに吹き出す光と共にまた一人消えていく。
「てめぇ調子にぎぃぃ?!??!?!?!?!?!?」
「なに?」
「う・・・・そだr」
「バレバレ。死んだふりするならちゃんとやって」
起き上がりながら、僕が置いた刃で自分から斬られていく馬鹿。そのまま光となって消えていく。だんだん毒が完全に回ったみたいで光になって消えていく馬鹿の数も増えていった。
「て・・・・てめぇ・・・・・この前までと全然違うじゃねぇか・・・・!!!」
ぶたれた後頭部を押さえながら立ち上がる馬鹿。強がっているけど怯えてるのが見え見え。ホントどうして僕はこんな奴らの言うこと聞いてたんだろう。
「こっちが本物だよ?僕も最近わかったばかりだけど」
「この・・・・クソガキがぁぁぁ!!!!テメェらもういい!!囲んでなぶり殺しにするぞ!!」
ほとんど光になって消えていくなか、死んだふり、殺られたふりをしていた馬鹿が次々と立ち上がる。4人、思ったより少ないかも。
「このクソガキ!!!少し強くなったからって調子に乗りやがって!!」
「うん。そうかも。”強くなった”からこうして本心で話せるようになれたんだ。そのきっかけをくれた皆さんには感謝してますよ?」
何をやってもそれが自分の本心なのかわからなかった少し前。子役を休業して学校に行きたいってわがままをいった時とは全然違う。
これが機嫌の悪い時の本当の僕だってわかったし、嬉しい時の僕、心の底から泣く僕も知った。
人と話すのが本当はこんなに楽しいものだって知れたし、初めてお父さんお母さん、あとバカ姉と本心で喧嘩できた。その後に愛さんとバカ姉、お父さんとお母さんも含めてみんなで泣いた。
そのキッカケをくれたのは師匠だった。そしてその師匠に会うキッカケをくれたのは目の前の馬鹿達だ。それだけは心から感謝してる。
「死に晒せクソガキャッ!!?」
「『鏡雀』!!か・ら・の!!!」
「野郎調子にのっ!!?」
「隙だらけだ!!喉貰いィィィ!!!」
「あぎゃぁぁぁっぁ!!??!?!!」
「眼球ガラ空きィィ!!!!!」
「調子に乗るなよくそガキぃ!!??!?!!?」
「『血眼雀』!!!」
一番近くにいた人の首を切り落とし、次に向かってきた人の喉に刃を突き立てて、無謀にも突っ込んできた馬鹿の眼球を鞘で潰して、勢いをそのまま利用して眼球を後頭部から外に吹き飛ばし、最後に正面からチャンスと突っ込んできたバカの鎧の脆そうな所を見つけて喉から抜いた刀をそのまま深く突き刺す。
思ったよりもあっさりと終わって四人全員が光になって消えていった。ステータスに物言わせて弱い者いじめとか、格下相手にしか戦ってこなかった。
もしくは数で囲んでゴリ押しくらいしか戦い方を知らないみたい。それが悪いとは師匠は絶対に言わないだろうけど、師匠と一緒に戦ってるとそれじゃぁ追いつけないとわかる。
バカ姉やミーさんと少しだけ一緒にモンスター倒したけど、戦い方を知っている人の戦い方だってわかる。
そして今の僕じゃ師匠だけじゃなくてバカ姉にもミーさんにも勝てないんだって思い知った。けど悔しくなかった。だってバカ師匠の弟子だから。今は無理でも必ず追いつける。
バカ師匠の言葉は不思議と信じられるから。
「な・・・・なんでだよ・・・!!!?なんでレベル26のテメェが80超えた俺らを倒せんだよっ!!?」
あぁ、そう言えばこの馬鹿は相手のレベルを見られるんだっけ。でも全部レベルでしか相手の強さを見られないんじゃ強くなれないね。
「ねぇ知ってます?このゲームのすごい所」
「な・・・・何を・・・いって・・・!!?」
おびえている馬鹿。装備として毒瓶を持っていたから武器はない。バカ師匠みたいにたくさん持てるわけじゃないからもう素手だけだ。しかも演技だとしてもまともに喧嘩したことないタイプ。
「現実と同じなんです。いくらステータスが高くとも人間の急所を突けば倒せるんです」
「く・・・くるんじゃねぇ!!?」
一歩、また一歩前に進んでいく。後ずさる馬鹿。一見すると逃げる気だけど、誰かの短剣を体の後ろに隠しながら見せないように必死に隠してる。油断したところをぶっさりやるみたい。
「レベルやステータス、装備にスキルは弱点を補うために使うんです。逆に言えばそれができてない相手に対してはどれだけ高くてもやり方一つで勝てるんですよ」
「くるな・・・・くるんじゃねぇ!!!」
「今言ったことを覚えて実行できるならしてみるといいですよ、そうしたら貴方も強くなれるかもですね」
「くるな・・・・くるな・・・・・しねくs「あと、僕相手に演技するならもっと上手にやってください『神斬雲雀』!!」・・・き・・・・?」
ぼとりと落ちる胸上、ずり落ちていく自分の体を見ながら馬鹿は消えていった。
「うん・・・・これで少しは師匠と一緒にいても大丈夫かな?」
「なんじゃお主、気にしておったのか」
「そりゃだって僕はこのばかどもにぃぃぃx!!?!?!??!?!」
なんでいるのさこの狐!?バカ師匠と一緒に逃げた相手追いかけてたじゃん!!?
「今私刑執行中じゃ。血が出るかもしれんと言われたのでな。お主の様子を見に来たのじゃ」
「な・・・・ななな・・・・・!??!!?!?!!!????!!」
「子供は成長が早いとは言うが、お主はまた一段と早いようじゃのう?それに戦い方も師匠に似てきたのう?」
「ななななななななななななな!!?!?!?!?!??!!!?!!?!?!?!?」
「師匠の言葉をちゃんと全部覚えておったのじゃのう?師匠大好きじゃとこの戦いを見てる者たち全員に伝わったのを理解しておるか?」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!??!?!?!?!!??!!??!?!?!?!?!!!???!?!」
――――◇――――
――――ギャァー!!
「なんか悲鳴あげてんなあいつ」
「こ・・・・こんなに・・・・一方的に・・・・!!?」
残っているのは10人ほど。剣士に槍、魔法ジョブが二人とハンマー装備一人、クロスボウとあと一人、コイツはまた珍しい武器だな。手甲鈎とは。
手甲鈎とは忍者が使っていたとされる鉤爪のようなものだ。メリケンサックのように指に嵌めるタイプと手の甲につけるタイプがあるが、目の前の奴がつけているのは後者のようだ。
「狼狽えるな!!魔術師はなんとか捕縛しろ!後のやつは一瞬でいい!奴の動きを止めるぞ!!コイツさえ倒せればまだ勝機はある!!」
リーダークソイケメンの闘志が死んでいないことは素晴らしい。戦いのさなかに怯えたり、動けなくなったら終わりだ。
そんな時に仲間を鼓舞出来るやつがいれば状況は立て直せる。そういう支え的な存在になることがリーダーに必要な要素だと俺は思う。やっていることは外道だが、リーダーとしての資格はそれなりにありそうだ。
「コヨミ、下がってろ」
「・・・ごめんなさい」
未だ震えているコヨミを後ろに下げて出方を伺う。イケメンどもはリーダーの指示に従いにゆっくりと距離を詰めてくる。こういう行動ができるのもリーダーの統率力あってこそだな。
「だから頭を先に潰す」
「『十文字切り』!」
「『神速槍』!」
「『渾身撃』!」
「『疾風一閃』!」
「『飛王爪』!」
「狙いが甘い。せめてもう少し引き付けろ」
波のように次々とスキルによる攻撃を繰り返してくる。左右に体を揺らしやり過ごしていく。一度に向かって来ることなく、一人終わればまた一人と交代しながら技を繰り出し、空いた隙を埋めるようにクロスボウの矢が放たれる。
一見隙がないように見えるのだが、スイッチする瞬間全てに隙がないわけじゃない。矢の装填の速度がそこまで速くない。
それと剣士の技発動後の硬直が多い、槍持ちも神速という割には速度が速くない。初心者の鏡雀を見ているような速度だ。唯一クソイケメンリーダーの手甲鈎の攻撃だけが隙が少なく硬直時間も少ないが、他の連中がついてこれていないので逆に狙いやすい。
そう言えば魔法職がなんとかって言ってたな。何かされると面倒だ。詠唱の邪魔してくるか。
「避けないと死ぬから死ぬ気で避けろよ?『初月雀』2羽」
「彼の者を拘束せっ!!?」
「あぶなっ!?」
邪魔することが目的なので地面を這わせるように斬撃が飛んでいく。目で見えるので詠唱中の魔法職は目視で回避できたようだ。
回避できたが詠唱は止まった。ちょうど背中からクソメンリーダーが首を刈り取らんと目を光らせて迫ってきているので後方廻し蹴りで顔面を捉える。
「ガギッ!!?」
「こっからでも月光真流は使えるんだぜ?奥義『波紋水月』」
波紋水月は対象の身体全体を揺さぶる奥義。衝撃は振動に変わり、振動は神経を狂わせる。本来足を動かすための神経信号が別の部位に指令を飛ばす。
極端なことを言えば全身を揺らし続ける振動で体を液状化させる。要は動きを狂わせて液状化現象を起こし相手を葬る奥義。
「スマン足が滑ったってか?」
「アガッ!?」
顔面に叩き込んだ蹴りが突き刺さりリーダー糞イケメンは大きく吹き飛んでいく。その隙を突くように飛びだしてきた緑頭の男。
「死ねやクソ野郎!!!」
「『白月』」
蹴り飛ばした勢いをそのままさらに加速させて武器ごとその頭を蹴り潰す。頭が胴体から別れを告げて、体はもたれ掛かるように首から俺に向かって落ちてくる。ちょいグロかもしれないけど、ちょっと脅しとくには使えるか。
「ちょっと擽ったいぞ?」
右手を吹き飛んだ首元に突っ込み、肋骨らしき骨をがっしりと掴む。そのまま大きく剣を振るうように振り払う。そのまま地面に力なく落ちる体だが、肋骨をガッチリ掴んでいるのでされるがままだ。
「おっと」
スキルの影響なのか飛んだ首が胴体に吸い寄せられるように戻ってくる。デュラハンかよ。
とりあえず断面から手を突っ込んで潰さないように肉を掴む。右手には体、左手には頭。
「キモいけど使えそうだな」
「 」
ガッツリ引いているクソイケメンどもに向き直る。完全に怯えているが、俺は悪くない。首を吹っ飛ばしたのに生きているのが悪い。
と言うか俺に死体を預けた時点でこうなる可能性を視野に入れないのが悪い。よって俺は悪くない。真っ白い液体が体中に付着し気色悪い。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいい!?!??!?!?!?!?!!?!?!?!」
「逃げんなコラ『月火』」
「へけ・・・・?」
頭を思いっきり『月火』で逃げ出そうとした奴にぶん投げる。空気抵抗でグチャグチャになりながら、その肉片が散弾のようになり、周辺にいた他の前衛職の奴らの全身に風穴をあけた。
うん。これ多分完全に戦意喪失待ったなしだろうな。なら決めに行くか。
掴んだ体を正面に持ってきて手を抜いて宙に置く。先ほどの『波紋水月』はしっかりと流れているようだし問題ないか。
「月光真流奥義『水月天鎖』」
水月天鎖
相手の力を暴発させて吹き飛ばす奥義。血の流れや筋肉の動きも力に含まれるのでほぼ一撃必殺の奥義。
先ほど使った『波紋水月』は相手に衝撃を循環させ振動させる奥義。それを受けた状態でこいつを叩き込めばその衝撃は暴走を始めて体外へと出ようとする。
光る固体と液体をぶちまけながらその体は砕け散った。地面を汚す光る個体が粒子となって消えていく。
その光景を見た残りほぼ全員のクソメンはガクガクと体を震わせ、顔を真っ青にしながら何度も歯を揺らす。
「さて、お前らはどうやって終わらせて欲しい?」
これでほぼ全員無力化完了だ。あと二人。
「んで?そこの見た目が完全に現代風で殺人鬼風のファッションのお兄さんは殺る気に溢れてんな」
「ニャハハハ!!そりゃそうっしょ!?目の前でこんなすげぇバラシ方見せられちゃ俺だって殺る気になっちゃうよ!!」
大ぶりの出刃包丁を振り回すフード付きパーカーに黒のズボン、世界観ガン無視ファッションの男性。他のプレイヤーとは雰囲気が全然違う。キャラメイクも整ったモノではあるが、他と比べるとそこまで目立つ顔立ちではない。
「傭兵かなんかで雇われたか?」
「そんなところ!いやぁね?『いくらでも積むから護衛してくれ!』って慌てた声で呼ばれたからびっくりしたけどさ!来てみればまぁまぁ!最近有名になってきてるアールさんじゃん?俺としてはソッコー殺り合いたかったのんだどさ?そこの木偶の坊の依頼で動けなかったわけよ?」
「はっ、つまり目の前で気絶したから枷が外れてもう自由だってか?」
ニンマリを笑みを浮かべる男はとても嬉しそうに首を振った。それを見て戦意を喪失していたイケメン共がざわつき始める。『もしかしたら・・・・』『勝てるかも知れない』なんてさっきまでの恐怖を忘れて起き上がり始める。
「しゃーねぇ、全員まとめて元いた場所に送り返してやるよ」
「ノリがいいね!!じゃぁ殺り合おうか、と言う前に、先にこっちだね」
次の瞬間、男は立ち上がり始めていたイケメンどもの首をその出刃包丁で撥ね始めた。首だけじゃない。四肢に腹部、切れそうな所を手当たり次第解体し始める。
切られた奴らも何が起きているのか理解出来ず、そして声を上げられずに次々と切られていく。気が付けば一瞬で周囲は血の海に変わっていた。光エフェクトではない。本当に赤い血だ。
「随分とヒデェことしやがる。雇い主だろ?」
「ノンノン!俺の雇い主はそこで伸ばされちゃったしね。それ以外は皆獲物だよ」
真っ赤な液体が滴る光景を見てうっとりしている。おいおい。マジモンの殺人鬼ロールにしては決まりすぎじゃないか?いや、運営から手出しがないことを考えれば大丈夫ってことではあるんだろう。
「まぁいい。所で普通はプレイヤーが切られたら真っ白な液体のはずなんだが?」
「この『殺戮出刃包丁』で切られた相手は真っ赤な体液を撒き散らしながら倒れていくんだよね。『状態異常:裂傷』一定時間経過しないと回復できない状態異常で、しかも時間経過でダメージ。すごいっしょ?三十分で50人PKした時に手に入れたんだ」
つまり目の前の相手は正真正銘プレイヤーキラーってことか。随分とまぁとんでもない奴を一時的とは言え加入させたな。
「けど良かったのか?そんなこと俺に教えても?」
当たるつもりは元よりなかったが、そんな事を聞いては余計に当たる気がなくなった。俺に対するハンデのつもりだろうか?
「いいんだよ?だって・・・今から君が死ぬんだからさぁ!!」
「完全に殺人鬼の発言だなおい」
怖しい笑みを浮かべて出刃包丁を持って突撃してくるPK男。速度は結構速い。対人戦のエキスパートとも言えるPKだ。対人スキルは相当あるだろう。
合わせるように『真刀:戯』を構え、間合いに入ってくるのを待つ。どうせ避けるとは思うけど物は試しだ。
「ヒァハァァ!!!!」
「『鏡雀』」
「それ知ってますぅ!!!」
鏡雀の間合いは把握していたらしい。当たる寸前で大きく二段ジャンプ。横一線になぎ払った鏡雀を避けて上から飛んでくる。
「知ってるよ!!天匠流って間合いにさえ入らなければ対処できるって!!しかも上に対応できるのはないはずだよね!!」
振り下ろされる出刃包丁。なるほど、天匠流に関して色々知識はあるわけだ。それを見越して真上からの切り下ろし攻撃。出刃包丁の切れ味は相当なものだろう。三代目の『双極剣』程じゃないとしても人体をスパっと切ってしまうのだ。
刃に触れればアウトと考えていいだろう。
言ってることもあながち間違いじゃない。基本的に居合い切りは正面の相手にする技だ。真上とか真後ろとか相手だと分が悪い。別に出来ないわけではない。ただ少し難しいだけだ。けど確かにコイツが今言うように”回避”するのは分が悪い。なら”回避しなければいい”。
ガンッ!!
バキィィィ!!
金属同士がぶつかり合って響く音。そして金属が砕ける音がする。砕けた刃がチクチクと素肌に当たるが怪我をするほどじゃない。少し擽ったいくらいだ。
「はぁぁ!?!!??!!なんで!?なんで俺の出刃包丁が砕けっ!!?」
「『水無月写鏡』」
「ガヒッ!!?」
あいにく”包丁砕くために”衝撃を全部使ったから残っていた僅かな分しか回せなかったので一撃必殺とはいかなかった。腹に叩き込んだ掌底に悶え倒れているPK男は顔だけをこちらに向けて驚愕の表情と共に言葉を発する。
「な・・・なにをした・・・の・・・?」
「ただ砕いただけだ。技名なんてない。拳に衝撃を載せて白羽取りのように左右から破壊点をぶん殴る。そんだけだ」
技名を付けるまでもない。ただの白羽取り。
リアルハードモードにて、俺が弟子入りした師匠に最初に教えられた”師匠曰く本来の月光真流の基礎”『白月』そして『水無月写鏡』ではなく、白羽取りという名の武器破壊。
いきなりすごい刀とかではなく、それこそ鈍ら刀だけど、それを一撃で壊すような白羽取りをする。それが俺の師匠が最初に教えてくれた事。何を言っているのか理解するまでには少々時間がかかったのはいい思い出だ。お陰で武器を見ただけでどの辺叩けば傷つけられるかはわかるようになった。
――――『攻撃は時に最大の防御になる。余の弟子になるからには忘れずに覚えるのだぞ?まぁこれには技名なんて大層なものはない。余が教える月光真流・・・いや、あえて月光流と呼ぼう。月光流においてこれは基礎中の基礎。出来て当然の芸当である。二ヶ月ほど繰り返せば小僧でも出来るようになるはずだ。では始めるとしよう』
あんな濃い修行時代もとい愛弟子時代忘れたら俺はなんにも覚えてられないよ。ゲーム内年齢14歳にやらせる修行じゃねぇ。現実も大した差はなかったけどな。
「あ・・・ちゃぁ・・・・わすれった・・・・天匠流“だけ”じゃなかったの忘れてた・・・・」
男は苦笑いしながら仰向けにゴロンと転がり、諦めたようにこちらに頭を向けて大の字になっていた。
「さぁ、武器を失った俺ちゃんに勝ち目はないからサクっと殺っちゃってよ」
「そうかい。ならその潔さに免じて一撃で決めてやるよ」
誘いであるのは見え見えだが、あえて乗ってやろう。最後に何をするのか見てみたいというのもある。一歩ずつ足元を確認するように大の字に寝転がる男のもとへと歩いていく。
「一ついいか?」
「なんスかぁ?負けなんでなんでも答えますよ?」
よく言うよ。さっきから手に何かを隠しているのはわかりきっているのに。
「腕の中に隠してるそれはいつ使うんだ?」
「やっぱりバレちゃいましたよねぇ!!」
地面を滑るように、いや、実際背中で滑りながら一直線に俺の方へと向かってくる。摩擦とかないのだろうか、面白いように素早く滑るのだ。
男の両手から出てきたのは三徳包丁。巨大出刃包丁ではなく、よくある三徳包丁。勿論血付き。セット装備かよ。
「足貰いぃ!」
「やらねぇよ『鋏波撃ピスケキャンサー』」
「ふげっ!?」
本来は相手の体に直接叩き込むのだが、地面の正面に波紋のように衝撃を叩き込めば揺らすこともできる。
特に地面に頭をつけてる状態だ。揺れる感覚は相当なもんだろ?そしてこの揺れで衝撃の充填は可能。人一人くらいやるなら十分だ。揺れにより向きを崩し、俺の横を通過していく男。表情には今度こそ完全に『オワタ』と出ていた。
「言い残すことは?」
「背中には気をつけな」
「『波紋水月』」
ザクロのように飛び散る頭部が消えていき今度こそ決着である。
「背中に回れるもんなら回ってみせな」
俺の後ろにそう簡単に迫れると思ったら大間違いだってことを今度改めて教えてやるよ。これでとりあえず残り一人。
「いい加減に起きたらどうだ?寝たふりとかバレないと思ってんの?」
「・・・・」
無言のままゆっくりと起き上がる蹴り飛ばしたリーダークソイケメン。追い込まれているはずの奴の表情には気持ちの悪い笑顔が浮かんでいた。
ルーク自爆。と言うかアール相手に稽古付けられているから対人戦闘スキルがかなり上がってしまった模様。普通に初期の頃の鈍ら刺し殺しを今では一時間で60はできる模様。
水着PU2コンプリート。バニー!スタァ!!ジェット!!!
最高かよ。
また石貯め生活に戻ります。今度は何個集まるでしょうかね。
因みに今回の話で登場したPKですが以前募集していたキャラ案より
ZERO 様の『レイエル』
登場してもらいました。キャラ設定的にここしかないと思ったのです私




