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幼馴染との交流 大島清音said

朱鷺さん達6人を見送った後、


「あなたたち、何かお話があったから残ったのでしょう?ここは誰からかちょくちょく来ますから、仏間でお話ししたらどう?」


お婆様にそう促され、私達は仏間に移動しました。

先程ご挨拶させていただいた部屋が仏間です。

床の間の横の扉がお仏壇でした。


「あぁ、今は開かれていますね」

「閉まってたの?」

「えぇ、先程こちらでご挨拶をさせていただいたのですが、その時は閉めてありました」

「ふぅん、気を使ったのかな?」

「気を…使われた?」

「ほら、今は仏壇がない家もあるだろう?怖がるんじゃないかって思ったんじゃない?」

「そういうことですか」


竜樹さんが大きめの座卓を用意してくれています。


「あの写真は朱鷺さんのご両親でしょうか?」


二枚の写真。

とても綺麗な男性と、綺麗な中に可愛らしさがある女性。


「あぁ、おじさんとおばさんだ」


朱鷺さんはどちらかというと父親似でしょうか?

両方がうまく混じり合っているように見えます。

あぁだから朱鷺さんはとても綺麗で可愛いのですね。

…でも、お母様とは何処かでお会いしたことがあるのでしょうか?

見覚えがあるような気がします。


「ご両親にもご挨拶させていただきましょう」


私は仏壇お前に正座し、手を合わせました。


「朱鷺さんにお会いできたのはご両親のおかげです。ありがとうございます。これからも朱鷺さんのお側に侍ることをお許しいただきたいと存じます」


そう祈ると、


「…ぶっ…お前…お側に侍るって……」

「たぶん…側で支えるってことだとは思うんだけど…」


2人が半笑いで軽く引いていました。

…いましたが、


「やばい、朱鷺にしなだれかかる大島を想像した!」

「あら…意外といい感じかも」


楽しんでもいるようです。


「私としては、朱鷺さんが私にしなだれかかるというシチュエーションの方が好みですね」


隣を開けてくれたので、私は竜樹さんの横に座りました。

寛ぐよう言われたので胡座をかきます。


「あー…そっちかぁ」

「朱鷺じゃ、しなだれかかられるのは無理ね」


ミィナさんは頬杖をつきクスクス笑います。

竜樹さんは腕組みし、


「朱鷺に色気を求めちゃダメだ」


うんうんと頷きます。


「そうでしょうか?朱鷺さんは時折とても色っぽい表情や仕草をされますよ?」

「確かにそうだけど、あれ、無意識だからだぜ」

「自分から色気振り撒くのはできないわ。ていうか、すっごい恥ずかしがると思う」

「でも、一昨年の文化祭、女装した時はできてたよな?あいつの中の線引きがどこなのかわからん…」

「あぁ、あの劇ですね。白鳥の湖、拙いながらもいい出来でしたよ。女装男子の中、抜きん出て朱鷺さんのオディールは最高でした」

『なんで知ってる?!』

「朱鷺さんの晴れ舞台です。見逃すはずがありません」


なにを当たり前なことに驚いているのでしょうか?


「朱鷺の言った通り、ストーカーだな」

「朱鷺にとって害がないからいいんじゃない?」

「まぁ、朱鷺が承知してるし、いいか。…いいのか?」

「朱鷺自身が認めてるもの」

「だよな」


ここでもストーカー扱いですか。

私はストーカーじゃないのに。


「ともかくとして、時間もあまりないことだし本題にうつらない?」

「…そうだな」

「そうですね」


頷き合った。




「なるほどね、元凶はわかった」

「朱鷺、詳しく話してくれないんだもの」


一通り、転校生が来てからの経緯を詳しく話しました。


「それで、その自称正義の味方のことはどうするんだ?」


私は一つ溜息を吐きました。


「…なにも」


そう、なにもしない、そう朱鷺さんは言いました。


「は?」

「対処しないの?」

「朱鷺さんは放っておくつもりのようです」

「はぁ?!」

「実害は出ていないからなにもしない、とのことです」

「なに言ってるのよ!出てないって…朱鷺は被害にあってるでしょう?!」

「私もそう言いましたが…」

「朱鷺は放っとけと言ったわけか」

「えぇ」

「あぁもう、なに考えてるのよ」


私も疑問に思いました。

ですから昨日もう一度お聞きしたのです。


「朱鷺さんは、今はなにもしないけれど状況によってはこの先はわからない、そう言ってニッコリと笑みを浮かべました」


えぇ、微笑まれました。

その笑みは見惚れるほど艶やかで美しく、身も心も凍りつきそうでした。


「あー…、わかった。うん、大島…」


竜樹さんが私の肩を労るように叩きました。


「がんばれ?」


そこで疑問形ですか!


「とりあえず今は様子見してるってことなのね。相変わらず朱鷺の基準点は他人寄りよねぇ」

「…で、大島、お前、事情どこまで知ってる?」


竜樹さんは表情を改めて私を見ました。


「そうですね、3年間で私が調べられた範囲は全て…でしょうか。大まかに、出自と育った環境、置かれている立場…くらいですね」

「隠してることほぼ全部じゃねぇか。あぁでもお前ん家、朱鷺から聞いたけど、日本舞踊の家元らしいな?」

「えぇ、そうです」

「…大島流?」

「はい」

「だったら仕方ないか。一応関係者だし、守秘義務あっても身内には多少もれるだろう」

「でも、さすがに個人情報は口にしないはずよ。6年前のこともあるし」

「…それもそうか。でも、お前はそこそこ知っていると」

「はい、断片を繋ぎ合わせて調べました。あと、あなたに見覚えがあったんです」

「え?私に?」

「一つ上の姉が薙刀をやっていまして…」

「あー……試合かぁ」

「一年なのに強いと姉が言っていました」

「…学校と名前から朱鷺に行き着いたってわけか。」

「さすがストーカー」

「ストーカーではありません。私はただ朱鷺さんを全力で愛しているだけです。朱鷺さんのために働きたいと考えているだけです。見返りなんて求めてはいませんから」


何度もそう言われているので、最近、自分でもそうなんじゃないかと思い始めてきましたが…


「なるほど、むしろ狂信者に近いと」

「やだ、さらにやばいんじゃない?それ」


狂信者って…

いやむしろそっちの方が近い気もします。

でも…


「あなた方も似たようなものでしょう?」


この2人も同じ穴の狢でしょう。

こうやって、話し合っているくらいですし。


「…確かに、愛してる云々は別として否定はできない」

「あら、私は恋愛とかの意味じゃなく朱鷺のこと愛してるわ。大切な幼馴染だもの。…そういえば、竜樹は朱鷺のこと嫁にするって言ってたわよね?」

「お前それいつの話だよ」

「ほほぅ、竜樹君は朱鷺さんをそのような目で…」

「大島、その目怖いからやめてくれ。視線で殺されそう」


そう言っていますが、実際、竜樹さんの朱鷺さんを見る目には愛情が溢れています。

時折劣情も垣間見える視線でした。

先程も…朱鷺さんが悠貴を揶揄っている時も彼の目には朱鷺さんへの好意と悠貴への嫉妬が見え隠れしていました。

自覚が有る無しは別として…ですが。


「じゃぁ、大島くんには色々話しておいてもいいってことかしら?」

「そうだな、話しておいた方がいいかもしれない。その方が朱鷺のフォローをしてもらいやすいと思うし」

「色々…ですか?」

「お前も詳しく知りたいだろ?」

「そうですね、朱鷺さんのことに関しては全てを知りたいと思ってます」

「まさしくストーカーの鏡だな」

「狂信者にランクアップしたばかりじゃない。…ランクダウンかしら?」

「方向性が違う気がする」

「もう、どちらでもいいです」


話がずれていくのはこの2人の仕様なのでしょうか…


「とりあえず、順を追って話すよ」

「私たちも全部知ってるわけじゃない。聞いた話からの推測も混じってるから」

「でも、朱鷺にはだいたい合ってると言われた」


私は頷き居住まいを正しました。

だらけて聞くような話ではありませんから。


「まずは本家の話から…」





その後、話し合いで色々と知ることができました。

お互いに連絡が取り合えるようアドレスも交換しました。

お婆様を手伝いながら色々考えてしまいます。

朱鷺さんに課せられた務め、(しがらみ)、そして…お体のこと。

文字通り、身を削っていたなんて……


「清音、手伝ってくれてありがとな」


背後から朱鷺さんが肩越しに覗き込み、ドキッとさせられました。

ふわりと香るのは石鹸と水の匂い。

首筋に朱鷺さんの髪から垂れた滴がかかります。

…えっ?


「おっ!筑前煮だ。味付けはお前?」

「は、はい、お婆様に教わって作らせてもらいました」

「ふぅん…味見する。ぁ」


そう言って肩越しにパカッと口を開きます。


「あ、はい。どうぞ」


つられて開けられた口に人参をフゥフゥ冷まして入れました………入れま…し…たぁ?!


「ぁあぇええぇぇぇっ?!」


アーンからのパクッて!

何やらかしてくれやがるんですかクッソエロ可愛い!

そのまま肩に顎を置いてニコニコしながらのモニュモニュ咀嚼って!!

ちょ、ちょっと待ってください可愛すぎますどうしましょう、顎がカクカク当たって痛い嬉しい湯上りエロい髪の毛冷たい擽ったい気持ちいい石鹸と何これフェロモン?いい匂い背中に感じる体温とさりげなく抱きつくように腰に回された腕にムラムラまずいやばいこれダメなやつ押し倒すぞテメェ?!


「おい、髪ぐらいしっかり拭け」


内心パニックで硬直している私から、悠貴がタオルを朱鷺さんの頭に引っ掛けるようにしてやや強引に引き剥がしてくれました。

声に苛つきを感じるのは気のせいでしょうか?


「あぁもう、ちゃんと拭けって」

「夏だからすぐ乾く」

「ダメだ、ほら、頭こっち向けろ。…ったく、お前意外とだらしないのな」


悠貴が朱鷺さんの髪を拭いています。

口の端が少し上がっています。

先程感じた苛つきはやはり気のせいだったようですね。

でも、朱鷺さんに対している時に、悠貴の機嫌がいいのは珍しいです。

朱鷺さんも何だか嬉しそうにお世話されています…


……悠貴、ちょっとそこ代われ。


じゃなくて…


あ、危なかった…

もう少しで襲うところでした。

自分の家だからでしょうか、朱鷺さんが無防備すぎます。

こちらから近づく分には心構えができていますが不意打ちはまずいです。

学園にいる時と違って表情から剣が取れて柔らかいのも色々やばいです。

そして、そんな朱鷺さんの所為で私の語彙が絶滅寸前なのも深刻です。


こっそりと深呼吸をしてなんとか落ち着きましたが、本当に焦りました。

こちらにいる間は、朱鷺さんの動向には少し注意が必要かもしれません。

私の精神安定のために。



話し合いをした仏間にもう一脚座卓を並べ、みんなで食事をいただくことになりました。

竜樹さんとミィナさんもお母様の手料理を手に参加され、座卓の上も周りも賑やかです。

どこか温かみのある食卓に、四君子だけではなく私や悠貴もリラックスできました。

いえ、食卓が…ではなく、この家全体の雰囲気が清廉でありながら優しく温かいからかもしれません。


ただ、さっきまで開かれていた仏壇がまた閉じられているのを少し残念に思いました。




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