夏季休暇に向けて 敵対組織の拡張
昼休み、今日から手伝いは要らないと通達していたのに蘭竹梅の3人と菊地が手伝いに来た。
無事?菊地も親衛隊員となったらしい。
それどころか、2ーSの全員が昼休みを利用して入隊したという。
何やってんだ、あいつら。
「僕が入隊したと言ったらみんなが入るって言い出したんだ。Sクラスは入れないって思ってたって」
「朱鷺様、放課後お時間をいただけますか?新入隊員に挨拶をお願いしたいのです」
「またあの時の超クールな朱鷺様が見られるのかな」
「伽音、すでに朱鷺様と面識のある方々ですからあの時のような振い落しはありませんよ」
「あれ振い落としだったんだ!全員入隊したから入隊時の定石だと思ってた!」
うん、あの時は全員が入るとは思わなかったよ…
「そういえば、今日は大島様はお見えじゃないんですね」
「あぁ、仕事も落ち着いてきたから昼休みは風紀の仕事を片付けるって言ってた」
「それなら僕らがお昼休みに入りますね」
「いや、ひとりで大丈夫…」
『じゃないです!』
「朱鷺様をお一人にしてしまったらまたご無理をされてしまいます!」
「あぁぁぁっ!よく見たらこの書類、提出日週末だから後回しにしたものですぅぅぅぅっ!」
「ダメだ、やっぱり朱鷺様をお一人にはできない…私たちがなんとかしなきゃ…」
「え?え?え?どういう状況?」
騒ぎ出した蘭竹梅に引き気味の菊地。
でもいい感じで馴染んでるな。
うん、ワンコが増えた。
天パーの茶髪がトイプーっぽい。
『とりあえず、朱鷺様はこちらでお休みください!』
強制的にソファに座らされました。
「孝太郎くん、朱鷺様は限界まで働かれる方です。助けを求めることもあまり良しとはされません。そのせいで倒れられました。クラスでも気をつけていただけますか?」
「クラスの中までは私たちではフォローできません。お願いします」
「僕らはもう朱鷺様にお辛い目にあって欲しくないんだ」
「わかりました。クラス一丸となって朱鷺君…いや、朱鷺様をフォローさせていただきます!」
クラス一丸って…まいったな。
「菊地、フォローはありがたいから享受させてもらうが、頼むから“様”だけはやめてくれ」
「そういうわけにはいきません」
「せめてクラス内だけでも普通に生活したい。態度は今まで通りで頼むよ」
「しかし…」
「お願いだ、頼むよ」
座ったままで、立っている菊池をジッと見上げたら、
『はぅぅぅぅぅぅっ…』
なぜか4人とも胸を押さえて蹲ってしまった。
そこへ、
「こんにちは、様子見に…って、どういう状況ですか?」
大島が来た。
「何やってんだお前ら…」
深山を連れて。
「阿呆か…」
斯く斯く然々と話をしたら深山にそう言われた。
「その場におりましたら写真に残せたものを…」
そう言ってる大島は見なかったことにする。
「で、だ。深山は何しに来たんだ?」
「ただの様子見だ」
「は?」
意味がわからん。
「要するに、敵情視察ですよ」
大島がとても素敵な笑顔でそう言った。
「ふぅん…、あの人たちは僕らが敵だとそう言っているんですね?」
「桜庭とかいう輩は失礼極まりますね」
「一体何様だと仰りたいのでしょうか?」
「きっと自分のことを正義の味方や勇者とでも思ってるんじゃないかな?」
ワンコたちが怖いです。
「蘭竹梅に菊が加わりましたね。四君子ですか。朱鷺様の側使えとして箔がつきますね」
側使え?!
大島さん?
あなたは一体どこを目指していらっしゃる?!
「向こうが勇者ならこっちは魔王かな」
蘭?
何を言い出すんだ?
「魔王朱鷺様…似合いすぎ…」
一瞬こっち見たな、竹内。
どんな想像してる?!
「親衛隊はその家臣でしょうか?」
飛梅まで乗ってるし!
「じゃぁ、側近で参謀なのは大島様?」
菊地、設定を広げるんじゃない!
「おやおや、ではあなたたち四君子は魔王軍の四天王ということですね」
大島ぁぁぁぁぁぁぁっ!
「楡崎…」
深山、なんだその同情的な目は!
労わるように肩を叩くな!
「勇者サイドはどうしよう?桜庭くんは勇者で決定だよね?副会長様は賢者?」
「書記様は戦士か騎士ですよね」
「うんうん、会計様は遊び人、いや、ピアノがプロ級らしいから音楽関係で吟遊詩人かも」
「庶務の染井様方はどうしましょう?」
「ヒーラーは必須だよね。お二人とも神官でいいんじゃないかな?お二人とも中身は小悪魔系だけどぱっと見は癒し系だし」
「一緒に祈ると効果が上がるって感じですね。面白そう」
その手のことに詳しいらしい蘭と菊地が楽しそうに話している。
まぁ、俺もよくゲームはするから言ってることはわかるし、配役もいいなとは思った。_
俺が魔王なのはどうかと思うが。
「深山様はどうしよう?」
「斥候だから盗賊?」
「うーん…似合うけどなんかなー」
面白いこと思いついた…
「今現在ここにいるってことで、魔王軍に捕まっていると見做して囚われの姫君でいいんじゃね?姫君を勇者が救うってことで」
顔がニヤつく。
「なっ?!」
深山がこっちを見て口をぱくぱくしてる。
面白ぇ。
「ちょっとごつい姫君だけど…」
「そのギャップが面白いですね」
蘭と菊地も納得したようだ。
「くだらないことに俺を巻き込むな!」
ふん。
死なば諸共だ。
「あ、その表情、魔王っぽくていいですね」
大島がそう言ったからサムズアップしておいた。




