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驚愕の事実

「朱雀さん、このまま帰られますか?」


これからのことを考えながら自転車置き場に向かっていると、後ろから声をかけられた。


「大島…いたのか」

「えぇ、ずっといましたよ」


考え込みすぎて付いてくる大島に気がつかなかったらしい。


立ち止まり、微笑みながらこちらを見ている大島を見返す。

こいつは…


「お前はどこまで知っているんだ?」


軽く睨みつけると、


「私が知り得る事は全て」


大島は笑みを深くした。


「……ストーカー?」


あ、固まった。


「ち、違いますよ!」

「でも 、やってる事は違わないよな」

「違います!いや、まぁ、近い事はしていますが…」

「ほら」

「でも!…私はあなたに愛されたいとか、愛されているとか、自分の物だとか、束縛したいなどという烏滸がましいことは考えていません。ただ…、私はあなたをお慕いしているだけです」


告白されてしまった。


まぁ、鈍感じゃないつもりだからこいつが俺に好意を持っているのはわかっていた。


「私は以前よりずっとあなたをお慕いしております」


大島は静かに俺を見つめた。


「以前…」

「はい、あなたとお会いした時からです」

「俺と会ったのって今年になってからだろう?」

「一方的に存じておりました」

「去年からってことか…」

「いいえ、三年前からです」

「…はぁ?三年って…」

「当時私は太っていましたし、直接お会いしたわけではありませんので朱鷺さんは覚えてはいないかもしれません」

「……あの場所にいたってことか」

「はい、私はあの時あの場所であなたにお会いしました。その時から私はあなたをお慕いしております」

「ただ俺を見ただけなんだろう?」

「けれどそれで私は変われたのです。今の私があるのは朱鷺さんのおかげですから」


そう言って大島は綺麗に笑う。


「色々と調べた事は申し訳ないと思っておりますが、こうやってあなたの側にいられるのはその情報あってのことです。どうか私をお側に置いてくださいませんか?」


その縋るような目は反則だ。

絶対こいつ、わかってやってる。


それがわかっていても…


「勝手にしたらいい」


断れないんだよな。

それに、


「断っても来るんだろう?」


ストーカー紛いのことをする奴だ。

断っても無駄な気がする。


「えぇ、どんな手を使ってもお側に参りますよ」


すっげぇイイ笑顔だな。


「それで、どうされますか?私としてはあなたをこのまま直ぐに帰すのは不安なのですが…」

「不安?なぜ?」

「事故らないかと心配だからです。動揺がまだおさまっていないのでしょう?」

「わかるのか…」

「わかりますよ」

「さすが、ストーカー」

「…蒸し返しますか……」

「いや、……ありがとう」

「朱鷺さん?」

「その…、心配してくれて、ありがとう」


やばい。

なんか嬉しい。

顔が熱い。


「まずいです」

「大島?」

「私の部屋で休んでいってもらおうと思ったのですが、やめたほうが無難に思えます」


どういうことだ?


「あなたを部屋に引き込んでしまったら…押し倒してキスの一つや二つ、三つや四つ、それ以上のこともしてしまいそうです」


はぁぁぁぁっ?!


「その顔は反則。まずいやばいくっそ可愛いじゃねぇか!喰っちまいてぇ!」


可愛いって?!喰っちまうって?!

いやそれ以前に口調!!


「朱鷺さん、その不埒な顔は今後他人様(ひとさま)に見せるのは禁止です!いいですね!」


理不尽!



なんだかんだで結局生徒会室へ戻った。

動揺というよりも、桜庭桃矢に対するイラつきのためだ。


「お茶を入れてきますね」

「あぁ、ありがとう」


だらしなくソファに掛け天井を見上げる。


「どうすっかなぁ…」


とりあえず、本家へ連絡を入れることにする。


俺の行動を見越して席を外してくれた大島の、こういったさりげなさがすごいところだ。



ツーコールで出た。


「もしもし、はい、朱鷺です。ご無沙汰してます。……はい、元気です。ありがとうございます。……はい、…はい、…大丈夫です。ご心配をおかけしました。…いえ、お忙しいのはわかってますから。…はい、ありがとうございます。…はい、フォローしてくれる人もいますから大丈夫です」


相変わらず婆様は元気そうだ。

倒れたことで心配をかけてしまった。

本家の近くの高校への転校を勧められたけれど、大事な人が増えたから行く気はない。


「実は、少し気がかりなことがあって…、…はい、そうです。…いえ、うちの、楡崎の方にはまだ。……はい、学園です。…いや、まだ確証はありません。……俺も見えただけでよくわかりません。ただ、俺のことをはっきりとマガイモノだと言いました。…はい、知っていなければ出ない言葉なので。……桜庭桃矢です」


屋代池での顚末を自分の所見を交えて話し、桜庭の名前を言うと、婆様は黙り込んだ。


しばらく待つと、婆様はため息混じりに話してくれた。



他家のことではあるし、知ることで俺との縁を結びたくなかったため教えなかったと。


俺の母もそれを望んでいたと。


桜庭桃矢は母の妹の子、俺とは従兄弟になると。




驚いた。


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