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変わっていく関係 これが今の日常

「今日はこれくらいにしておきましょう」


肩を叩かれて顔を上げる。

集中していたらしい。


「まだ4時前じゃないか」

「もう4時、ですよ。病み上がりなのですから無理は禁物です」

「仕方ないな」


俺はひと息吐くとデスク周りを片付けた。


「休日返上で手伝ってくれてありがとう」


そう声をかけると、


「ここが楽園か…」


蘭、ここは生徒会室だ。


「そのお言葉だけで僕は死ねる」


いや、竹内、死ぬのはダメだろう。


「至福の時を過ごせました」


飛梅、至福は言い過ぎ。


「溜まっていた仕事もだいたい片付いたようですし、明日からは昼休みの業務は無しにしてもよろしいかと」


大島がそう言うと、蘭竹梅の表情が、落ちた。

思いっきりガクーンと。

原型とどめてないぞ。


「悲しみ…」

「神は死んだ…」

「大島様は私に死ねと仰るのですね…」


こいつらは…ったく。


「君たち、朱鷺さんの前ですよ。そんな見苦しいものをお見せしてもいいのですか?」


鶴の一声。

3人は気まずそうに顔を見合わせると、こちらへ向き直り、


『申し訳ございません』


合図も無しに声を揃えて頭を下げた。


本当に仲良いな。



「それはそうと、今日はまっすぐ帰られますか?」

「そうだな、久しぶりに行ってみたい所があるからそこに寄ってから帰る。倒れる少し前に行ったが、あの時は誰か来てゆっくりできなかったしな」

「寮裏の林にある屋代池ですね。今日は昼寝は禁止ですよ」

「なんで知ってるんだ!?」


大島はニコニコ笑いながら、


「あそこ、綺麗ですよね。祠脇にあるちょっとした空間は、木漏れ日が芝生に落ちてキラキラしてますし。よくそこでお昼寝されているのを見かけましたよ」


そう言って、スマホの画面を見せた。


「すみません。あまりにも気持ちよさそうに眠っていらっしゃるのでつい撮ってしまいました」


画面には寝ている俺。


「倫理的に宜しくないことですが、見ているだけで此方まで幸せになれそうで…申し訳ございません。気分が悪ければ削除しますが…」


言外にできれば消したくないと言っている。


「仕方ないな。お前なら変なことには使わないだろうから消さなくていいよ」


苦笑してそう言うと、大島は花が咲くように笑った。

こいつも綺麗な顔してるんだよな。

和風美人って感じだ。

茶髪のクセ毛だけど。


「朱鷺様の寝顔…」

「殺してでも奪い取る…」

「大島様だけずるいです!」


竹内、返り討ちにあう未来しか見えないからやめておけ。


ずるいずるいとキャンキャン騒いで大島にまとわりつく小型犬2匹と大型犬1匹。


「大島、それ、そいつらに送ってもいいぞ」


そう言った瞬間、グリンとこっちを見る3人。


爛々とした目が怖いよ!


大島はクスクス笑いながら3人に送信した。


『家宝にします!』


大袈裟だなぁ。

スマホを胸に抱いて宣言する3人はほんと、かわいいな。


そう思った瞬間、


カシャッ


シャッター音が聞こえた。


「大島?」

「つい撮ってしまいました」

『お、お、お、大島様ぁぁぁぁ!』


再びのクレクレ攻撃。

それ、ソシャゲでやるとダメだからな。


「久しぶりに見ましたよ、朱鷺さんの角の取れた綺麗な笑顔。柔らかく微笑んでますね」


そう言って見せてくる。

確かに笑ってるけれど…綺麗ってほどか?

まぁ、自分でも整ってる部類だとは思うけど、見慣れた顔だし、この程度だったらこの学園にゴロゴロいるだろ?


「この笑顔を引き出したのはこの3人と他の親衛隊員達でしょうね」


大島が写真を見ながら少し寂しげに言った。


「その功労に報いてこれは皆さんに贈って差し上げたら如何でしょう?きっと皆さん喜びますよ」


顔を上げこちらを向いた大島はいつもの大島に戻っている。


「そんなもんで喜ぶならいいぞ」

「では送りますね」


大島が親衛隊のグループトークに送信すると、一瞬後、ものすごい勢いでスマホが鳴りはじめた。

うん、みんな反応早いな。


「喜んでる喜んでる」


大島は楽しそうに画面を見ている。


「皆さん可愛いですね。でも、釘を刺しておきましょう」


大島は“拡散したり怪しげなことに利用したらいけませんよ。そんなことをしたら……”そう書き込んだ後、ニィィィィと笑ったアイコンを送った。

その瞬間、スマホの鳴動は止まり、数瞬後に再び怒涛の鳴動が始まった。


「これでよし」


無駄に清々しいな、おい。


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