⑶ 知恵と工夫
ここでは、電気、ガス、水道は使えない。
よって、作物は雨水で育てる。
だが、雨の降らない日が続いた時の為に、水やりの方法を考えなければいけない。
このスーパーの雑貨売り場には、工具類なども含め、様々なものが用意されている。
それを利用する事で、色々なものを作る事が出来る。
屋外用の大型120リットルのゴミ箱を、雨水タンクとして利用する事を考えた。
その他、止水付き散水ホース、ホースジョイントを拝借した。
庭を畑にする家に、それらを持って行き、2階のベランダに運んだ。
屋根に降った雨は、軒樋によって集められ、竪樋によって雨水管に流されている。
その竪樋を、2階のベランダの高さで切断し、ベランダに置いた雨水タンク(大型ゴミ箱)に雨水が流れるようにする。
雨水タンクの低い位置に穴を開け、ホースジョイントを使ってホースを繋ぎ、ホースの先を1階に降ろす。
これで、屋根によって集めた雨水を、ホースで畑に撒く事が出来る。
そんな方法で、作物を育てる予定だ。
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水道についてだが、当然のことながら上水は使えない。
だが、下水は使えるはずである。
小川から汲んだ水をトイレに流した。
問題なく下水は利用出来る。
これで、バケツに汲んだ水をトイレの前に用意する事で、トイレを利用する事が出来る。
しかし、毎回トイレに水を流す為、小川へ水を汲みに行くのも大変である。
そこで、作物を育てる家に作った雨水タンクを、私と詩織が住む家にも設置し、トイレに流す水として利用出来ないか考えた。
屋根で集めた雨水を、家の中へ引き込めれば良い。
庭に、水を撒く為の水道の蛇口がある。
その水道管に雨水を入れる事で、雨水水道が実現する。
最初に、水道メーターの元栓を閉め、逆流しないようにした。
そして、庭の畑にまく雨水タンクの装置をこの家にも作った。
次に、庭の蛇口の蛇口部分を外して2階から下ろした雨水ホースを繋ぐ。
家の中で、水道管は繋がっている。
バス、トイレは1階にある為、2階の雨水タンクに溜められた雨水は、バス、トイレで利用出来るはずである。
だが、屋根で集めた雨水をそのまま上水管に流しては、詰まらせてしまう。
そこで、ろ過器を作る。
もう一台、雨水タンクと同じゴミ箱を用意し、底の中心にピンポン玉ぐらいの穴を開ける。
スーパー3階の寝具売り場から敷布団を拝借し、分解してポリエステルの中材をゴミ箱の底に厚く敷く。
その上に、よく洗った砂を厚く敷き、その上にジャリ、その上に小石、その上にそれより少し大きな石を敷く。
これが、ろ過器である。
次に、雨水タンクの蓋の中心にも、ピンポン玉ぐらいの穴を開け、その上にろ過器を乗せる。
そしてろ過器に雨水が流れるよう、竪樋を切断する。
これで、ろ過された雨水は雨水タンクに溜まり、室内の蛇口から出てくる。
実験として、小川の水を汲んで2階ベランダまで運び、ろ過器に入れた。
確認すると、トイレで水を流す事が出来た。
そしてシャワーも使える。成功である。
しかし、どの程度雨が降り、どの程度の雨水が溜まってくれるかが問題である。
小川の水を汲み、2階のベランダへ運ぶくらいなら、1階トイレの前にバケツごと置いておいた方が楽である。
朝の集会で、その事を話した。
「この雨水の水道が、使いものになるか、わかりませんが、使ってみたい方は、この装置の製作に協力しますので、声を掛けて下さい」
そのように伝えたら、全員が使いたいと言った。
小川の水を汲んで2階へ運んででも、使いたいとの事。
女性にとって、シャワーが使えるという事が大きいようだ。
そこで、住んでいる家の全部に、雨水の水道を付ける事になった。
スーパー2階の雑貨売り場から必要な部品を各家に運び、全員で工作した。
そして、全員の家に雨水水道が完成した。
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スーパーの屋上から地面に伸びている太いパイプが目に入った。
スーパーの屋上に降った雨を、地上の雨水管に流す為のパイプだ。
これだけ面積のあるスーパーの屋上で受け止めた雨水である。
これは是非、利用したい。
問題は、雨水を溜める巨大な容器をどうするか。
そういえば、この町で学校を見つけた時、校舎の片隅に受水槽があった。
あれを分解して、ここで組み立てれば……かなり大変だが、出来ない事も無い。
その事を、朝のミーティングで話した。
「この町の近くに流れている小川へ、水を毎日汲みに行くのも一苦労です。この本部前で水を手に入れる事が出来れば、便利ではないでしょうか」
この提案に、全員が賛成した。
そこで、学校にある受水槽を分解し、ここへ運び、組み立てる事となった。
最初に、2階の工具コーナーへ行き、大型スパナを拝借した。
そして、全員で学校の校舎脇に設置された受水槽へ行った。
まず最初に受水槽給水栓を開け、水を抜いた。
次に、組み立て時に誤らないよう、各面に番号を書いた紙を貼った。
同じ形でも、分解前の通りに組み立てないと、隙間から水が漏れてしまう。
分解作業は、私とBMさんで行った。
分解しても、一つ一つの部品が大きい。
全員で協力して本部前に運んだ。
その時、BMさんが提案した。
「この水槽タンク、このスーパの2階に設置すれば、各家に水を引けるのでは?」
……なるほど、さすがBMさん。確かにそのとおりだ。
そこで、水槽タンクの部品を2階に運び、全員で組み立て作業を行った。
貼り合わせる面の防水ゴムを確認し、破損している箇所は防水シールを塗り、慎重に張り合わせながら組み立てていく。
一通り完成した所で、屋上からの雨水を流すパイプを2階の高さで切断して窓から引き込み、自作したろ過器を通して受水槽に流れるよう工作した。
次に、受水槽の出力側に高圧ホースを繋ぎ、私たちが生活する各家の庭の蛇口に繋いだ。
これで一度雨が降れば、各家で水を利用する事が出来る。
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次に、飲み水の問題である。
シェルターから持ってきた携帯ろ過器は、雨水や川の水などを飲み水に変える事が出来る。
しかしそのフィルターも、限界にきている。
自作したろ過器でろ過した水は、飲み水として利用出来るか、心配が残る。
そこで、スーパー2階のキッチン用品売り場から蛇口直結型浄水器を拝借し、各家のキッチン蛇口に取り付けた。
これで、飲み水を各家で利用する事が出来る。
しかし、この浄水器のフィルターにも寿命がある。
そして、スーパーにある浄水器の在庫にも、限りがある。
浄水器が使えなくなった時の事を、考えなければならない。
その時は、簡易的にろ過した雨水を、やかんに入れて沸騰させ、それを飲み水とするしかない。
その為には、火が使えるようになりたい。
そこで、薪を作る事になった。
2階の工具コーナーで伐採用のノコギリと手斧を拝借し、みんなで林へ行った。
薪は、生木を適当な大きさに切り、乾燥させたもの。
薪が用意出来れば、暖を取る事も出来る。
スーパー2階のアウトドア用品売り場から、薪ストーブを拝借し、各家に設置した。
薪ストーブは煙突工事をきちんとしないと、一酸化炭素中毒の事故を起こしてしまう。
煙突工事は、BMさんとB子さんに監督して頂いた。
薪ストーブが使えると、さまざまな料理を作る事が可能となる。
スーパー2階のキッチン用品売り場から、薪ストーブに合った大きさのフライパンや、なべや、やかんや……各自拝借して、自分の住処へ運んだ。
薪は、しっかりと乾燥させなければならない。
では、何処で乾燥させるか。
雨にあたらない場所。そして、ゆったりと広い場所が望ましい。
スーパー1階の食料品売り場で、生ものを廃棄した事で、広いスペースと棚が大量にある。
この棚を利用して、薪を乾燥させる事にした。
薪の乾燥には時間がかかる。
今から乾燥させて、備えなければならない。
冬を越してから始まる、ここでの生活の為に。
次回:休暇




