⑴ トレジャーハンター
今日は、朝から晴天に恵まれた。
シェルターから持ってきた小型ソーラーパネルを広げて、ドローンのバッテリーを充電している。
この充電が完了したら、ドローンを飛ばして、ここから北へ向かう歩道の先を確認するつもりだ。
ここを利用していた人は、車でこの歩道を利用していた。
となると、この歩道の先に、町があるのかもしれない。
充電が完了し、ドローンを飛ばした。
先日、畑を探す為に飛ばした時は、解像度を優先する為、半径3kmのエリアを写した。
今回は、半径6kmのエリアを写す。
ドローンでの撮影を終えて、画像データを確認した。
この歩道の先に、何があるのか。
しかし、この歩道は約4km先で、東西に伸びる幅の広い公道に繋がっているだけだった。
この公道の先は、写っていない。
公道の先を目指すのであれば、相当な距離を覚悟する必要がありそうだ。
残念な気持ちで上空写真を見ていたら、気になるポイントを見つけた。
歩道から公道に繋がった先に、整地されたエリアと、その隣に建物らしきものがある。
これは……もしかしたら……
皆を集めて上空写真を見てもらった。
「この整地されたエリア、車は確認出来ませんがパーキングですよね」
「となると、隣の建物は……」
「これは……あれだ……あれしかない!」
なんだなんだぁ? 皆さんもったいぶってぇ!
しかし、その予想が外れていた時の残念な気持ちは計り知れない。
何にしても、ここから片道4kmある。
しかし……もう皆さん、行くつもりだ。
BMさんが、倉庫からリヤカーを引っ張り出してきた。
おいおい、もしも空振りだったら、カラのリヤカーを引っ張って帰ってくる訳ですよね。
その時の悲しい気持ちは、想像するだけで心が痛い。
しかし皆さん、このテンションの高さは、何処から湧いてくるのでしょう。
そして、全員でリヤカーを引っ張って出発した。
片道4km。
歩く速さで約1時間。
しかもリヤカーを引っ張っての移動である。
ところが皆さん速い速い。
あっという間に着いてしまった。
車の止まっていない駐車場。
その先に見える建物は、期待どおりのコンビニだった。
電気が消えている。
誰もいないようだ。
扉は自動ドアで電気が来ていない為、開かない状態。
それを、むりやり開けた。
中は荒らされていない。
さすが日本人。
店内は、腐敗した生ものの匂いが充満している。
しかし私たちにとって、そこは宝の山だった。
缶詰、ビン詰、ペットボトルの飲料水、ビール、日本酒、ウイスキー。
また、栄養調整食品や、パウチ ゼリーなど、賞味期限が切れていないものも沢山ある。
その時、生活の拠点をここのコンビニへ移すのは? といった提案が成された。
しかし、残念ながら現在は、電気も水道も通っていない。
近くに小川のある現在の拠点の方が適しているのでは……という事で、生活の拠点を、ここへ移すのは諦めた。
そして私たちは、食べられそうなものを手あたり次第、リヤカーに積んだ。
本棚を見ると、いかがわしい本が並んでいる。
しかし、今は女性達と一緒である。
特に詩織のいる前で、この手の本には、手を伸ばせない。
するとアノンさんがその本を取って、ペラペラとめくって見ている。
そして「ふーん」と言って、私をチラッと見た。
しまった!
私の視線の先を捕捉されていた!
これは、恥しいぞぉ!
「さーて、他に持って行けそうな食料は……」
等と言って、私はその場から離れた。
CMさんは、リヤカーに積んだものを1つ1つ、紙に書いている。
そして最後に『非常時の為、拝借致します』と書いて、その紙をレジに置いた。
私たちは、そのリヤカーを引いて住処へ向かった。
さながら財宝を見つけて、それを積んで帰るトレジャーハンターの気分である。
これで、畑に植えた作物が収穫出来れば、食料事情は更に安定する。
そしてその日の夕食は、お酒飲みながら大騒ぎ。
まるでお祭りのようだった。
アノンさん、玲さんの視線の先を追っていたようです。
アノンさんの心に気付かない玲さんでした。
次回:嫌な予感




