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⑶ 自給

 そして、3日目の朝を迎えた。

 運は味方してくれた。

 一昨日、ここへ着いたのは夕暮れ時だった。

 そして昨日は雨天の為、散策できなかった。

 そして今日は晴天。


 始めて、このまわりを散策する。

 目的はここで自給が可能かどうかである。


 アノンさんがみんなを呼んだ。

 見て欲しい物があるとの事である。


 それは納屋のような建物だった。

 その中に置かれていた物、それはクワなどの農機具だった。

 ここに農機具があるという事は、この近くに畑がある?


 BMさんとドローンを飛ばし、上空からこの辺りを撮影した。

 そして、撮影を終えたドローンから画像データをノートパソコンに移し、画像を再生。

 見つけた。

 ここから北へ向かう歩道の途中に畑らしきものがある。

 そこまでの距離は約2km。

 なるほど、ここから更に北へ2kmというと、最初の上空写真には写っていない。


挿絵(By みてみん)


 私たちは、全員でそこへ向かった。

 この歩道を歩いていく。

 そこに畑があった。

 おそらくここで農作業を行い、あの小屋を利用していたのだろう。

 半年間、放ったらかしとなった畑である。


 しかし、じゃがいも等が収穫出来た。

 じゃがいもには天然毒素がある為、気を付けなければいけない。

 芽の出ていない物、皮が緑色になっていない物を選び、私たちの住処へ戻った。


 そして私は、再びドローンからの画像を確認した。

 ここに小屋を建てたという事は、何処かに水源があるはずである。


 ドローンが映した画像から、小川のようなものを見つけた。

 ここから近い、そこへ皆で行った。

 苔の生えた岩の間を、透き通った水が流れている。

 綺麗な小川だ。


 以前、私たちが過ごした施設に造られていた庭園は、実に素晴らしかった。

 しかしここの景色は、また違う美しさがある。

 この小川の水をろ過器でろ過すれば、飲み水になる。


 さて、ここで水と食料が手に入った事で、今後の予定を改める提案が成された。

 話し合いのもと、しばらくここへ滞在する事となった。


 小川を見つけてから、何やら女性達は話し合いをしている。

 男3人が座っている所へ、女性4人が話しに来た。

 水浴びしたいとの事である。


「まぁ、天気もいいし、いいんじゃないですか」

 と言うと、

「あの……見に来ちゃダメですよ」

 と言われた。


 ……ああ、そういう事か。

 3日前から、体を洗っていない。

 彼女達は着替えを持って、小川の方へ行った。


 我々男3人は、黙って座っている。

 皆さん、とても魅力的な女性で……気になる。

 しかし『ちょっと彼女達のようす、見て来ますか』等と言い出す人はいない。

 まさに女性達は、あっさりと我々男性3人を縛り付けたのだ。


 小川の方から『キャッ、キャッ』といった声が聞こえてくる。

 ん……けしからんなぁ。


・・・・・・


 しばらくすると、彼女達が戻ってきた。

 なんだろう、皆さん得意顔である。


 C子さんが言った。

「見てぇ」

 タオルの中にあったもの

「えっ!」

 それは川魚だった。


 私たちは驚いた。

 アノンさんが言った。

「鳥や動物は居ないのに、魚は生息しているんです」

「……解った。私も水浴びしてくる」


 男3人も、着替えを持って小川へ向かった。

 C子さんが後ろから伝えた。

「今晩は、じゃがいもと魚料理でーす」


 水が豊富にあるという事は非常にありがたい。

 ジャガイモは、水洗いして皮をむいて茹でた。

 川魚は、生で食べるのは危険な為、良く焼いて食べた。

 ここへ来て、初めての自給だった。


・・・・・・


 歩道沿いにある北の畑は、そこそこ大きな畑である。

 だが、ここから2km離れている。

 管理していた人は車を利用していたのだろう。

 しかし私たちの移動手段は徒歩でしかない。


 2km先の畑を管理するのは大変である。

 そこで、この近くに畑を造る事にした。

 私たち7人が食べていくだけの畑である。

 大きな畑である必要は無い。


 まずは何処に畑を造るか、みんなで相談した。

 条件として、畑に撒く水の問題がある。

 雨の降らない日が続いた場合は、小川から水を汲み、撒く必要がある。

 大変な作業になる為、小川から近い所が望ましい。


 その他、日当たりが良い事。

 畑として、まとまった面積である事。

 その土地の土質。

 などを考慮して、畑にする場所を選んだ。


 それから、畑造りが始まった。

 まずは、この土地を整えなければならない。

 アノンさんが見つけた倉庫から、草刈の道具とシャベルとクワを持ち出した。

 全員で、一帯の草を刈った。


 続いて畑にする土地を水平にする為、高い所、盛り上がっている所の土をシャベルで掘り、低い所へ持って行く。

 それと並行して、クワで耕す。


 小石等がゴロゴロ出て来る。

 それを取り除きながら耕していく。

 土が固まっていると、作物は育ちにくい。

 だが、ただの地面だった土地を耕すのは、大変な労力である。


 一通り耕した所で、次に畝を作る。

 等間隔に細長く直線状に、クワで土を盛っていく。

 そして、なんとか畑らしいものが出来上がった。


 シェルターから持ってきた、にんじん、ダイコンの種、それと、北の畑で収穫したじゃがいもを、種芋として植えた。

 収穫まで3ヵ月かかる。

 それまで、シェルターとの間を往復し、シェルターの食料を運ぶ予定である。


 だが、小川で川魚が獲れる事。

 ここへ来る途中で見つけた山栗、アケビ、等がなっている木。

 近くに生えている山菜。

 これらを食料にする事で、収穫まで食いつなぐ事は出来ないだろうか……といった提案が出た。


 倉庫にあった網を使えば、沢山の川魚を捕まえる事が出来る。

 山菜も、どのへんに沢山生えているか解って来た。

 そこで、収穫まで食いつなぐ事が可能か、試してみる事になった。


 無理だと判断した時点で、シェルターへ戻れば良い。

 みんなとの話し合いにより、計画を変更した。


次回:(第12章 終話)林の中で


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