⑶ 上空写真
再び地上へ出る事となった。
では誰が出るか。
全員が出たいと言い出した。
「外の世界、見たい」との事だ。
まあ、地上での放射線量、現在はそれほど高くない。
短時間での作業という事で、明日、全員で地上に出る事となった。
シェルターの倉庫にあったドローンを確認した。
マニュアルによると、ドローンの重さは約1kg、飛ばせる距離は約300mとの事。
ドローンでの上空撮影は、私とBMさんが担当する事となった。
ビデオカメラは、前方から見て斜め下向きに付いている。
それを真上に飛ばし、ドローンを水平方向にゆっくりと回して360°の上空映像を撮る。
失敗して墜落したら取返しがつかない。
そこで、シェルター内に用意されている運動場で飛行させ、操縦トレーニングを行った。
ドローンを真上に飛ばすだけなら、それほど難しい操縦ではない。
それを、水平方向にゆっくり回すのが難しい。
ゆっくり回さないと、遠くの景色ほどブレてしまう。
そこで10°回して静止させ、10°回して静止させ、それを36回繰り返す事で360°の上空映像を撮る。
その操作のトレーニングを行った。
・・・・・・
そして次の日、モニターシステムで地上が晴天である事を確認した。
全員、照明付きヘルメット、ゴーグル、特殊マスク、手袋を装着し、出発した。
BMさんが先頭で、隔壁を開けながら階段を登り、私とCMさんがドローンとコントローラーを持って後尾で登った。
全員で地上に出た。
見渡すかぎりの白い世界に、みんな言葉を失っていた。
そして空を見上げた。
抜けるような青空、しかし一羽の鳥も飛んでいない、動物もいない。
私たち以外、動くものがいない。
ただ、地表の白い砂だけが、風に舞っている。
私とBMさんで、ドローンを飛ばした。
真上に飛ばし、ドローン搭載のビデオカメラで360°の上空映像を撮った。
撮影後、無事にドローンを着地させ、私たちは階段を下りてシェルターへ戻った。
シェルターへ戻って最初にする事、それは洗浄室のシャワールームに入り、地上で付着した放射性物質を含むチリを洗い流す事だ。
我々男性3人は、男性用洗浄室に入り、洗剤でくまなく洗い、シャワーで流した。
すると女性用シャワールームから、「キャッ、キャッ」といった声が聞こえてきた。
ん……実にけしからん!
洗浄室で体を洗った後、ドローンで撮って来た映像の解析を早速始めた。
空からのビデオ動画を静止画として切り抜き、高度と方角の情報から繋ぎ合わせていく。
そして、シェルター真上から見た半径10kmの上空写真が出来上がった。
それを見ると、この白い砂のエリアは半径約7kmの円形である。
核爆発のすさまじさが伺える。
白い砂のエリアの中心は、今私たちが居る、この『核シェルター』から東南に2km先のあたり。
おそらくそこにウイルスミサイルが落とされ、それを焼き尽くす為に核が落とされた。
しかし、このような森林地帯に、何故落としたのだろうか。
そして、半径7kmの白い砂のエリアを囲むように、ドーナツ状の黒いエリアがある。
おそらく森林火災が発生し、焼けた木々ではないだろうか。
ドーナツ状の黒いエリアの幅は、約1km。
核爆発によって上昇気流が発生し、その後大雨が降って森林火災は鎮火したのだろう。
そして、焼けた木々のエリアの外側に、森林地帯が確認できる。
ここを出て生活の拠点を移すのであれば、白い砂のエリアと、火災によって焼けた木々のエリアの、更に外側だろう。
次回:(第11章 終話)生き延びる為に




