⑵ これからの事
私は詩織を呼び出し、さっきの話しの続きをした。
アノンさんが言った。
「生き残ったウイルスが、放射線を浴びた事によって、ヒト以外にも、うつるウイルスに変異した確率を計算したのですが、無いとは言いきれない結果が出ました」
詩織が私に言った。
「今からモニターシステムで、外のようすを確認しませんか」
「しかし今は深夜で、地上は真っ暗で……」
「サーモセンサーモードで。夜行性の動物等、確認出来るかもしれません」
「わかった」
私たち3人は、モニターシステムの所へ行って、カメラを起動させた。
3人、張り付いて監視した。
しかし動物等の姿を見つける事は出来なかった。
やがて空が明るくなり始めた。
カメラをサーモセンサーから通常のセンサーに切り替え、地上の様子を確認した。
しかし、空を飛ぶものはいない。
この件、もう皆と共有しなければならないと思った。
私は2人に提案した。
「これから皆を集めて、この件を話しましょう」
2人は同意した。
・・・・・・
私たちは全員を集め、会議を開いた。
私から、今回の件を説明した。
しかしながら、まだ何の確証もなく、可能性の1つである事も付け加えた。
それでもみんなは驚いていた。
もしも、ウイルスが拡散しているのであれば、事態は大きく変わってくる。
非常に乱暴な話しであるが、今回、日本に落とされた核は1つ。
そこでは、仮に命を失った人が10万人としても、日本の人口1億2千万人に対して0.1%以下である。
つまり、99.9%以上の人は、生存している。
だが、事がウイルスであり、鳥などにも感染し、ウイルスを拡散しているとなれば、問題となる規模は計り知れない。
このシェルターの外の世界では、動物がまったく確認出来ないという現実は、極めて深刻である。
私たちは、地表の放射線量が下がるのを、このシェルターで待ち続けた。
また、私たちの生存を伝える事が出来れば、救助に来てくれると考えていた。
しかし、救助に来てくれる人は、もはや居ないかもしれない。
みんなで意見交換を行った。
そもそも本当に、ウイルス兵器からの感染が拡大してるのか?
この件については、憶測で結論は出せないとの事で保留とした。
次に、そのウイルスが感染を拡大させたと仮定した上での意見交換が行われた。
我々に感染する心配は無いのかという声があがった。
それに対してアノンさんが答えてくれた。
我々がこのシェルターへ避難した時、アノンさんが携帯していたワクチンを接種した為、それが効いてるはずとの事。
それでも感染のリスクを考えて、人や動物に遭遇しても近づかないようにとの事だ。
次に、地上での放射線量が下がって、シェルターから出られるようになったら、我々はどうするか……各自の判断で、別々に行動するか。
それに対してC子さんが口を挟んだ。
「ちょっとぉ! この状況で各自別行動なんて、ありえない!」
B子さんも発言した。
「みんなで一緒に行動しましょうよ」
そこで決を取った。
「全員一緒での行動を望む人」
それぞれ考えながら手を上げた。
しかし、アノンさんだけ手をあげない。
アノンさんは、まわりを見渡し、遠慮がちに手を上げた。
私はアノンさんに訊いた。
「どうしたんですか?」
「いえ……私、皆さんの仲間に、入れて頂けるのか……と思いまして」
C子さんが言った。
「なにを今さら」
という事で、全員一緒に行動する事となった。
では、どうするか。
問題は食料である。
このシェルターの外は白い砂の不毛の世界で、農作物を育てる事は出来そうにない。
シェルターでの食料は4年分ある。
しかし、ここでの食料を食いつぶしてしまったら、あとは生きていけない。
食料と体力のある内に、このシェルターから生活の拠点を移さなければならない。
では、この砂漠は何処まで広がっているのか、その先に何があるのか、それを知る必要がある。
そこで、もう一度地上に出る。
そしてドローンを飛ばして、このあたり一帯を上空からビデオを撮り、確認する事となった。
次回:上空写真




