⑶ 封印の間
以前、詩織と一緒にシェルターの図面を見ながら、一通りシェルター内を確認したのだが、図面を見ると、気になるポイントが1ヵ所ある。
Nブロックの食料倉庫内に、点線で描かれている長方形。
これはいったい何なのか?
私は改めてその場所へ来てみたが、やはり何も無い。
ここに何かを設置する予定だったのだろうか。
私は、図面に描かれた長方形のあたりを歩いた。
……もしかして!
床のタイルカーペットを剥がした。
このタイルカーペットは一辺50cmの正方形で、弱粘性粘着剤によって市松模様に貼られている。
3枚剥がしたところで、床下収納の蓋を見つけた。
しかし、何故床下に収納する必要があるのだろう。
私は、床下の蓋を開ける為、蓋の上に貼られたタイルカーペットを剥がしていった。
すると、この床下の蓋の大きさは、幅約1m、そして長さが2mある長方形だった。
これは、おかしい。
絶対に、ただの床下収納の蓋じゃない。
「レイさん」
後ろから詩織に声を掛けられた。
心配になって、私を探していたとの事。
私は皆に来てもらうよう、詩織に頼んだ。
蓋の取っ手は埋め込み型で、2mの蓋の端と端に付いている。
しかしこの蓋、開けて良い物だろうか?
何か得体の知れない物が隠されているように感じる。
幅1m、長さ2m、そう、ちょうどシングルベッドの大きさだ。
まさかこの下に、何かが眠っている?
そんな事を考えているうちに、みんなが集まって来た。
私は図面を見せて説明した。
「この、点線で描かれた長方形は、これです」
床下の蓋を見て、みんな驚いている。
私はBMさんに訊いた。
「この床下には、何が納められているのでしょう」
BMさんが返した。
「いや、まったく解りません」
そう言ってB子さんを見るが、B子さんも、ただ首を横に振るだけだった。
ここで注意しなければならないのは、危険物の可能性である。
しかし、もしも危険物であれば、なんだかの封印がされているはずである。
C子さんが言った。
「開けてみましょう」
そこで、私とBMさんで、蓋を持ち上げて開けた。
蓋の下にあったもの、それは地下への階段だった。
私たちは驚いた。
この、最下層と思っていたシェルターには、更に地下への階段があった。
「さて、どうしましょう」
みんな、沈黙している。
この先を、見てはいけない。行ってはいけない。
そんな感じがする。
正直言って、怖い。
ところが、ワクワクした表情でC子さんは言った。
「行ける所まで行ってみましょう」
やはりこういった事においては、女性の方が肝が据わっている。
怖い気持ちよりも、ワクワクした気持ちの方が強いようだ。
私たちは話し合った。
この、下へ続く階段、見なかった事にする。
まぁ、そうもいかない。
私たちは覚悟を決めて、階段を下りる事にした。
階段を降りると広い廊下に続いた。
そして、その廊下に沿って歩いていくと、その先には銀行の金庫のような巨大な丸い扉があった。
まさか、この先には金塊が眠っている?
いやいや、そんな事はないだろう。
しかし、この金庫を開けるカギ等無い。
残念な気持ちで金庫のハンドルを回すと、なんと、この金庫にはカギが掛かっていない!
色めき立つ皆を、CMさんが抑える。
私はゆっくりと扉を開けた。
そして、みんなで静かにその先へ入った。
そこには沢山の棚が整然と並んでいる。
そして、その棚には大量のアンプルが治められていた。
この、ガラスのアンプルの中に入っているもの、なんだろう。
「まさか!」
BMさんが声を上げた。
ここに収められているもの、それは植物の種子だった。
そう、世界に何ヶ所か造られているのを、聞いた事がある。
世界の終末に備えて、世界中から集められた種子の貯蔵庫。
それは、絶滅した時に植える最後の命。
しかし、その最後が訪れた時、この地に種を植える人は、いるのだろうか。
私たちは、その日が訪れない事を祈って、手を合わせてこの部屋から退出した。
次回:(第9章 終話)サプライズ




