表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/56

⑵ ふみふみ

 このシェルターへ潜ってから、女子会はアノンさんを含めて4人で行うようになった。

 女性4人、すっかり仲良しになってる。

 詩織は女性達のあいだで「Aちゃん」と呼ばれ、みんなから好かれている。

 とても良い感じだ。


 さて、しばらくはここ(核シェルター)で過ごさなければならない。

 であれば快適さを求めたい。

 食堂に用意された10台のテーブルと40脚の椅子。

 この食堂を私たち7人で利用する為、4台のテーブルと7脚の椅子を残し、後は全て食堂の端に移動させた。


 そして女性達は、この食堂をリビングに改造しはじめた。

 私としては、シンプルな感じが好みなのだが、まあこういった事は、女性がやろうとする事に口を出してはいけない。


 無機質な食堂が、洒落たリビングルームとなった。

 なるほど、これはこれで、とても良い感じだ。


 女性4人が集まって、何やら相談している。

 彼女達は空室の部屋から、プラスチックの衣類収納ケースと、敷布団を持ってきた。

 そして、食堂の端に移動したテーブルを縦に並べ、その上に収納ケースを並べている。


 次に、敷布団を分解し、ポリエステルの中材を出している。

 敷布団は新品である。

 いったい何を始めるつもりだろう。


 敷布団から取り出した中材を、収納ケース底の大きさに切断し、収納ケースの底に敷いている。

 我々男性3人は、優雅にコーヒーを飲みながら、何が始まったんだと興味深く見ていた。


 彼女達は、大きなボールに、お米と水を入れて、といでいる。

 そのとぎ汁をボトルに入れ、それに何かの粉を入れて栓をした。

 次に、先ほどの衣類収納ケースに水を入れ、何かを撒いて蓋をした。


 彼女達が何をしようとしているのかが解った。

 水耕栽培だ。


 さっきのとぎ汁は、水耕栽培の培養液。

 加えた粉は、粉末の乳酸菌だろうか。発酵させて、水が腐るのを防ぐ。

 ここで生野菜を作る計画らしい。


 これは素晴らしい、そしてありがたい。

 この水耕栽培がうまくいって、いずれこの部屋が家庭菜園になる事を、私は期待した。


・・・・・・


 女性達が育てている野菜を見て、私も何か作って、皆さんに喜んでもらいたいと思った。

 では、何を作るか。

 私としては、やはりお酒だ……と考えるのだが、BMさんもCMさんも、あまりお酒は飲まれない。

 よって、協力してもらうのは難しい。


 さて、私1人でお酒を造るとして、思いついたのは、ぶどう酒だ。

 現在ぶどう酒は、ぶどうの実を巨大な容器に入れ、それを機械で押し潰し、ぶどう果汁を絞り出す。

 ぶどう果汁に含まれる酵母の働きによって、ぶどう果汁は発酵し、ぶどう酒となる。


 しかし、中世のヨーロッパでは、そのような押し潰す機械など無かった為、ぶどう農家の娘が素足でぶどうを踏みつぶし、ぶどう果実を絞り出していた。

 その製法は、ぶどう果汁に含まれる酵母(菌)に、娘の素足からの菌が加わる事で、発酵そのものに影響を与え、ぶどう酒の味わいに変化をもたらす。


 当然、かわいい娘が踏んで出来たぶどう酒には人気があつまった。

 これはもう、ぶどう酒本来の味わいからは、逸脱した話しである。


 さて、話しを戻すと、ここにはぶどうを押し潰す機械など無い。

 では、私が踏み潰してぶどう酒をつくるか?


 しかし、私が踏み潰して出来たぶどう酒を、飲みたい人が、いるだろうか?

 私だって飲みたくない。

 やはり、私にとって、ぶどう酒をつくるのは、無理だ。


 しかし……水の妖精である詩織が、素足で踏み踏みして出来たぶどう酒なら……飲んでみたい気もする。


レイさん……

詩織さんの事を水の妖精と言い、またある時は星の王女さまと言って姫と呼んでいる。

可愛くて仕方ないのは分かりますが、はっきり言って変態ですから。


次回:封印の間


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ