⑶ 逃亡計画
それから3日が過ぎた。
この1ヵ月間の解放期間が終われば、私と詩織はまたエリア5へ連れ戻される。
そして詩織は、3番目の論文の理解に専念する事になる。
3番目の論文の内容が組み込まれれば、電磁波動砲の小型化が実現する。
それは、盾としての役割から、矛としての役割が可能となる。
小型化した電磁波動砲を航空機に搭載させれば、世界を席巻する事が出来てしまう。
やはりこの電磁波動砲、盾としての役割を超えてはいけない。
私は散歩と言って庭園に詩織を誘い、話しをした。
「この1ヵ月間の解放期間を利用して、私と詩織はここから逃亡する」
「はい」
私の提案に、詩織は同意した。
詩織も、同じ心配をしていたようだ。
私は詩織に伝えた。
「私と詩織は監視されている事を前提に、動かなければならない」
「はい」
「そこで、逃亡計画が察知されないよう、詩織には、通常の生活を送っているように見せて欲しい。私は考えている逃亡手段を確認しながら、ここでの生活を送ります」
「はい」
「そして定期的に散歩を装って、庭園のここで打ち合わせましょう」
「了解しました」
それからというもの、詩織は何か忙しそうだ。
屋外に小さなビニールハウスのようなものを造り、庭園で採取したコケを育てている。
そして、毎日開かれる女子のお茶会。
はつらつとしている。大変良い感じだ。
私は庭園を散歩しながら、この敷地の外周を確認した。
この施設は高い鉄格子で囲まれ、その上には高電圧の掛かったフェンスが取り付けられている。
では、その電源は何処から持ってきているのか?
それを見つけるのが目的である。
そして、それは意外と簡単に見つける事が出来た。
そう、そもそもこの高電圧を掛けたフェンスは、内部の人を逃がさない為の設計ではなく、外部から野生動物が侵入しない為のものと言っていた。
よし……これを切断すれば……いける。
・・・・・・
それから数日後、私は詩織を庭園に誘い、大まかな計画を伝えた。
「今から1週間後を目標とします。それまでに行う事として、まずは逃亡時に必要な食料を確保する。それとハシゴを作る」
「了解しました」
「次に逃亡手段についてですが、この敷地の周りに張られた高電圧フェンスの電源ケーブルを切断し、ハシゴでフェンスを乗り越えて敷地の外へ出ます」
「了解しました」
私は、詩織の目を見て言った。
「それからは、私と詩織の逃亡生活がはじまる」
詩織も私の目を見て答えた。
「レイさんと一緒なら、この世界の果てまでも」
……うっ。
次回:(第7章 終話)ただごとではない




