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⑵ 星に願いを

 私と詩織の解放期間が、今日から始まる。

 あの施設へ127さんと一緒にヘリで向かった。


 127さんは言われた。

「あの施設から、あなた達を連れ出した時、ホットラインで皆さんから大変な抗議を受けました。『彼らを何処へ連れて行くつもりか!』『A子ちゃん無事か!』……って」


 詩織は、静かに笑った。

 あの施設には、私たちを心から心配してくれる仲間がいる。


 やがて上空から施設が見えて来た。

 ヘリは施設の上空で停止し、ゆっくりと降下していく。

 庭園の広場で、BMさん達、CMさん達が見える。


 127さんは言われた。

「今日、あなた達が施設へ戻る事、皆さんに伝えてあります。尚、今回エリア5で見て来た事、皆さんにはご内密に」

 私と詩織は応えた。

「了解しました」


 やがてヘリは着陸し、私と詩織はヘリから降りた。

 127さんはヘリに乗ったまま、私と詩織に向かって言った。

「1ヵ月後に迎えに来ます。では、良いバカンスを!」

 そして127さんとともに、ヘリは飛び立っていった。


 振り返ると、BMさん達、CMさん達が歩いてくる。

 途中でC子さんが走り出し、詩織に飛び付いて言った。

「おかえり」


 そしてB子さんも詩織に抱き付いて言った。

「おかえりなさい」


 私はBMさん、CMさんに向かって言った。

「戻りました」


 BMさんが右手を出したので握手した。

 CMさんが笑顔で言った。

「おかえりなさい」


・・・・・・


 それからは、みんなで昼食の準備を行い、昼食会となった。

 私と詩織が何処へ連れて行かれたのか、そこで何をしていたのか、誰も聞いてこない。

 みんなも、話せない事を抱えているからだ。


 その後、女子会の名のもと、お茶会が開かれた。

 リビングに詩織を残し、私は自分の部屋へ行ってベッドで横になった。

 ああ、やはり、ここは落ち着く。

 だが……気を付けなければいけない。


・・・・・・


 それからしばらくすると、部屋のチャイムが鳴った。

 扉を開けると、詩織が立っていた。


「女子会が終わったので、レイさんのお部屋へ来ちゃいました」

「はい。……では、一緒に庭園を散歩しませんか」

「はい」


 私は詩織を連れて庭園に出た。

 そして、ゆっくりと歩きながら話し掛けた。

「女子会、どうでした」

「はい、お2人とも、すごく心配されていました」

「何の挨拶も無しに、突然だったからね」

「はい……」


 私は詩織に話し始めた。

「この施設には、私たちを監視するカメラやマイク等、無いと言っていました。しかし今回の件で、状況は変わったと考えます」

「はい」


「この施設の部屋は、盗聴されている可能性があると思いまして、詩織を庭園へ連れ出しました」

「はい」


「エリア5での先生の論文、どんな感じですか?」

「……はい」


 詩織は、少しのあいだ沈黙し、話し始めた。

「エリア5で見た、父からのビデオメールの件ですが」

「はい」


「父はビデオメールで『盾としての電磁波動砲を、完成させて欲しい』と言っていました。しかし父の論文を読み進めていくうちに感じたのです。『この電磁波動砲、矛として完成させてはいけない』」

「……はい」


「その時、ミサイル発射のアラートが鳴り響き、私は制御室に駆け付けました。電磁波動砲が目標を撃ち落としたのを見た時、私は意識を失いました」

 私は詩織を包み込むように抱きしめて言った。

「そうだったのですね」


・・・・・・


 その日の夕食は、詩織と2人で庭で食事する事にした。

 キッチンで料理し、庭に置かれたテーブルに運んだ。

 満天の星空を見ながら、私は冷酒を飲んだ。


 詩織が言った。

「私はここで魔法使いさんに、初めての契りを結んで頂きました」


 私は静かに応えた。

「はい」


 そう、私は詩織の魔法使いだ。

 詩織の為なら、第七階梯魔法だって使える……たぶん。


 ……しかし……初めての契りって……なんだぁ?


ときどき詩織ちゃん、グイグイきます。

レイさん……タジタジです。

レイさんは、まだ30才に届いていません。

よって、見習い魔法使いです。

しかし、詩織さんが成人を迎えた日、

既にレイさんは、立派な魔法使いになれているでしょう。


次回:逃亡計画


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