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⑴ 何処で過ごす?

 しばらくすると、詩織は回復した。

 私は詩織の手を握って言った。

「まずは、ゆっくりと休みなさい」

 詩織は静かに頷いて、目を閉じた。


 私は112さんと311さんに提案した。

「詩織をゆっくりと休ませて欲しい。このまま続けていたら、詩織は精神に支障をきたしてしまう」

 私の提案に311さんは同意してくれた。


 だが、112さんは、首を縦にふらない。

 112さんが、苦しい表情で言った。

「しかし彼女には、人類80億人の未来がかかっている」


 その時、127さんが発言した。

「はい。だからこそ、彼女を大切に見守る必要があるのです。人類80億人の為に」


 そして311さんは言った。

「何にしても、AMさん考案の電磁波動砲のお陰で、当初の目的は達成できました。3番目の論文内容が活用出来なくても、これで核兵器廃絶の為の一歩を踏み出す事が出来ます」

 311さんの話しを聞いて、112さんは複雑な表情を浮かべながらも、私の提案に同意してくれた。


・・・・・・


 これからしばらくは、私が考案した電磁波動砲の量産と制御調整を行うとの事だ。

 この電磁波動砲の製造に、もう私は必要ない。

 そこで、私と詩織は1ヵ月間、解放される事となった。


 そして127さんから、詩織のケアを頼まれた。

 とにかく一旦、頭の中を空っぽにする事だ。


 では、その1ヵ月間を何処で過ごすか?

 127さんから伝えられた。

「世界中の何処でも良いです。過ごしたい所を申し出て下さい」


 なんと素晴らしい。

 これは127さんによる計らいである。

 オーストラリアの美しいビーチで、詩織と一緒にくつろぐのも楽しそうだ。

 ハワイでのホテルで、ゆっくりと滞在するのも良いだろう。


 しかしながら、安全管理の為、数人のガードが同行との事。

 これでは、気が休まらないではないか。

 まあ、私と詩織がここから逃亡しないよう監視が目的なのだろう。


 さて、この1ヵ月間を何処で過ごすか、詩織と相談した。

 詩織はあの施設で、B子さん、C子さんと過ごしたいとの事だ。

 詩織にとって、初めて出来た女性の仲間。

 あの3人での女子会が楽しかったようだ。


 私は、悪くないと思った。

 何にしても、あの施設であればガードは必要ない。

 詩織がくつろげる事が重要だ。

 その事を127さんに伝えると、了承してくれた。


 私が考案した電磁波動砲は、いささか巨大なシステムとなってしまったが、核ミサイルを撃ち落とす能力を持っている。

 よって、詩織が取り組んでいる3番目の論文の理解は、近々の課題ではなくなったはずだ。


 しかし、3番目の論文に、彼らは注目している。

 その時、私の脳裏に嫌な事が浮かんだ。

 3番目の論文の内容を組み込めれば、電磁波動砲の出力を驚異的に上げる事が出来る。

 今の256門の電磁波動砲が、1門で可能となる。

 つまり、電磁波動砲の小型化が実現出来る。


 盾としての電磁波動砲が小型化すれば、それを航空機に搭載する事が出来る。

 それは……盾としての活用から、矛としての活用を想定している?


次回:星に願いを

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